新耐震基準はいつから?耐震基準の確認方法とマンション再生の選択肢

更新日:2024年1月#タグ#タグ#タグ#タグ#タグ

築年数が経過したマンションの今後について検討する際、念頭に置いておきたいのが耐震性です。地震国といわれる日本で安全に住み続けるためにも、マンションの耐震性について確認しておきましょう。また、建物の耐震性は、売買する際の建物の市場価値などにも影響を及ぼします。
建築基準法が定めた建物の耐震性には、「新耐震基準」と「旧耐震基準」があり、築40年以上のマンションはこのふたつの基準の分岐点に当たるため、注意が必要です。
本記事では、現在所有しているマンションやこれから取得するマンションの耐震性を確認したい人に向けて、新耐震基準がいつ制定されたかご紹介します。また、該当のマンションが新耐震基準で建てられたかどうか確認する方法のほか、旧耐震基準であった場合に行えることなども併せて紹介していますので、ご参考になさってください。

新耐震基準は1981年に制定された

新耐震基準とは、1981年の建築基準法改正により制定された耐震基準のことです。新耐震基準では、旧耐震基準が想定していなかった、震度6強〜7程度の地震に対する規定もあります。
新耐震基準は、1981年5月までの耐震基準(旧耐震基準)を見直して6月1日から施行されました。これは、1978年の宮城県沖地震において震度5で多大な被害があったことを受けての改正です。

マンションが新耐震基準かを確認する方法

マンションが新耐震基準かを確認する方法は、マンションがいつ建てられたかを確認することです。
建築確認通知書(1999年5月1日以降は確認済証)の発行日が、1981年6月1日以降であれば新耐震基準になります。建築確認通知書とは、建築基準法に基づいて建築物の敷地、構造、設備、用途などを確認する「建築確認」のあとに発行される書類のことです。

旧耐震基準の建物の耐震性能は耐震診断で確認する

旧耐震基準のマンションが新耐震基準で定められた耐震性能を有しているかは、「耐震診断」を行うことで確認することができます。耐震診断の結果は、賃貸や売買の取引時に物件の内容や取引条件について説明する重要事項説明の項目に含まれています。
耐震診断の結果、耐震性がないと判断された場合には、資産価値に大きな影響を及ぼす可能性があります。

マンションの耐震性能を確認する

耐震診断の実施は、管理組合として検討の上、決定します。
実施を決定する際には、必要な費用について予算化します。費用は建物の規模や構造、診断の内容などによって異なりますので、事前に見積の取得が必要です。

所有するマンションの耐震性が不足している場合は

ここからは、旧耐震基準マンションで耐震性の不足が確認された場合、とるべき対策をご紹介します。なお、耐震性不足への対策を含め、マンション全体に関係する意思決定は、管理組合で実施します。
耐震性に問題があるマンションの、再生の選択肢として挙げられるのは「改修」「建替え」「マンション敷地売却(※)」の3つです。

※マンション敷地売却には「特定要除却認定」が必要です。

耐震改修を実施する

改修(共用部分の変更)には増築や共用部の変更、耐震改修等があります。本記事では耐震改修について説明します。
耐震改修は地震の揺れに対して弱い部分を補強することです。
耐震診断を行い、マンションの耐震性に問題があると診断された場合に、新耐震基準で建てられた建物と同程度の耐震性を確保するために行います。

耐震性が不足しているマンションにおける耐震改修には、マンション管理組合総会での決議が必要です。耐震改修の場合、耐震改修促進法(建築物の耐震改修の促進に関する法律)の特例によって特別決議ではなく普通決議で実施可能です。
しかし、区分所有法の規定により、特別な影響を受ける区分所有者の承諾は必要です。例えば、ベランダにブレース(筋交い)を設置する場合、該当する区分所有者の承諾がないと、工事は実施できません。

■ブレース(筋交い)の例

新しいマンションに建て替える

マンション建替えは、現在のマンションを解体し、新しいマンションを建てることです。
建替えを決定する方法については、全員合意による方法と区分所有法に定める建替え決議による方法がありますが、いずれの場合もさまざまな考えを持つ区分所有者の皆様から必要な同意を得ることは容易ではありません。建替え合意後の進め方には、マンション建替円滑化法による権利変換方式と等価交換方式があります。それぞれの方式にはメリット・デメリットがありますので、そのマンションや管理組合の状況に応じた選択が必要です。

■建替え決定までの流れについて詳しくは下記の記事をご覧ください
マンション建替え検討のタイミングとは?建替え要件や流れも解説

■権利変換方式と等価交換方式のメリット・デメリットについて詳しくは下記をご覧ください
権利変換計画とは?権利変換手続きの流れや内容もわかりやすく解説

マンション敷地売却制度を利用して売却する

マンション敷地売却制度は、総会の決議によって建物と敷地を一括して売却する仕組みです。
マンション敷地売却制度を利用するには、行政による「特定要除却認定」と「買受計画の認定」を受ける必要があります。その後実施するマンション敷地売却決議は区分所有者数と議決権に加えて敷地利用権の持ち分価格の5分の4以上の賛成で成立します。

■マンション敷地売却制度について詳しくは下記の記事をご覧ください
マンション敷地売却制度とは?制度の概要や敷地売却の流れを解説

記事監修
マンション建替え研究所 特任研究員
向田 慎二
資格:マンション管理士 / 再開発プランナー / マンション建替えアドバイザー
旭化成不動産レジデンスが参画した、多くのマンション建替えで管理組合をサポート

関連コラム

新着コラム

お問い合わせ

お電話でのお問い合わせは

受付時間:平日9:00〜18:00