マンションの建替えで想定されるトラブルとは?対処方法を解説

更新日:2024年4月#タグ#タグ#タグ#タグ#タグ

マンション再生では手続きや合意形成活動などで、様々なトラブルが起こることもあります。
本記事では、マンションの建替えで想定されるトラブルやリスクと、その対処法についてマンション建替え研究所 特任研究員の向田が解説します。

マンションの建替えで想定されるトラブルとは?

――マンションの建替えで想定されるトラブルについて教えてください。

マンションの建替えでは、合意形成に関するリスクと訴訟のリスクがあります。
合意形成に関するリスクは、建替えを望まない方や建替えの進め方に異論を持つ区分所有者の方の主張や意見です。
例えば、合意形成活動の中では、一部の区分所有者から、「区分所有者に誤った情報を提供し、建替えに誘導している」、「管理組合運営に疑義がある」というような指摘を受ける場合があります。

訴訟のリスクとしては、建替え決議について、訴訟が提起されることがあります。
建替え決議では、手続きや議案の内容について区分所有法(※)による規定がありますので、建替え決議が成立しても、建替えに反対する区分所有者から、手続きの不備等を理由として決議の有効性について訴訟が提起されるリスクがあります。

※:正式名称「建物の区分所有等に関する法律」

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リスクに対処する方法とは?

――合意形成に関するリスクにはどう対応すればよいのでしょうか。

合意形成活動では、手続きの透明性を確保し、正確な情報提供と十分な説明が必要です。
手続きの透明性に関する批判として、「建替えありきで進めているのではないか」という意見をよく聞きます。再生の手法としては改修や修繕もあります。それぞれをしっかりと比較した上で、組合として意思決定(建替え推進決議等)をする必要があるでしょう。
情報提供に関しては、すべての区分所有者の方に検討の進捗状況や、事業の内容について正しく理解していただくために、説明会や個別面談などを含め、区分所有者の皆さまが自由に質問や相談ができる仕組みが必要です。その際には、一方的に伝えるだけでなく、建替え計画や進め方への意見を伺い、区分所有者の方が感じている不安を把握することが重要です。
また、進捗状況に関する情報の不足は、合意形成活動への不信感の原因となります。対策としては、検討状況について「再生ニュース」等の形で発信することや、専門委員会や理事会の議事録を区分所有者全員に配ることも考えられます。

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――訴訟のリスクを避けるためにはどうすればよいのでしょうか?

建替え決議に関する訴訟では、管理組合が被告の立場になります。訴訟自体を拒否することはできませんので、決議が無効にならないように、法的な瑕疵のない手続きを行うことが必要です。法律や手続きについて建替えに参加する区分所有者の方が不安を感じないように、説明会などで十分説明をしておくことが求められます。

合意形成や法的なリスクについて、管理組合単独で対応することは難しいでしょう。専門家や実績のあるデベロッパーのサポートを受けることが現実的です。

マンション建替え研究所ではマンション再生に係る情報発信の他、ご質問やご相談にもお応えしています。
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記事監修
マンション建替え研究所 特任研究員
向田 慎二
資格:マンション管理士 / 再開発プランナー / マンション建替えアドバイザー
旭化成不動産レジデンスが参画した、多くのマンション建替えで管理組合をサポート

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