借地権マンションでも建替えは可能?再生の選択肢を解説

更新日:2024年1月#タグ#タグ#タグ#タグ#タグ

現行の借地借家法は1991年に公布(施行は1992年)されました。それ以前の借地権は旧法借地権と呼ばれます。
築年数を考えると現行の借地借家法による借地権マンションで建替えを検討するケースは考えにくいため、本稿では、旧法借地権マンション(※)(以降 借地権マンション)について解説します。
借地権マンションの建替えでは借地権の残存期間等の問題があるため、固有の課題があります。
本記事は、借地権マンションでの建替えの課題について、マンション建替え研究所 特任研究員の向田が解説します。
※:地上権マンションを含む

借地権マンションに固有の課題とは?

――借地権マンションでも建替えは可能ですか?
可能です。ただし、地主との合意が必須であるため、借地権マンションの建替えでは建替え決議の前に、借地権の処理について地主と協議する必要があります。
借地権マンションを建て替える場合、所有権マンションとして建て替える場合と、借地権のまま建て替える場合がありますが、いずれにせよ建替え決議前に地主との合意が必要です。

借地権マンションとして建て替えるか所有権マンションとして建て替えるかの選択

――建て替えるマンションの権利を、借地権とする場合と所有権とする場合にはどのような違いがありますか?

借地権マンションとして建て替える場合は新たな借地契約を結ぶため、地主との新規の契約が必要になります。契約に際しては、現行の借地借家法が適用されますので、定期借地等の契約も可能です。
所有権マンションに建て替える場合は底地の取得費用が必要なため、区分所有者の負担額は多くなりますが、地代の支払い、地代改訂等の地主との協議は不要となります。
いずれの場合でも地主との合意が前提となります。
旭化成不動産レジデンス(以降、当社)の事例では、地主の意向により、借地権マンションを所有権化しないで建て替えた事例(シンテンビル)もあります。

■「シンテンビル」の建替えについて詳しくは下記のページをご確認ください
シンテンビル建替え事業 | 旭化成マンション建替え研究所

――所有権マンションとして建て替える場合の注意点はどのようなことがありますか?

借地権マンションを所有権マンションとして建て替える場合、マンション建替円滑化法(※)による権利変換によって所有権化することはできません。権利変換では権利の種類を変えることはできないのです。
マンション建替円滑化法によって借地権マンションを所有権マンションとして建て替える場合、権利変換の手続き前に、区分所有者全員が借地権割合に応じて地主から底地権を購入する必要があります。一方、等価交換による建替えの場合は、デベロッパーなどが、借地権と底地権の両方を取得することで、所有権マンションとしての建替えが可能です。いずれの場合も地主との合意は必要です。
※:正式名称「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」

権利変換方式と等価交換方式のメリット・デメリットについて詳しくは下記のページをご確認ください
権利変換計画とは?権利変換手続きの流れや内容もわかりやすく解説 | 旭化成マンション建替え研究所

借地権マンションで建替え以外の選択肢は?

――借地権の残存期間が少ないマンションで、建替え以外の選択肢はありますか?

特定要除却認定による、マンション敷地売却も可能ですが、建物の老朽化や耐震性に問題がないのであれば、借地契約を更新するという選択肢もあります。しかし、建替え決議のような多数決による決定ではなく、区分所有者全員と地主の契約が前提となります。仕組み上は可能なのですが、合意形成のハードルは非常に高いといえます。
建替え以外の選択肢も含め、借地権マンションの再生には、区分所有者の合意形成とは別に地主との合意が前提となります。地主との協議にあたっては借地借家法等の知識も必要となるため、管理組合が単独で進めることは現実的ではありません。借地権マンションの再生を検討する場合は、まずは専門家に相談することをお勧めします。

■マンション敷地売却制度について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
マンション敷地売却制度とは?利用のメリットや手続きの流れを解説

■要除却認定について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
要除却認定マンションとは?認定の条件や認定を受けることによるメリットを解説

借地権マンションについてはマンション建替え研究所の最新調査報告書で確認できます。
借地権マンションの課題について詳細に解説しておりますので、ぜひご覧ください。
【調査報告書】
閲覧・ダウンロード「調査報告書Ⅶ 借地権マンションについて」 | 旭化成マンション建替え研究所 | 旭化成不動産レジデンス (afr-bs.jp)

記事監修
マンション建替え研究所 特任研究員
向田 慎二
資格:マンション管理士 / 再開発プランナー / マンション建替えアドバイザー
旭化成不動産レジデンスが参画した、多くのマンション建替えで管理組合をサポート

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