区分所有法の改正でマンション再生は進む?決議要件緩和等について解説
更新日:2024年3月#タグ#タグ#タグ#タグ#タグ

マンション再生を加速するため、区分所有法(※1)の改正が検討されています。
本記事では、予定されている区分所有法改正の内容(※2)と注意事項についてマンション建替え研究所が解説します。
※1:正式名称「建物の区分所有等に関する法律」
※2:区分所有法の改正案の詳細はこちら
法務省:「区分所有法制の見直しに関する要綱案」(令和6年1月16日開催決定)
予定されている区分所有法改正の内容とは?
――区分所有法改正の内容とマンション再生への影響について教えてください
法務省から発表されている区分所有法改正の要綱案では、マンション再生とは関係しない内容を含め、多くの項目があります。
ここでは、マンション再生に関連する項目についてご説明します。
改正のポイントは大きくは2つあります。
1つ目は建替え以外に「建物敷地売却決議」、「建物取壊し敷地売却決議」、「建物取壊し決議」が新たに定められる予定です。
2つ目は耐震性の不足等の客観的緩和事由に該当する場合の決議要件の緩和です。現在「区分所有者総数の5分の4以上かつ総議決権の5分の4以上」の賛成が必要な建替え決議(※3)については、「区分所有者総数かつ総議決権の4分の3以上」に見直される予定です。
なお、客観的緩和事由は、マンション建替円滑化法(※4)の要除却認定相当の5項目となる見通しです。
他にも所有者が不明、または所在が不明である区分所有者(所在等不明区分所有者)を決議の母数から除外することが可能になります。また、建替え決議等が成立すると、賃借人に対して、契約の終了を求めることができるようになる見込みです。
※3:区分所有法62条(単棟マンション)
※4:正式名称「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」


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区分所有法改正のスケジュールと注意点は?

――区分所有法改正のスケジュールと注意点について教えてください
まず、公表された要綱案は確定したものではなく、内容が見直される可能性があります。
スケジュールについては、国会で区分所有法改正が成立した場合も、施行は翌年になる見込みです。緩和された決議要件や、新たな決議が可能になるのは通常、法律施行後ですので、法律施行前に招集された建替え決議には適用されないことになります。
また、決議の母数から除外する区分所有者については、決議招集前に裁判所の決定を受ける必要があります。
他にも、区分所有法の改正によって、マンション建替え円滑化法や被災マンション法(※5)等にも影響が出ると思われますので、注意が必要です。
※5:正式名称「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法」

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- 記事監修
- マンション建替え研究所
- 2011年4月開設。旭化成が注力してきたマンション建替え等において、検討の初期から合意形成も含めたサポートを実施。
幅広く蓄積してきた情報の集約・分析と課題抽出を行い、定期的に情報発信を行う。 - マンション管理士/再開発プランナー/マンション建替えアドバイザー等の資格を持つ研究員が、専門知識を活かして活動。
・管理組合等に対する勉強会やセミナーの実施、行政等主催セミナーでの講演
・国土交通省をはじめ行政からのヒアリングに対応、メディア向け情報発信および取材対応
・建替えノウハウや事例紹介のパンフレット作成、情報分析による「マンション建替え 調査報告書」の定期的発行 - 所属団体:(一社)不動産協会、(一社)再開発コーディネーター協会、定期借地権推進協議会等
著書:「Q&Aマンション建替えのすすめ方」他
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