〜30年来頓挫を繰り返していた建替えを実現〜

江戸川アパートメントは関東大震災後の義捐金によって設立された「同潤会」によって建築された共同住宅「同潤会アパート」の最後の1棟として1934年に建築されました。 他の同潤会アパートと同様に、当初は賃貸住宅でしたが、同潤会の解散(1941年)による管理主体交代等の経緯を経て、最終的には居住者に払い下げられる形で、区分所有建物となっていました。竣工時には、当時の最先端の仕様、設備、間取り等から「東洋一のアパート」と呼ばれた江戸川アパートメントでしたが、老朽化が進んだことや2棟の内、1棟に傾斜(建物の傾き)が確認されたこと等から1960年代には建替えの検討が始まりました。しかし、敷地条件により大幅な床面積の増加が見込めないことや多数の区分所有者の存在から合意形成活動は難航し(管理組合は当初、全員合意による建替えを目指していました。)、何度かの頓挫を経験する一方で、 築60年を超えた建物は構造・設備ともに著しく老朽化が進行していました。

傾斜した建物

森のようだった中庭

様々なデザインの面格子

露出した鉄筋

~旭化成の取り組み~

建替えの検討開始から30年以上が経過した2001年に当社が事業協力者として参画しました。区分所有者の中には、過去の経緯から計画や進め方について様々な意見があり、 何度も頓挫を経験したことで建替えの実現に懐疑的な方も多くいらっしゃいました。管理組合では、建替えを実現するために、当時一般的であった全員合意による建替えではなく、 区分所有法に基づく「建替え決議」による建替えを選択されました。当社では、区分所有者全員との個別面談や専任の高齢者サポート担当の配置等の活動を進め、 2003年に建替え決議が成立しました。建替え決議後に反対された区分所有者の一部からの訴訟がありましたが、区分所有法に精通した弁護士の協力の下で解決し、 翌2004年に着工しました。建物計画では、従前建物の素材や意匠を生かした共用部や区分所有者の皆さんの愛着が深かった従前建物の中庭を回遊式の屋上庭園で再現するなど、 建物の歴史と区分所有者の皆さんの想いを反映したデザインを実現しています。

回遊式屋上庭園

住棟のサインとして再利用された面格子

共用部に階段を再現

再現された「社交室」