隣接地(隣接施行敷地)との共同化によるマンション建替えについて解説

更新日:2024年3月#タグ#タグ#タグ#タグ#タグ

マンション建替えでは、隣接地(マンション建替円滑化法(※1)では隣接施行敷地と呼ばれます)と共同化している事例があります。隣接地との共同化には、どのようなメリットが考えられ、どのような課題があるのでしょうか。
本記事では、隣接地との共同化によるメリットや、合意形成活動等の注意点について、マンション建替え研究所 特任研究員の向田が解説します。

※1:正式名称「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」

隣接地と共同化するメリットは?

――マンション建替えで隣接地と共同化するメリットについて教えてください。

隣接地との共同化による建替えでは、敷地面積が大きくなること、敷地形状が整形化すること、接道条件が改善すること等から、単独敷地での計画よりも、建物計画が改善できる可能性があります。例えば、隣接地と共同化することで、マンション建替円滑化法の容積率の特例や、総合設計制度の利用が可能になれば、区分所有者の皆さまにも大きなメリットがあります。

隣接地と共同化する場合の合意形成活動

――隣接地と共同化する場合の合意形成活動について教えてください。

隣接地所有者と共同化の協議を始めるためには、共同化について管理組合として合意していることが必要です。
区分所有者の皆様に納得していただくために、共同化によるメリットや、それに伴う負担について、単独敷地での建替えとの比較を含め、合意形成活動を進めることになります。
その後の隣接地所有者との協議にあたっては、隣接地所有者に対しても共同化のメリットを提示する必要があります。

隣接地と共同化による建替えの注意点

――隣接地と共同化による建替えの注意点を教えてください。

共同化の検討では、隣接地の取得に伴う負担と建物計画上のメリットを比較することとなりますが、条件等によっては、事業計画上有利にならないケースもあり得ます。
共同化を前提に建替え決議を行うことになりますので、建替え決議後に隣接地が共同化を拒否した場合は、決議が無効になるリスクがあります。一方、隣接地所有者と合意していても、法律上の制約から管理組合が隣接地を購入することはできません。
他にも、マンション建替円滑化法組合施行の場合、隣接地所有者は建替組合の組合員にはなれないため(※2)、権利変換による住戸の取得はできません。

※2:隣接地もマンションの場合は、それぞれに建替え決議を実施後、共同して建替組合を設立し、権利変換をすることが可能です。

共同化した場合のメリットの確認や、隣接地所有者との協議を管理組合だけで行うことは難しいでしょう。早期に専門家へ相談することをお勧めします。
マンション建替え研究所ではマンション再生に係る情報発信の他、ご質問やご相談にもお応えしています。
お気軽にお問い合わせください。

隣接地と共同化したマンション建替えの事例

――隣接地と共同化したマンション建替えの事例を教えてください。

共同化による建替え事例について2件ご紹介します。
1つは、マンション建替円滑化法組合施行による事業で、天城六本木マンションとホーマットガーネットという2棟のマンションと、隣接する個人所有ビルの3区画を共同化した事例です。共同化により総合設計制度の利用が可能になることから、共同化はそれぞれにとってメリットがありました。
しかし、2棟のマンションの共同化による建替組合設立は全国初の事例であり、前例のない手続きや2つの管理組合での合意形成活動は大変難しい作業でした。
合意形成活動では、区分所有者の皆さまが最も重視した「公平さ」を確保するため、それぞれのマンションから委員を選出し、共同して検討組織を立ち上げました。検討組織内で納得するまで議論を重ね、全体での説明会等を実施することで合意形成を進め、双方のマンションで建替え決議が成立しました。

  • ■建替え前 
  • ■建替え後

2つ目は、等価交換事業による建替えで、隣接する一戸建て5区画との共同化による建替えを行ったビレッタ朝日の事例です。建替え前のビレッタ朝日は容積率を使い切っており、敷地も不整形であったことから、建替えによる床面積の増加が見込めない状況でした。一方で、隣接地の建物はいずれも著しく老朽化していながら、計画道路の制約により、建替えても容積率が有効に使えない状況でした。共同化による建替えは双方にとってメリットがありましたが、管理組合が隣接地と協議することは難しい状況でした。当社が事業協力者として参画し、隣接地も含めた合意形成活動を進めることで共同化を実現しました。

  • ■建替え前 
  • ■建替え後
関連実例

ビレッタ朝日建替え事業について詳しくはこちらをご覧ください。

ビレッタ朝日建替え事業の実績、実例、事例についてご紹介します。

■その他のマンション建替え事例について詳しくは下記の資料もご覧ください

記事監修
マンション建替え研究所 特任研究員
向田 慎二
資格:マンション管理士 / 再開発プランナー / マンション建替えアドバイザー
旭化成不動産レジデンスが参画した、多くのマンション建替えで管理組合をサポート

関連コラム

新着コラム

お問い合わせ

お電話でのお問い合わせは

受付時間:平日9:00〜18:00