建替え実績

国領住宅
建替え事業

理事インタビュー
建替えに至った理由や
合意形成活動などについて
理事経験者に伺いました。(2016.11)

区分所有者の居住率は50%以下。

ー国領住宅では区分所有者ご本人がどのくらい住まわれていたのでしょうか?
M様:144戸のうち区分所有者が住んでいるのが、最終的には半分以下でしたね。

ー残りは賃貸とか空室になっているとか
M様:そうですね。空室になっていた住戸もかなりありましたけれども、駅から近いですから、賃貸にした方は、それなりの家賃で貸せていたようです。

リノベーションが流行っていますが、私たちは古い配管とかで苦労してるから。

ー建替えに至った理由は何ですか?
M様:いちばんの理由は老朽化の問題ですね。水道管が錆びて赤水が出たりしました。それ以外では、4階建てだったのにエレベーターがなく、ご高齢の方からは「4階まで上がるのがきつい」という声も多く聞かれましたし、部屋が狭くて住み難いということもありました。O様:今リノベーション流行ってますでしょ。古い団地をリノベーションして綺麗にってよく雑誌で見ますが、綺麗になっているけどメンテナンスも含めお水とか大丈夫なのでしょうか?内装だけ見るとすごく素敵になっているけど。でも、やっぱり配管は傷んでいる、錆がでるだろうなと思っているのですけど。

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  • 国領住宅建替え前の配管の状態

印象に残っているのは、やはり建替え決議。夜遅くまで話し合っていました。

ー建替え決議に向けた合意形成活動で印象に残っていることはありますか?
C様:建替え決議に向けて古い国領団地の理事さんが集まって、夜遅くまでいろいろ真剣に話し合ったことが今でも印象に残っています。どうなるかわからない状況の中で、我ながら一生懸命やったと思います。H様:私の場合、建替えに際しては新参者の地権者でした。建替えを待ちきれない方が、よそへ家を買われて、その方からどうしてもということで、国領住宅を購入しました。ですので、建替えの長い長い歴史にはタッチしてないのです。マンション建替法の改正が施行される、少し前から参加させてもらっています。

理事が一丸となって合意形成活動を推進しました。

ー理事会での議論以外にどんなご苦労がありましたか?
O様:連絡がつかない区分所有者がいらっしゃいました。夕方になるとMさんと二人で管理事務所にいつも居たというイメージです。最後の決議の時は、管理事務所に控えて帰宅して来る人を待ったこともありました。建替え決議までほんとに長い歴史でした。Mさんと二人でよく頑張ったと思います。M様:ほんとに皆さん、協力してくださいました。あれだけの皆さんが力を合わせたのはすごいことだなと印象に残っています。

当初は建替えできないだろうと思っていました。問題が山積みでしたから。

ー他にも合意形成活動で印象に残っていることはございますか?
SM様:そうですね、当時の旭化成さんは、非常に丁寧な接し方でした。住民の一人一人の意向は千差万別でしたから。それをすくってくれて、よく熱心に話を聞いてくれていると感じました。その辺りは、それまでお付き合いした会社とは違うと感じました。それと、恵まれていたのは管理組合のメンバーです。専門性をお持ちの方や女性の理事の方がいたから、皆がまとまって一致できたのだと思います。ST様:僕も当初からいたわけじゃないですが。当初、この団地は建替えできないだろうなと思っていました。また、旧国領住宅が隣の都営住宅と一体で都市計画法や建築基準法の一団地の枠がかかっていて、都市計画法の団地を外すのにどれほどの時間がかかるかなということ。それと検討当初は区分所有法の改正前で、建替え実現には賛成の比率が5分の4という要件以外に費用の過分性※が必要だったということ。建替えなんかしなくて、修繕積立金があるから修繕すればいいじゃないかという意見もある中で、Mさんと私で相談して、なんとか建替えの方に住民を説得するように、維持には費用がここまでかかりますよという説明会まで開きました。災害時の二方向避難の確保とバリアフリーのための簡易なエレベーターの設置を想定すると、その当時で1戸当たり760万円くらいかかったと思います。そのお金を払ってまで、修繕をしますか?それだったら建替えの方がいいと思いませんか?というような話です。

※当時の区分所有法では、建替え決議の成立には4/5以上の賛成の他に「建物の維持には建替えに比べ過分な費用が必要であることを示す」ことが必要でしたが、決議が成立しても費用の過分性を争点とした訴訟も想定されることから、建替え決議によらない「全員合意」による建替えが一般的でした。

街に子供が増えてハロウィンに集まったのは100人くらい。盛大でした。

ー建替え後の暮らしについて伺います。M様は、建替えを機に同じ「アトラス国領」の中でご子息家族と近居されていると伺いましたが、いかがですか?
M様:息子夫婦は共働きなので。都合がつかない時や体調がよくない時は私が孫の面倒をみます。そういう時に近居は便利だなと思います。でも、2週間くらい会わない時もありますよ。元気だと会わないですよ。

ーお子様の数がすごく増えましたが、夏祭りとかのイベントもあるのですか?
M様:花火は毎年やっていますね。あとハロウィンの時に集まったのは100人くらいかしら。すごく盛大でしたよ。O様:七夕の時も入り口のところに、笹を飾って皆でお願い事をするのを続けていますね。

旭化成さんじゃなかったら、とっくの昔に放り出していますよ。

ーでは、建替え全体を通じて印象に残っていることを教えていただきたいと思います。
C 様:国領住宅は長い間、当時の住宅公団とコントラクトしていて。長い歴史があって建替えしようという話は昭和39年の早い段階からありました。いろいろな人がいて、とても建替えられないじゃないかという感想をもった時がありました。旭化成さんが入ってきて真面目に取り組んでもらったから建替えられたのかなと思います。ST様:そうですね。旭化成さんの粘りっていいますかね。都市計画法の団地の問題には、あの手この手で頑張って、ほかのデベロッパーだったらとっくの昔に放り出していますよ。粘り腰でやっていただいたということで本当に良いデベロッパーさんに巡り合えたなぁと思います。かつての国領住宅に住んでいた人たち、いろいろな設備の問題等で住宅として現在の基準からかけ離れているのですが、その状態に馴染んでしまった人たちを説得することの難しさがありました。以前の家は、冬場は寒いわ、水は赤水だわ、風呂水は真っ赤になるから3回も入れ替えて風呂を沸かさなきゃいけないとか、上層階の人は水がちょろちょろしか上がってこないから風呂に2時間もかけて水を入れなければいけなくて、こんなに不便なのによく住んでいられるなと思っていました。でも、おかげ様で、よい建物になって、おそらく皆さんすごく満足されているのではないかなと思っています。旭化成さんには感謝しています。SM様:とにかく私も途中は半信半疑で、ある何人かの人によって絶対に進まないな。と思っていました。それ以前の管理組合の役員をやっている時も1戸当たりの修繕積立金だとか、不具合の修繕とか、日常的にトイレが溢れるとか赤水の問題など、色々対処している中で、管理組合の役員会の中でも罵声が上がり役員としてのやる気をそいでしまう発言などもありました。一生懸命やっているのに、こてんぱんにやられちゃった可哀そうな人もたくさん見てきましたから、時間が掛かりましたけど無事に建替えが実現できてよかったと思います。

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専門的なことでも自分たちでやるという気概を持たなくてはだめですね。

ー最後に、今、建替えを検討しているマンションや団地に住んでいる管理組合の方に何か一言アドバイスをお願いします。
ST様:皆さん条件は違うでしょうが、ただ、建替えをやろうと思っている土地の規制がどうなっているかということでしょうか。都市計画法にひっかかっているのかということとか。我々は都市計画法の一団地の縛りを外すということに大変な苦労がありましたから、自分たちの住んでいるところの規制がどうなっているのか知るべきですよね。C 様:建替えを検討している頃はいろんな人が自分の損得でものを言い出すと、まとまらないですよね。ST様:幅広いメンバーが建替え検討の委員会に集められるかどうか、それである程度決まってしまうのではないかと思います。住民側で本気で取り組んでもらえる人を集めないといけない。あと、専門的なことでも他に任せるのでなく自分たちで勉強して自分たちでやるという気概を持たなくてはだめですね。振り返ればそれが出来たから、建替えることが出来たと思っています。

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