猫同士の相性の見極め方

猫は犬よりも多頭飼育をしている人が多いというデータがあります。単純に猫が好きでたくさん飼いたい方以外にも、留守番する時間が長くて1匹で待っているのがかわいそう、という理由で2匹目を飼ったという方も多いでしょう。また猫は1匹でも2匹でもあまり世話の大変さが変わらないというポイントも大きいでしょう。
多頭飼育をするにあたって、猫同士の相性は避けて通れません。相性の良い組み合わせや、相性を見極めるポイントについて解説します。今回は前編として、相性の良い組み合わせ、悪い組み合わせについて説明します。
仲良くなりやすい猫の特徴

①兄弟姉妹
1番仲良くなりやすいのはやはり生まれた時から一緒にいる兄弟姉妹です。社会化期といって、動物が社会的な行動や他の動物との関係を学ぶ上で大切な時期があります。猫ではこれが生後2〜9週齢とされており、この間に母猫、兄弟猫、人と多く交流することで社会性の高い猫になる可能性が高まります。その時期に一緒にいた兄弟姉妹、または親猫とは生涯仲が良いことが多いです。
②性格の似ている猫
猫の性格は大きく分けるとアクティブ(積極的)とパッシブ(消極的)に分かれます。アクティブの特徴として、飼い主の後ろをついて回る、注意を引くためによく鳴く、遊びに貪欲、などがあげられます。パッシブの特徴としては食事やおやつを他の猫に譲りがち、あまり鳴かない、飼い主への依存度が少ない、などがあげられます。性格の異なる猫同士だと、特にパッシブの猫がストレスを感じやすく本気の喧嘩に発展する危険性があります。
③比較的若い猫同士
人でも同じことが言えるかもしれませんが、年齢が高くなるにつれて気難しくなるのか仲良しになるのが難しくなります。猫の場合は7歳で中年、人でいうと40代ぐらいです。それ以降だとなかなか打ち解けることが難しいかもしれません。反対にまだ子猫だったり、2〜3歳の場合は仲良くなる可能性が高まります。
仲良くなりにくい猫の特徴
①年齢差の大きい場合
高齢の猫同士以上に、歳の差が大きい猫同士の方が仲良くなるのが難しいです。往々にして先輩の高齢猫に対して若い猫がちょっかいを出して強くストレスを感じます。同居猫が亡くなった時に、寂しそうだからと新しい猫を導入しようとする気持ちは大変よく分かりますが、既にシニア猫の場合は、より相性に気をつけましょう。

②猫嫌いの猫
「猫嫌いの猫」というとふざけた感じもしますが、人には懐っこいのに他の猫にはシャーシャー威嚇する猫がいます。一説には自分が猫ではないと思っている、という風に表現されます。動物病院で働いていても獣医にはスリスリするのに、他の猫が視界に入った途端に唸る猫がいます。そのようなタイプの猫は当然、多頭飼育には向きません。
このように猫同士が仲良くなるのはある程度予想がつきます。オス × メスよりメス × メスの方が良いという話も聞きますが、オスの方がアクティブな場合が多く、メスの方がパッシブが多いところから来ているのかもしれません。性別というよりは猫のタイプの方が重要だと感じます。
また、多頭飼育する場合は必ず避妊去勢をしましょう。子供ができるのを予防するだけでなく、同性でも縄張り意識が強まり緊張度が高まります。
次回は、実際に猫が対面した時にどのような行動が仲良しなのか、また仲が悪い時の特徴なのかを解説します。
山本先生のもっと知りたい“猫”のこと

山本宗伸先生プロフィール
猫専門病院『Tokyo Cat Specialists』院長・獣医師
授乳期の仔猫を保護したことがきっかけで猫の魅力にはまり、獣医師になることを決意。獣医学生時代から猫医療の知識習得に力を注ぐ。都内猫専門病院で副院長を務めた後、ニューヨークの猫専門病院 Manhattan Cat Specialistsで研修を積む。著書「猫のギモン!ネコペディア」。国際猫学会ISFM所属。日本大学獣医学科外科学研究室卒。ブログ『猫ペディア』https://nekopedia.jp/
