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もっと知りたい“猫”のこと|第17回

冬のおすすめ猫グッズ

今年は暑さが10月頃まで続き、ようやく涼しくなってきたと思ったらあっという間に冷え込んできました。
冬になると飲水量が減るため、泌尿器の疾患に注意するべき、といわれています。最近の統計データでも12月が最も発生件数が多いと報告されており、やはり注意が必要でしょう。猫はエジプトに住んでいたリビアヤマネコを起源としているため暑さに強いですが、寒さは得意ではありません。
今回は、冬を乗り越えるおすすめ猫グッズを紹介致します。

蓄熱式湯たんぽ

防寒アイテムは数多くありますが、おすすめは蓄熱式の湯たんぽです。
日本の伝統的なコタツは置く場所が限定されますし、ホットカーペットは全身が温まりすぎて、高体温になる危険性があります。
その点、湯たんぽは設置面積が限定されるので、猫が自分で当て方を調整できます。またコードがなく、それほど大きくもないので、どこにでも置けます。そのため猫がリラックススペースを変えずに、ぬくぬくできるのも利点です。
当院でも、ホテルや入院の猫に使うことがしばしばあります。ただし、噛み癖がある猫は使わない方が安全でしょう。

加湿器

猫は尿量が少なく乾燥に強いですが、呼吸器の病気があると悪化しやすいので適度な湿度を維持しましょう。また、静電気対策にも湿度は有効です。
目標湿度は、人と同様40〜60%であれば大丈夫です。
加湿器は、やはりペットモードや空気清浄機能を併用している気化式のものが良いでしょう。猫は音や風の音も気にするので、静音で端においても十分部屋のサイズをカバーできるパワーがあるものにしましょう。

加熱ボウル(加温ボウル)

上記のように、冬は泌尿器が悪化しないよう気をつけましょう。
一番の対策は、飲水量を増やすことです。猫は、水の温度が10度以下になると飲水量が減ると考えられており、どうしてもボウルを床に置くと冷えてしまう場合は加温機能のあるボウルを使うと良いでしょう。
また高齢の猫は体温が下がりやすいので、長寿猫にも有効です。もちろん猫舌ですので、人間が触ってぬるい程度まで温まれば十分です。

まとめ

最近は防寒猫グッズも増えており、猫テントなど見た目がかわいいものもあります。最終的には愛猫が気にいるかどうかなので、試してみないと使うか分からないのが猫グッズを選ぶ上で難しいところです。
一方で犬のように服を着せるのは嫌がる上に、毛玉もできやすくなるので猫には向いていないでしょう。
冬場は一層猫が寄り添ってきますので愛猫家にとっては良い時期ですが、猫の健康にも気をつけて元気に冬を乗り切りましょう。

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山本先生もっと知りたい“猫”のこと

山本宗伸先生プロフィール

猫専門病院『Tokyo Cat Specialists』院長・獣医師
授乳期の仔猫を保護したことがきっかけで猫の魅力にはまり、獣医師になることを決意。獣医学生時代から猫医療の知識習得に力を注ぐ。都内猫専門病院で副院長を務めた後、ニューヨークの猫専門病院 Manhattan Cat Specialistsで研修を積む。著書「猫のギモン!ネコペディア」。国際猫学会ISFM所属。日本大学獣医学科外科学研究室卒。ブログ『猫ペディア』https://nekopedia.jp/