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もっと知りたい“猫”のこと|第15回

夏の抜け毛対策

いよいよ夏本番を迎える季節になってきましたが、皆さんのお家の猫ちゃんはどうお過ごしでしょうか。
猫という動物はあまり周りを気にしないのか、暑くなると体を限界まで伸ばしてだらけた姿勢で熱を逃がします。「うちの猫は頭から尻尾までこんなにも長かったのか」と毎回驚かされます。さらに暑い日が続くと、猫も少しでも涼しくするために自然と毛が落ち、目立つようになります。多頭飼育をしていたり、長毛種の場合だとその量も半端ではありません。
今回は夏の抜け毛対策を紹介します。

ブラッシング

どんなにブラッシングをしても、どんどん毛が取れてくるので「いつまでやっていいか不安です」と相談されることがあります。基本的にブラッシングのしすぎということはありませんが、稀に地肌が見えるほど毛が少なくなっている猫もいるので注意しましょう。
猫がブラッシング好きか否か、また忍耐力にもよりますが、長くても1日10分以内にしておきましょう。ブラッシングをする前に霧吹きで適度に湿度を与えておくと、ブラッシング中に毛が舞わずやりやすいです。

左からコームタイプ、ラバータイプ、スリッカータイプ

ブラシの種類にはコームタイプ、ラバータイプ、スリッカータイプがあります。
基本的にコームは毛並みを整える用、スリッカータイプは長毛猫向けですが、猫にも好みがあるので嫌がらないものを選ぶと良いでしょう。例外的に掃除機に吸われるのが好きな猫もいて(基本的に猫は掃除機の音が嫌い)、掃除機で抜け毛を吸っているという話も聞いたことがあります。

シャンプー

シャンプーで毛を取る

定期的にブラッシングするのが苦手な場合、シャンプーの方が1回で余った毛を落とすこともできます。シャンプーをすると一回り小さく見えるぐらい毛が落ちる猫もいます。
ただ猫の毛は脂が少なく、あまり頻繁にシャンプーをすると毛がバサバサになってしまうので、多くても数ヶ月(3〜4ヶ月)に1回にとどめましょう。

トリミング

ライオンカット

猫もトリミングすることができます。すでに大きな毛玉ができてブラシが通らない場合はトリミングするしかありません。
猫のトリミングは頭と手先だけを残す、いわゆる「ライオンカット」が一般的です。また被毛のアンダーコート(下毛)だけのカットをするレーキングという方法もあります。レーキングは、髪をすくような感じなので、ライオンカットほど抜け毛対策の効果はありませんが、見た目が変わらないという特徴があります。
ただし、トリミングは猫の性格的に許容できないこともあります。その場合は鎮静が必要になりますが、鎮静をかけるデメリットについては獣医師から説明を受けて判断してください。これはシャンプーでも同様のことがいえます。

~最後に~

猫によっては抱っこすら難しいこともあり、何もできないと相談されることもしばしばあります。その場合は抜け毛をこまめに掃除するしかありません。
私も猫と暮らしていますが、できるだけ抜け毛が目立たないよう、カーペットの色を猫の毛色に合わせる、自動掃除機を毎日セットする、猫の毛がくっつきにくい素材のソファやベッドカバーなどを選ぶ、など工夫をしています。
猫の好みを見極め、臨機応変に対応して、夏を乗りきましょう。

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山本先生もっと知りたい“猫”のこと

山本宗伸先生プロフィール

猫専門病院『Tokyo Cat Specialists』院長・獣医師
授乳期の仔猫を保護したことがきっかけで猫の魅力にはまり、獣医師になることを決意。獣医学生時代から猫医療の知識習得に力を注ぐ。都内猫専門病院で副院長を務めた後、ニューヨークの猫専門病院 Manhattan Cat Specialistsで研修を積む。著書「猫のギモン!ネコペディア」。国際猫学会ISFM所属。日本大学獣医学科外科学研究室卒。ブログ『猫ペディア』http://nekopedia.jp/