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ドッグトレーナーのわんポイントレッスン

ドッグトレーナーのわんポイントレッスン 第8回

問題行動その④ 散歩中の問題行動について 後編

こんにちは!ドッグトレーナーの佐久間です。
今回は前回に引き続きまして、散歩中の問題行動の下記3~5番についてお話していきます。

  1. 引っ張る犬
  2. 歩かない犬
  3. 拾い食いをする犬
  4. 他の犬に吠えてしまう犬
  5. 車やバイクなどに吠えてしまう犬

前回の記事の『★準備編』と合わせてお読みくださいね!

★実践編

3. 拾い食いをする犬

これも、引っ張る犬同様に、飼い主を意識しないで歩いている状態が多いです。しっかりと飼い主を意識させて、自分勝手な行動をとらせないようにしましょう。

拾い食いをする犬は、だいたい歩いている最中から地面のニオイを嗅ぎながら歩いている場合が多いです。まずは、このニオイを嗅ぐ行動を注意するようにします。

散歩中に犬がニオイを嗅ぎ始めると、飼い主の事を無視しがちになります。

首輪の位置とリードの長さが適切に出来ている場合は、犬の顔が下を向こうとした瞬間に、リードを持っている手に引っ張られる感覚が来るはずです。その瞬間に、声で注意しながら犬の顔を元の場所に正すように、リードを鋭く一瞬だけ引き上げます。(首輪の位置が高い位置にないと効果がありません)
その際、首が締まりっぱなしにならないように、合図を送ったら毎回リードを緩めるように心掛けてください。

歩いている最中にニオイを嗅ぐ行動を止めさせることができれば、歩いている最中の拾い食いは劇的に減るはずです。
また、排泄を促す為、犬にニオイを嗅がせたい場合は、必ず食べ物などが落ちていないか安全の確認をして、飼い主の許可でニオイを嗅がせるようにしましょう。

ニオイを嗅がせたいときは、一度手前で待たせて、アイコンタクトを取ったら許可をしてあげると良いでしょう。

拾い食いをする犬は、飼い主が気を抜くと一瞬の隙をついて何かを口にしてしまう可能性があるので、飼い主は気を抜かないことが大切です。

4. 他の犬に吠えてしまう犬

他の犬に吠える理由は、様々な理由が考えられますが、その多くが飼い主と犬の関係性が上手に築けていない事が原因になります。

飼い主が犬よりも強いリーダーシップを発揮できていない為、犬が群れのリーダーの役割を担ってしまっています。
また犬が、他の犬との関わり方を多く学んで来なかった場合、どのように振る舞えばよいのか分からずに、無害な犬に対しても、警戒して吠えかかるようになってしまいます。

犬の歩いている位置に注目しましょう。普段から歩くときに犬が先頭を切って歩いている場合、犬がリーダーシップを執っているので、まずは散歩の仕方を見直す必要があります。犬は飼い主の横、もしくは少し後ろが理想的です。

飼い主が引っ張られて散歩をしているケースをよく見ますが、これでは犬がリーダーになってしまいます。

次は犬の様子です。一番わかりやすいのは耳の位置でしょう。理想的な耳の位置は、後ろに来てペタンとしている状態です。この状態は従順な態度を示しています。耳がピンと前を向いたままになったら他のものに気を捉われている証拠です。声の合図と共にすかさずリードを鋭く引き、注意を逸らしましょう。また、吠えてしまった場合も、同様に注意をします。

耳が後ろに来ている時は、比較的落ち着いている状態です。

このように耳が立った状態は、吠える前の行動です。

それでも犬が凝視し続ける場合は、ゆっくりと方向を変えて背中を向けさせるようにします。その際に犬が後ろを振り向こうとしたら、リードを引いて注意します。
尚、注意をしても吠え止まない場合や興奮が収まらない場合は、吠えている対象物との距離が近すぎることが考えられます。
一度、対象物との距離を取って、興奮を抑えるようにしましょう。

他の犬が近くに居ても従順な状態でいられるようになったら、優しく褒めてあげましょう。

褒める時は、わざわざ撫でなくても気持ちを込めれば声と表情で伝えることもできます。

5. 車やバイクなどに吠えてしまう犬

この行動は、ボーダーコリーやシェルティなど、牧羊犬として使われてきた犬種に多くみられます。動くものに対して攻撃をするという、牧羊犬の本能的な行動になりますが、放っておくと、繋がれているリードや、飼い主の手や足に咬みつきに来ることもありますので、しっかりと対処しなければ危険です。

まず初めに、このような行動を取る犬のほとんどが、運動不足であることが多いです。練習の前に十分な運動をさせておくと良いでしょう。

何かに対して吠えかかる犬は、とても高い興奮状態の為、本能的に近くにあるものに咬みつく危険性があります。じゅうぶん周りに注意しましょう!

ある程度体力を消耗させることが出来たら、あとは「4.他の犬に吠えてしまう」場合と同じように対処してみましょう。

このように日頃から刺激を求めている犬は、アジリティやフライングディスクなど、何か犬に仕事を与えてあげることをお勧め致します。もしお近くに体験できる場所がある場合は、積極的に通ってあげるようにしましょう。

アジリティなどを使うと、身体だけではなく、頭も同時に使うので、効果的に犬のエネルギーを発散させることが出来ます。

以上『散歩中の問題行動について 後編』をお話致しました。

ここでお話した方法は、あくまでも対処方法の一例に過ぎません。ご自身で試してみて改善が見られない場合は、問題行動が悪化する前に、専門家に実際に見てもらっての対処をお勧め致します。

それでは次回もお楽しみに!

著者プロフィール - 佐久間 力

ドッグトレーナー、ペットアドバイザー。1981年、千葉県生まれ。2006年に専門学校東京スクール・オブ・ビジネス ペットビジネス学科卒業。現在は目黒区のペットサロン「Grunewald(グルーネヴァルト)」で店長を務めると同時に、母校でドッグトレーナーの講師として学生への指導を行っている。