ドッグトレーナーのわんポイントレッスン
問題行動その③ 散歩中の問題行動について 前編
こんにちは!ドッグトレーナーの佐久間です。
公園を歩いていると、散歩をしている犬達をたくさん見かけます。上手に飼い主の横を歩けている犬もいますが、中には以下のような散歩するのが大変そうな犬もいます。
- 引っ張る犬
- 歩かない犬
- 拾い食いをする犬
- 他の犬に吠えてしまう犬
- 車やバイクなどに吠えてしまう犬
そこで『散歩中の問題行動』の中でも、よくある上記5つのパターンの対処方法について、前・後編に分けてお話していきたいと思います。

上手に散歩出来るようになれば、これくらいの頭数でも楽に散歩出来るようになります!
尚、ここで紹介する方法は、数ある対処法のひとつに過ぎません。犬によっては効果が出ない場合もあるので注意してくださいね!
★準備編
実践に入る前に、犬に正しく合図を送る為、また、事故や怪我が無いようにする為に、しっかりと準備をしましょう。
STEP1:首輪を準備する
散歩での問題行動に対処する際には、胴輪(ハーネス)はあまり向いていません。胴輪とは元々、犬が荷物を運んだり引っ張ったりするために作られたものなので、犬の力が最も発揮されやすい道具です。その為、ここでは首輪を使用していきたいと思います。
また、首輪にも色々と種類があります。ベルトタイプのものや、バックルタイプのもの。しつけに最も効果的なのは、チョークチェーンといった、引くと首が締まるタイプの首輪です。
しかし、チョークチェーンは正しい使い方をしないと、首が強く締まりっぱなしになってしまったり、首回りの被毛が毛切れを起こしたりしてしまうため、使用する際は注意が必要です。
チョークチェーンほどの効果は無いですが、ハーフカラー(ハーフチョーク)というものもあります。これは、ある程度締まるとそれ以上は締まらなくなるようにできている為、チョークチェーンよりも扱いやすく、毛切れも起こしづらくなっています。

ベルトタイプ

バックルタイプ

チョークチェーン

ハーフカラー
STEP2:リードを準備する
リードは伸縮性のないものを選び、長さはだいたい90cm位から長くても180cm位のものにしましょう。素材は滑りにくいものを選び、太さは握りやすいサイズにしましょう。

「スリップリード」又は「トレーニングリード」など、首輪と一体型になっているリードもあります。ご自身で使いやすい道具を選びましょう。
STEP3:道具を着ける
道具が揃ったら、実際に犬に着けてみましょう。ここで注意することは2つ。「適切なサイズで着ける」事と「首輪を着ける位置」です。
まずはサイズですが、ベルトタイプや長さの調節が可能なバックルタイプの首輪を着ける際は、首に巻いたときに指が1本入るくらいに調節してください。あまり余裕がありすぎると、首輪が抜けてしまう可能性があります。

首輪の長さを調整する際は、必ず首の高い位置(耳のすぐ後ろ)で調整するようにしましょう。
次に位置ですが、首輪を着ける際は、首の高い位置に着けるようにしましょう。そうすることで、効果的に指示を出すことが出来ます。
ただし、首輪を高い位置に着けていてもすぐに落ちてきてしまいますので、こまめに直すように心掛けてください。
STEP4:リードの持ち方
※犬が左側の場合。右側の場合は左右逆に考えてください。まず初めに、犬の前脚と自分の脚が揃った状態を作ります。そして、右手でリードの先端を持ち、左手で軽くリードを握ります。 リードの握り方は、下からすくって持つのではなく、小指を下にして上から被せるようにリードを握ります。


リードを持つ際には左の写真のように持つのではなく、右の写真のようにも持つようにしましょう。
次にリードを持つ長さですが、長すぎると犬がフラフラと歩いたり突然走り出した際に勢いがついたりして危険なので、首が締まりっぱなしにならない程度に短く持つようにしましょう。長さを調節する際は、左手をリードから離さずに、滑らせるように調節するようにします。
握り方と長さが調節出来たら、右手に持っているリードの先端を、左手にまとめて片手で持ちます。引っ張る力の強い犬は、そのまま両手で持っていても構いません。また、左手の甲にリードを一巻しておくと、リードが滑りづらくなるので良いでしょう。
ここまで準備が出来たら、実践に移ってみましょう。
★実践編
1. 引っ張る犬
飼い主を意識せず、自分勝手に歩かせている状態です。しっかりと飼い主を意識させて歩かせるようにしましょう。
① リードが弛んだ状態で飼い主の左側に犬が静止した状態を作ります。合図を送る時以外は、必ずリードを弛ませて下さい。

姿勢は背筋を伸ばしてリラックス!肩・肘は張らずに胸を張り、堂々と見せることが重要です。
② 犬に一声(「おいで」や「いくよ」など、なんでも構いません)掛けて歩き始めます。
また、歩く際は背筋を伸ばして胸を張り、リラックスして堂々と歩くようにします。
③ 引っ張り癖の強い犬は、歩いて一歩目で前に出ようとすると思います。リードを持っている手に、少しでも引っ張られる感覚があったら、すぐさまリードを一瞬だけ素早く横に引きます。
この時に、しっかりと言葉でも注意しましょう。タイミングよく合図が送れていれば、そのうち言葉だけでも反応するようになってくるでしょう。
また、リードを引く力が弱すぎると全く効果が無いので、犬が反応する強さを調節してください。

このような状態になってからでは遅いです。リードが突っ張りきる前に合図を送れるのが理想です。もし、突っ張ってしまったら、一瞬だけリードを弛めてから合図を送るようにします。
④ ①~③を何度か繰り返すことで、犬が飼い主を意識して歩けるようになってきます。歩いている最中に目が合ったら、優しく褒めてあげましょう。
2. 歩かない犬
犬に大きな怪我や病気が無ければ、これはただのわがままです。飼い主は気付かないうちに、犬にコントロールされている状態です。そうならない為にもしっかりと、飼い主の後をついて歩かせるようにしましょう。
① 歩いている最中に犬が止まってしまったら、まずはリードが犬の顔の下から出るようにします。上から出ていると首輪が抜けやすいので注意してください。

リードはこのように顔の下から出るようにします。
② その状態で犬の正面から声を掛けながらリードを引き続けて、犬に違和感を与え続けます。リードを引くのは、力ずくで歩かせるのではなく、違和感を与える為という事を忘れないでください。もし、犬が反抗して後ろに下がろうとしても、絶対に下がらないでください。
③ リードを引き続けていると、踏ん張ることに疲れて犬が前脚を一歩前に出す瞬間があるはずです。その瞬間に引いているリードを弛めて違和感を無くすと同時に、しっかりと褒めてあげます。

一歩踏み出した瞬間のタイミングが重要です。
④ ①~③を何度か繰り返すことで、犬が「わがまま言っても無駄だな」と諦めるようになります。リードを引く時間が短くなったり、声だけで歩くようになってきたら、たくさん褒めてあげましょう。
以上、『散歩中の問題行動について 前編』をお話致しました。
次回は、『散歩中の問題行動について 後編』についてお話ししていきます!お楽しみに!
著者プロフィール - 佐久間 力
ドッグトレーナー、ペットアドバイザー。1981年、千葉県生まれ。2006年に専門学校東京スクール・オブ・ビジネス ペットビジネス学科卒業。現在は目黒区のペットサロン「Grunewald(グルーネヴァルト)」で店長を務めると同時に、母校でドッグトレーナーの講師として学生への指導を行っている。