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わが子の将来を考える|第13回

シニア犬の食事について:前編

食事とは体を支える栄養素を摂取することであり、生きていく上で欠かせない大切なものです。
しかし、欲しいものを欲しがるままに与えていれば、健康を害する結果にもなり得るものです。

特にシニア期になると、内臓機能の衰えなどにより、摂取した食べ物を正しく消化吸収できず、肥満の原因やアレルギーなどの問題にもつながる恐れが出てきます。
また、心身の機能が衰えたことで食欲が落ち、食べてほしいのに食べてくれない、ということも起こりえます。

シニア期の犬たちにとって望ましい食事とは何か、一緒に考えていきましょう。

ステージに合った食事を用意することが大切

さて、健康的なシニア期を送るために必要なのは、そのステージにあった食事を用意することです。
そのために知っておかなくてはいけないことの1つが、犬たちはいつ頃からシニア期を迎えるのか、ということでしょう。

以前のコラムでもお話しましたが、小型犬では7歳頃から、中・大型犬では5~6歳頃から徐々に身体機能が衰え始める、と考えられています。
とはいえ、見た目も行動もまだ変化は感じにくいでしょう。
あくまでも上記年齢は「衰え始める時期」であり、ここから数年かけて被毛の色が薄くなったり、白い毛が混じるようになったり、寝ている時間が増えてきたり、といった本格的なシニア期に移行していきます。

これはあくまでも目で見てわかる老化です。
胃や腸といった内臓は目で見て老化しているかどうかを知る術はありませんが、同じように老化が進んでいることを忘れないようにしましょう。

そこで重要なのが、シニア用フードへの切り替えです。
もっとも活動量の多い成犬期用のフードをシニア期になっても与えていると、摂取カロリーと消費カロリーのバランスが取れず肥満の原因となります。

肥満は万病の元なのは人も犬も一緒です。そのため、シニア期にはそれに合わせたフードを用意することが必要となるのです。

しかし、「〇〇歳になったから今日からシニア用フードね!」と突然切り替えると、お腹がびっくりして消化不良を起こしたり、アレルギー反応が出る可能性もあります。
それまで食べていたごはんが急に別の物になって、まったく食べてくれない、ということもあるかも知れません。

それを防ぐために、まずは今用意しているごはんを8割、これから食べさせたいシニア用フードを2割の割合で混ぜ、1週間~2週間かけて、便の状態や皮膚の状態に変化がないか観察してみるようにしてください。
問題がないようなら、今までのごはん7割、新しいごはん3割、といった具合に少しずつ切り替えたいごはんの量を増やしていきます。

切り替え時期については、シニア期が始まる年齢を目安にすると分かりやすいでしょう。
また、老化の始まり方には個体差があるので、切り替え始める前に動物病院で全身の健康診断を受け、フードの切り替え時期を相談してみるとよいでしょう。

フードの切り替えと同時に、おやつをあげているご家庭では、おやつの見直しも一緒にお願いします。
フードの摂取カロリーだけを気にしておやつを見逃すと、やはり肥満の原因となることがあるので、おやつもシニア用に切り替えるようにしてください。

次回はシニア犬の食事で注意すべきポイントをお伝えします。

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佐藤 麻衣氏プロフィール

一般社団法人 全日本動物専門教育協会
動物介在福祉士 教師
家庭犬訓練士 教師
SAE認定 愛玩動物介護士 専任講師
SAE認定 愛玩動物介護士アドバンス 専任講師
SAE認定 犬の健康生活管理士 専任講師

長年動物の専門学校で教鞭をとり、犬のトレーニングや動物介在福祉活動などに従事。
現在は専門学校や大学、国内初の官民協働PFI刑務所の職業訓練プログラムに於いてトレーニング技術を教え、一般の飼い主に向けても資格取得に向けた講座やペット防災など様々なセミナーで活躍。