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わが子の将来を考える|第12回

シニア期の猫の遊び:後編
シニア猫との遊び方

前編では若い猫たちの遊びがいかに重要なことか見てきましたが、シニア期を迎えた猫たちにとっては、どうなのでしょう。
結論から言いますと、シニア期だからこそ、適度な遊びを生活の中に取り入れてほしいのです。

高齢になると、筋肉の衰えや関節の痛みや違和感、体力も落ちてきて、以前のような活発に動く遊びは難しくなります。
かといって、遊ぶ時間がなくなると寝ている時間が増え、そうするとさらに筋肉が衰えていき、体の不調に繋がったり、日中寝ている時間が増えることで夜間に起きて騒いでしまったり、といったことにも繋がる恐れがあります。

他にも、寝てばかりいる猫で心配なのが肥満です。
シニア期はどうしても運動量が落ちるため肥満になりやすくなる時期ですが、体重が増えれば関節により負担が生じます。
食事を見直すと同時に、いかに運動してもらうか、を考えなくてはいけないのがシニア期なのです。
そしてその運動となるものが、遊びなのです!

とはいえ、こちらは遊ぶ気満々でも、猫が反応してくれないこともあります。
遊ばない、ということは興味がないということ。
ここで思い出したいのが、猫にとっての遊びとは狩猟本能を満たすものである、ということです。
狩猟本能を刺激するような動きをするおもちゃを用意したり(電池で動くネズミのおもちゃなど)、猫じゃらしで遊ぶときにも、どう動かすと小動物に似せられるか、を研究してみたり。
高齢になっても本能とは失われないものですから、そこを刺激するようなおもちゃや遊び方で、遊びに消極的になった猫たちを誘うようにしてみましょう。

シニア猫との遊び方

シニア期を迎えた猫と遊ぶ際、若い頃と同じような感覚で遊ぶと事故や怪我に繋がる可能性がありますから、注意が必要です。
以下に、シニア猫との遊び方を数例挙げますので参考にしてみてください。

① お気に入りのおもちゃで遊ぶ

シニア猫は変化をあまり好まないため、お気に入りのおもちゃでこれまで通り遊んであげるといいでしょう。
しかし、ボロボロになってしまって誤飲や誤食が怖い場合には思い切って捨てることも必要です。

② 高さのある遊びは避ける

高さのある遊び(ジャンプさせる、高さのある場所から飛び降ろさせるなど)は肢や関節に負担をかけるため、なるべく猫の目線あたりの低い所で遊ぶようにしましょう。

③ 低めのキャットタワーを使用する

飼い主と遊ぶことも大切ですが、猫が自ら体を動かすことも大切です。
そこで活用できるのがキャットタワー。
しかし、高いところに上りづらくなったシニア猫には、高さが低めのキャットタワーを用意することで体への負担を軽減しつつ、軽い運動を促すことができます。
キャットタワーに隠れられるような場所を設けることで、猫の休憩場所の確保をするとともに、そのような場所にネズミの形をしたおもちゃを隠すことで狩猟本能を刺激することもできるかもしれません。

④ 本能を刺激するようなおもちゃを用意する

前述したように、猫にとって遊びとは狩猟本能を満たすもの。
ということは、猫にとっての獲物であるネズミや小動物を模したようなおもちゃを用意することで本能を刺激し、遊びたい意欲を引き出すことが期待できます。
また、ちょっとした隙間や敷物などの下におもちゃを隠すだけでも、「何か隠れているかもしれない!」とうずうずした気持ちを持たせることができるでしょう。

シニア猫たちは、若い頃のように激しい運動はせず、のんびり過ごしたい子たちも多いことでしょう。
遊びたくても思うように体が動かず、楽しくないのかも知れません。
寝ている猫を見ると癒されることは間違いないのですが、健康で長生きするためには適度な運動も必要です。
シニア期にも遊び(運動)は必要であることを理解したうえで、その子にあった遊び方を見つけ出し、人も猫も楽しめる時間を過ごしてはどうでしょうか。

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佐藤 麻衣氏プロフィール

一般社団法人 全日本動物専門教育協会
動物介在福祉士 教師
家庭犬訓練士 教師
SAE認定 猫のシニア生活健康アドバイザー 専任講師
SAE認定 猫疾病予防管理士 専任講師

長年動物の専門学校で教鞭をとり、犬のトレーニングや動物介在福祉活動などに従事。
現在は専門学校や大学、国内初の官民協働PFI刑務所の職業訓練プログラムに於いてトレーニング技術を教え、一般の飼い主に向けても資格取得に向けた講座やペット防災など様々なセミナーで活躍。
犬のみならず、長年猫と暮らしている経験、猫の生態・習性の知識も併せ持つ。