「4団地理事長」座談会

国領住宅建替えの場合

都市計画法上の一団地を初めて解除した国領住宅。
 老朽化をきっかけとした、建替え検討・実施の経緯をお話頂きます。

インタビューのポイント①

建替えに至った要因は、やはり老朽化。

インタビューのポイント②

住戸の評価方法を巡って検討期間が長期化。

インタビューのポイント③

評価方法の調整には専門家を起用。

建替えの概要

国領住宅は、東京都調布市、京王線国領駅から徒歩6,7分の立地に昭和39年に建築された7棟・144戸の団地です。分譲主は日本住宅公団(現在のUR・都市再生機構)でした。都市計画法上の一団地という規制により、容積率が周辺に比べ極端に低い数値に制限されていたのですが、分譲団地としては初めて「地区計画」によって都市計画法の一団地を解除し、建替えを実現しました。再建マンションの竣工は平成20年です。尚、国領住宅を含め今回の4団地の建替え事業はすべて「マンション建替法」※による組合施行です。
 ※正式名称は「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」。以降、マンション建替法と表記します。

野川側からみた従前の国領団地

竣工した国領団地

建替え検討のきっかけ

多くの方が再取得

国領住宅では区分所有者ご本人がどのくらい住まわれていたのでしょうか?

144戸のうち区分所有者が住んでいるのが、最終的には半分以下でしたね。

残りは賃貸とか空室になっているとか

そうですね。空室になっていた住戸もかなりありましたけれども、駅から近いですから、賃貸にした方は、それなりの家賃で貸せていたようです。

マンションを建替えますと、権利を建替組合に売って出て行く方と、再度住戸を取得する方に分かれるのですが、国領住宅の場合は、再建後の建物を取得した方の割合はいかがでしょうか。

大かたの方が戻られましたね。

例えば、賃貸されている方の中には、建替えまでの1年半とか2年の間家賃収入がなくなるよりも、別の投資案件を買うという選択をされる方もいらっしゃると思いますが、国領では、そんな方はいらっしゃいましたか?

何人かはいらっしゃいますけれども、大抵の方は再取得されて、また貸されています。 おっしゃるような理由で転出された場合でも、「建替えてとても素敵なところになったので、やっぱり売らなきゃよかった。」という方もいらっしゃったようです。

建替えに至った要因は、やはり老朽化

次に、建替えを検討するに至った理由ということで、建物の老朽化や耐震性の問題、間取りや設備が古くなって時代遅れになったなど、いろいろあると思うんですけど、いかがでしたでしょうか?

一番の理由は老朽化の問題ですね。水道管が錆びて赤水が出たり、室内の結露がひどかったりしました。
それ以外では、4階建てだったのにエレベーターがなく、ご高齢の方からは「4階まで上がるのがきつい。」という声も多く聞かれましたし、部屋が狭くて住み難いということもありました。

地震のことは、気にされていましたか?

国領住宅の場所は割と地盤が良いので、皆さんさほど心配していませんでした。3.11 以降であれば違ったかもしれませんが、当時は地震についての話題はあまり出ませんでした。

建替え決議までの検討について

住戸の評価方法の調整で長期に及んだ検討期間

まずは、建替え検討開始から決議までの検討期間、例えば検討を始めてすぐに決議まで進んだのか、それとも時間を要したのか、というあたりからお聞きしていきたいと思います。時間がかかったという場合は、その理由も含めてお話いただけますでしょうか

最初に建替えの話が持ち上がったのは、私が入居した昭和59年より以前と聞いています。そう考えますと、決議までにはとても長い年数がかかっていますね。
時間のかかったことについては、国領住宅の場合、3Kと3DKと2種類の住戸があり、その評価方法の調整に手間取ったことがいちばんの理由ですね。

公社・公団分譲の古い団地ですと、住戸に面積のバリエーションがいくつかあるのに、土地の持分がみんな同じというケースがあります。国領もそうしたパターンで、その場合の評価の方法をどうするかという問題でしたね

ええ、土地の持分だけでなく管理費もみんな同じでしたから。

例えば、住戸の面積は違っても100世帯だから土地の持分は一律100分の1ということになると、土地部分についての評価は全員共通になってしまう。その上で、従前の権利の評価についてみんなが納得できる方法を考えないといけないということですよね。国領住宅は3Kと3DKでそれほど面積に違いはなかったのですが、それでも、評価の方法の決定までには、紆余曲折があったのですね

最終的には建替え決議をする前に方針を決めて整理したのですが、それまではいろいろありまして、時間がかかりました。