国領住宅理事同窓会~築8年を経て~

日時

2016年11月8日(火)

場所

アトラス国領 集会室

研究員:皆様国領住宅の建替えでは大変お世話になり、ありがとうございました。アトラス国領の竣工から8年が経ちましたが、本日は建替えの座談会ということで、当時の苦労話とか、お住まいいただいての感想など、ざっくばらんなご意見をいただきたいと思いお集まりいただきました。

竣工までに印象に残った出来事

それでは最初に、建替え前のお話しからお聞きしたいと思います。
国領住宅の建替え事業では、かなり長い期間をかけて、いろんな課題があった中で進んでこられましたけれども、その期間の中で特に印象に残っていらっしゃる点からお聞かせいただきたいのですが。C様いかがですか?

建替えの当初から竣工までを振り返ってみましょう

C様:印象に残っていることですか?やはり建替え決議ですね。建替え決議に向けて古い国領団地の理事さんが集まって、夜遅くまでいろいろ真剣に話し合ったことが今でも印象に残っています。どうなるかわからない状況の中で、我ながら一生懸命やったと思います。当時、僕は千葉県の船橋にいましたので22時頃には切り上げて帰らざるを得ない状況でしたが、解決策が中々見えない中で、一生懸命やらせていただいたというのが印象に残っています。

研究員:ありがとうございます。山村さん、その頃はC様のお話しのように夜遅くまで会議が続いていたのですか?

山村:そうですね。検討が進んだ段階では22時、23時頃までやっていたと思います。それが毎週、毎週のことでした。

研究員:では、続いてH様お願いします。

H様:私の場合、建替えに際しては新参者の地権者でした。建替えを待ちきれない方が、よそへ家を買われて、その方からどうしてもということで、国領住宅を購入しました。ですので、建替えの長い長い歴史にはタッチしてないのです。マンション建替法の改正が施行される、少し前から参加させてもらっています。

研究員:その中で、印象に残っていらっしゃるのは?

H様:さきほどCさんも言われましたけど、建替え決議に向けての手続きの中で、ちょっとした問題があり、理事会で対応方法を議論しました。その辺のごたごたを理事長さんがうまく解決されたということが、印象に残っています。

研究員:建替え決議前の課題というと、区分所有者の中に連絡がつかない方がいらっしゃって、女性の理事の方が、その方と会うために大変なご苦労をされていたことが印象に残っています。O様その事についていかがですか?

O様:思い出しました! ほとんどあそこの管理事務所にずっといたような。夕方になるとMさんと二人で詰めていた時もありましたが、当時は、家よりも管理事務所にいつも居たというイメージです。最後の決議の時は、管理事務所に控えて帰宅して来る人を待ったこともありました。建替え決議までほんとに長い歴史でした。Mさんと二人でよく頑張ったと思います。たまたま二人の住まいが上と下だったことも良かったのかもしれません。

研究員:そうだったのですね。

O様:当時は、同じ棟でしたので。一緒のところに住んでいたから生活感も一緒だった。我ながらよく頑張ったと思いますよ。

研究員:そのエネルギーってどこから来るのでしょうね

O様:建替えをしたい一心ですよね。今はもうできないです。(笑)

研究員:これだけ大勢の方がいらっしゃると、まとめる力も必要ですが、熱意や情熱など、他にも頑張れた理由がありましたらお聞かせください。

M様:ほんとに皆さん、協力してくださいました。あれだけのみなさんが力を合わせたのはすごいことだなと印象に残っています。

研究員:人の情熱が人を動かしてしまうというところがあるのかもしれませんよね。

M様:そうですね。皆さんのパワーがなければ、できなかったかもしれません。

研究員:SM様、合意形成活動で印象に残っていることはございますか?

SM様:そうですね、当時の旭化成さんは、非常に丁寧な接し方でした。住民の一人一人の意向は千差万別でしたから。それをよく掬ってくれて、よく熱心に話を聞いてくれていると感じました。その辺りは、それまでお付き合いした会社とは違うと感じました。それと、恵まれていたのは管理組合のメンバーです。専門性をお持ちの方や女性の理事の方がいたから、皆がまとまって一致できたのだと思います。

研究員:いろいろな皆様のいいところを持ち寄ったのですね。

SM様:そうですね。

研究員:ST様いかがですか?何か印象に残っていらっしゃることは?

ST様:僕も当初からいたわけじゃないですが。当初、この団地は建替えできないだろうなと思っていました。3K、3DKの評価の話。あまりにも露骨で、揶揄する方もいて、どうにもならないっていうこと。また、旧国領住宅が隣の都営住宅と一体で都市計画法や建築基準法の一団地の枠がかかっていて、都市計画法の団地を外すのにどれほどの時間がかかるかなということ。それと検討当初は区分所有法の改正前で、建替え実現には賛成の比率が5分の4という要件以外に費用の過分性※が必要だったということ。
建替えなんかしなくて、修繕積立金があるから修繕すればいいじゃないかという意見もある中で、Mさんと私で相談して、なんとか建替えの方に住民を説得するように、維持には過分な費用がここまでかかりますよという説明会まで開きました。災害時の二方向避難の確保とバリアフリーのための簡易なエレベーターの設置を想定すると、その当時で760万円くらいかかったと思います。
※当時の区分所有法では、建替え決議の成立には4/5以上の賛成の他に「建物の維持には建替えに比べ過分な費用が必要であることを示す」ことが必要でしたが、決議が成立しても費用の過分性を争点とした訴訟も想定されることから、建替え決議によらない「全員合意」による建替えが一般的でした。

研究員:それは1戸あたりですか?

ST様:1戸当たりです。そのお金を払ってまで、修繕をしますか?それだったら建替えの方がいいと思いませんか?というような話です。他にも、お話ししたように一団地の問題をクリアーして建替えの条件を整えるために、調布市と地区計画について話し合わないといけない。それ以外の問題も2つ3つ並行して解決しないと建替えができないなど。いろんな問題がありました。

研究員:なるほど

ST様:他にも、国立のマンションで問題になった高さ制限が、必ず調布でも導入されると思ったので、2・3年で進めないと建替えは出来ないかも知れないということも想定していました。それが、着工直前になって高さを24mに規制するという話になり、適用を免れるためには全部の建物で根切り(基礎工事)に着手しないといけないとなりましたが、あの時は慌てました。4月に規制が施行なので3月中にどの棟も根切りにかかってなければならない。建替え決議まで行くのも大変なのに、今度は高さ制限の施行前に着工しなければいけなくなった。

阿佐部:もし、引っかかったら上部の3層くらい切らなきゃならなかったですね。
あと、建替え決議が7月3日で、翌年の3月17日には解体着工ということになったのですが、9か月で着工前の手続きがすべて完了したというのは早かったと思います。

認可権者の東京都に、事前から相談していたのが一つと、もう一つは建築基準法86条の(団地に関する)書類とか、いろんな必要書類を短い期間の中で皆さんにご提出いただけたことが大きかったと思います。

研究員:同意書集めなども皆さんでお声がけして、お家まで伺って集めていただくなどご協力いただいたので、スピード感があったのでしょうね。

山村:中には、近所付き合いが全くない方もいらっしゃいました。連絡がとれないので直接会いに行きました。

新しいマンションでの暮らし

研究員:建替えの決議に向かうまでのご様子を聞いて本当にご苦労されたのだなと改めて感じました。ここからは新しいマンションでのお暮しについてお尋ねしたいと思います。お暮しになって8年経ちましたが、ご自分で住んでらっしゃる方、ご家族が住んでらっしゃる方、貸してらっしゃる方と、3パターンおありになるかと思いますが、まず、お住まいの方に伺いたいと思います。マンション全体、共用部を含めお使いになってどうですか、使いやすいとか、最初図面で見たよりこんなところが違ってびっくりしたとか、何かお気づきの点があったら教えていただけますか。

M様:住み心地はすごくいいですね。特にあるとすれば、バルコニーに水道があったら靴とか洗ったりするのによかったかなと、思います。

研究員:なるほど。以前はありましたっけ?

M様:なかったですね。でも、今あったらいいなって思うのはそれぐらいです。

研究員:SM様はご子息様ご家族がお住まいとのことですが、お孫様はおいでですか?

SM様:おります。

研究員:では、集会室、キッズルームとかはお使いですか?

SM様:ええ、使っていますよ。ハロウィンだとか、空手教室だとか。

研究員:建替えて、子供さんの数も多くなったので、色々とご利用されているのですね。

SM様:そうですね。集会室も含め、いろいろ活用しているみたいです。

研究員:竣工してすぐに理事の皆様に私どもをお招きいただいて、シアタールームでカラオケを楽しんだ記憶がありますが、今どうなっているのでしょうか?映画上映とかで、使われているのでしょうか。

SM様:あそこも使ったことがありますが、ハロウィンの時なんか、真っ暗にして、お化けをやってくれって言われちゃって(笑)

研究員:H様は低層棟にお住まいですがいかがですか?

H様:3階なのでベランダの窓からすぐ前に桜の木があるので、春は花見、あと一年を通してバードウォッチング。鳥がよく来ます。そういうものがリビングの窓から見えます。

研究員:設備機器などはいかがですか?お風呂がスイッチ一つで沸くなど、建替え前とは違った機能があると思いますが、お使いになられていかがですか?

O様:オプションでミストサウナをつけて正解でした!いいですよ。

研究員:他には何かありますか?

O様:あの、ずっと廻っている換気。やっておくとお風呂場も綺麗なままでね。

研究員:24時間換気ですね。

O様:はい。すごく満足しています。お風呂に窓は無いのだけど、暑い時期には涼しくでき、寒い時期には暖房できる。それがすごくいいですね。昔の国領住宅に住んでいた時の寒い隙間風のこと思うと、全然違いますよ。

研究員:お風呂が良くなったっていうのはほかの建替えでもよく聞きます。

O様:今のところ不満点はないですね。

研究員:ありがとうございます。ご高齢の区分所有者の方も戻って来て暮らしているとお聞きしましたが、M様、何かご意見がお耳に届いたことありますか?

M様:やっぱり懐かしいらしく。会うと元国領住宅の人たちでお茶飲み会を開いてほしいというようなことを言われます。

皆さん:(笑)

H様:管理組合だけで以前のような自治会がないからね。
お子さんがいると、先程のようにハロウィンとかいろいろありますけど。もう僕らの年になると参加するイベントも無いですね。

研究員:なるほど。前の国領住宅の時はそういう催しがあったのですか?

M様:はい。落ち葉掃きとかね、そういうのが今はないから懐かしいらしくて。コミュニケーションがとれる場を開いてほしいと何人かに言われますね。

研究員:M様から、建替えを機に同じアトラス国領の中で近居されているご家族方がいらっしゃると伺いました。M様のところも確かご子息が別の棟にお住まいでしたよね。同じ住戸での二世帯同居や、隣接した住戸ではない近居はいかがですか?

M様:孫が小さいですから、うまく利用されています。

皆さん:(笑)

M様:息子夫婦は共働きなので。都合がつかない時や体調が良くない時は私が孫の面倒をみます。そういう時に近居は便利だなと思います。でも、二週間くらい会わない時もありますよ。

研究員:そうですか。

M様:ええ、元気だと会わないですよ。

皆さん:(笑)

建替え前の国領住宅

アトラス国領

研究員:元国領住宅の方じゃなくても、ほかにもそういう方がおられるとお聞きしました。

M様:そうですね。いらっしゃいますね。うちのお隣さんもそうです。うちのお隣さんはご夫婦で、その息子さんは14階のほうに住んでいるそうです。

研究員:拝見しても、子供さんの数、すごく増えましたよね。どのくらいいらっしゃるのですか。

M様:ハロウィンの時に集まったのは100人くらいかしら。今年はすごく盛大でしたよ。

研究員:じゃあ、子供さん中心に夏祭りとかそういうイベントもあるのですか。

M様:花火は毎年やっていますね。

O様:七夕の時もなんかやっているよね。入り口のところに、笹を飾って皆でお願い事をするのを続けていますね。

研究員:お子様の声が聞こえるようになって、建替え前とは、全く様変わりしましたよね。いろんな家族構成の方が住んでいるのだろうなあという感じを受けました。

M様:そうですねえ。若い方が増えましたよね。保育園も近いし、結構みなさん共働きで。

SM様:アトラス国領に住んでいるっていうと「えっ~あのアトラスに!」って言われるようですよ。

研究員:ご家族内の変化について教えていただけますか?新しいマンションになってご家族の関係が変わったかなっていうことが何かあれば教えていただきたいなと思います。O様、ご子息が良く来られるようになったとか?

O様:しょっちゅうですよ。それで一緒に住んであげようかって言われるけど。

皆さん:(笑)

研究員:住みたいからそうおっしゃる?

O様:私も部屋を選ぶときに、もうちょっと広いところだったら息子が帰ってきても住めるかなとか悩みました。今の住まいは、昔の国領住宅の40何平米を思えば十分広くなりましたが、でも、そのときふと考えたわけ、下手に広いことで二人とも帰ってこられたら困るなと・・・。

皆さん:(笑)

O様:たぶん南棟の私と同じタイプの部屋は元の国領住宅の人がすごく多いですよね。下の方の階の住戸を選べば同じ値段でもう少し広いところもありましたが、今の住戸を選んで正解だったと思っています。 私は高いところに住むのが夢でした。建替え前の国領住宅では一階の暗いところにいましたので、自分の部屋から星が見えないですもん。

研究員:そうだったのですね。

O様:息子が月の観察とかしていた小学生の時なんかはわざわざ二人で道路のところまで出て見るくらいでした。

研究員:樹木があって見えなかったのですか?

O様:そうです。本当に樹木がすごかったから。だから今は、自分の部屋からお月様がみえてすごく満足です。遠くにはスカイツリーも見えるし。

研究員:他にも何かありますか?ご家族が喜んでいらっしゃることですとか。

H様:建替え前は古い、エレベーターも無い、3階でしたが、今は同じ3階に住んでいても、あの頃に比べると、建物は綺麗、眺めはいい、エレベーターはある。家内も大変満足していますよ。

研究員:ありがとうございます。

O様:私、聞きたい事があるのですが。今リノベーション流行ってますでしょ。
古い団地をリノベーションして綺麗にってよく雑誌で見ますが、どうなのかなと思って。綺麗になっているけどメンテナンスも含めお水とか大丈夫なのでしょうか?結構テレビでいろんなところを拝見しますが、すごく素敵にリノベーションしていて、国領住宅もこれでも良かったかな?なんて思いますが。ああいうのはどうでなのしょうかね。
今都心のマンションでは結構多いですね。古いマンションを業者さんが買い取って、内装をすごく綺麗にしてから結構高い値段で売られている。新築みたいな感じで。

O様:企業とコラボして。でも水道とかは・・・

山村:何も。ノータッチですから当然。

O様:そうですよね。だから綺麗でもそこが問題だと思って。

阿佐部:でも普通の人は内装を見てすごく綺麗で素敵だなと思いますよね。私達は、建替えの時に古い配管とかで苦労しているから、まず、最初にそこが気になるのでしょうけど。普通の人はそういう風には考えなくて、見た目の綺麗さで・・・。

O様:内装だけみるとすごく素敵になっているけど。でも、やっぱり配管は傷んでいる、錆がでるだろうなと。勝手にこっちが思っているのですけどね。

山村:建替え前の国領住宅を知っている皆さんは半分プロだからそういう風に思われるのでしょうね。

建替えを終えて・・・

研究員:ありがとうございました。では、建替え全体を通じて印象に残っていることを教えていただきたいと思います。

C様:古い公共住宅でどうしようもなかったので、建替えざるを得なかったんですよね。ただ、いろんな建替え決議やその他の手続きで旭化成さんが本当によくマネジメントをやってくれたなと思います。

C様:国領は長い間、当時の住宅公団とコントラクトしていて。3K、3DKの話などは、ある程度彼らがまとめたようなものですよね。長い歴史があって建替えしようという話は昭和39年の早い段階からありました。いざ始まると3K・3DKの問題など、ごっちゃになって、いろいろな人がいて、とても建替えられないじゃないかという感想をもった時がありました。いろんな季節の流れや、タイミングもあった中で旭化成さんが入ってきて真面目に取り組んでもらったから建替えられたのかなと思います。大変僕らはハッピーだなと思います。
それと、毎月の報告会で建築中の建物の写真を配ってくれたでしょ。今でも大切にとってありますよ。

H様:私の場合は冒頭でも言いましたように一番新しい区分所有者で、それまでは十何年間借家としてこの団地に住んでいたので。もう建替え決議も予定されているから、そろそろ出ていってもらわないと困りますよと大家さんに言われまして。どこに行こうかという時にぽっと入手できたので、そこに至るまでのみなさんの苦労された時期を知らないので。本当にラッキーだったなと思います。

ST様:そうですね。旭化成さんの粘りっていいますかね。都市計画法の団地の問題には、あの手この手で頑張って、ほかのデベロッパーだったらとっくの昔に放り出していますよ。粘り腰でやっていただいたということで本当に良いデベロッパーさんに巡り合えたなぁ思います。
嘗ての国領住宅に住んでいた人たち、いろいろな設備の問題等で住宅として現在の基準からかけ離れているのですが、その状態に馴染んでしまった人たちを説得することの難しさがありました。以前の家は、冬場は寒いわ、水は赤水だわ、風呂水は真っ赤になるから3回も入れ替えて風呂を沸かさなきゃいけないとか、上層階の人は水がちょろちょろしか上がってこないから風呂に2時間もかけて水を入れなければいけなくて、こんなに不便なのによく住んでいられるなと思っていました。3K・3DKの問題でも、議論を煽るような人もいたし。本当に住民同士の妥協点を見つけるというのは大変でしたね。でも、おかげ様で、良い建物になって、おそらく皆さんすごく満足されているのではないかなと思っています。旭化成さんには感謝しています。

SM様:とにかく私も途中は半信半疑で、ある何人かの人によって絶対に進まないな。と思っていました。それ以前の管理組合の役員やっている時も一戸当たりの修繕積立金だとか、不具合の修繕とか、日常的にトイレが溢れるとか赤水の問題など、色々対処している中で、管理組合の役員会の中でも罵声が上がり役員としてのやる気をそいでしまう発言などもありました。一生懸命やっているのに、こてんぱんにやられちゃった可哀そうな人もたくさん見てきましたから、時間が掛かりましたけど無事に建替えが実現できて良かったと思います。

研究員:気に入ってずっと住んでいる方からすれば、建替えに積極的になれず反発もあったのですね。
確か、旧国領住宅が竣工した当時は高嶺の花だったとお聞きしています。

C様:そう、高かったけど高倍率でね、エリートの人しか入れなかったですからね。
当時は本当に綺麗でしたよ。周りが都営住宅だったでしょう。あの頃の都営住宅は木造平屋でしたから、ところがここだけは7つの棟の間に芝生があって、白い柵でね。

ST様:住宅公団が売り出した分譲で第一号が石神井公園団地で、2弾目に売り出したのがここでした。

M様:本当に長いこと旭化成さんにやっていただいて、建替わったアトラス国領に住めたのは嬉しいなと思っています。ここは本当に住み心地が良いですし、冬なんてお風呂に水を入れるのに30分、沸かすのに30分もかかっていたのが、今は10分か15分でお風呂に入れるのがすごく便利。あと、なんといっても冷え性なので床暖房はものすごくいいです。全て住み心地がいいですね。うちも川の方ですので桜は咲くし、野鳥が見えるのもいいです。

研究員:野鳥がくるってすごいですね。既存の桜も何本が残せて木が多いからですかね。贅沢ですね。

M様:3階ですけど、リビングから景色が見られるのが素晴らしいですね。入居した時には並木の桜が全然も咲いていなかったのに、ここ3年で咲くようになった。本当に目の前が桜。だから本当に良かったなと思っています。

O様:自分の人生の中で国領住宅の建替えに関わった十何年間は貴重なものになると思います。旭化成さんとも長いお付き合いで、本当に専門的なことはわからないので理事の皆さんに頼りっぱなしでしたが、 やっと建替えることができて本当によかったです。当初、息子からはあまりにも長すぎて「絶対そんなこと(建替え)はありえない」って言われていましたから。今は快適に暮らしています。

皆さん:(笑)

研究員:ありがとうございます。最後に、今、建替えを検討しているマンションや団地に住んでいる管理組合の方に何か一言アドバイスをお願いします。STさんいかがでしょう。

ST様:皆さん条件は違うでしょうが、ただ、建替えをやろうと思っている土地の規制がどうなっているかということでしょうか。都市計画法にひっかかっているのかということとか。我々は都市計画法の一団地の縛りをはずすということに大変な苦労がありましたから、自分たちの住んでいるところの規制がどうなっているのか知るべきですよね。

研究員:敷地に対する法規制がどうなっているかという事ですね。

ST様:そうです。それがクリアできれば、後は住民の中での輪を結んで、決議が成立するだけの賛成者を集めるという事ですよね。国領は区分所有者間の利害関係が絡む課題がありましたので二重三重に苦労がありましたが、そんな中でも最後は建替えが実現できたのですから。

研究員:なるほど。まず自分の足元を見てどうなっているかを知る。そのあとは区分所有者同士で気運を高めていくってことですね。

C様:そうですね。建替えを検討している頃はいろんな人が自分の損得でものを言い出すと、人格者がいないとだめかなと思っていました。一人でも皆が認める人格者がいれば、まとまるのではないかという雰囲気がありましたね。そういう人がいないと、皆が自分の利害ばっかり言っていたら、まとまらないですよね。そういう人を選ばないといけないですよね。

SM様:それは本当に思いますよね。やっぱりCさんやSTさん、Mさんとか。ある程度、あれはどうだ?これはどうだ?って議論や質問ができないと流されてしまう。人数がそろっていても、似たりよったりのメンバーでは全然進まないと思う。

研究員:なるほど。自分もしっかり当事者意識をもって、ちゃんと勉強して議論ができる、同じテーブルに話を載せられるかということですね。

ST様:それだけの幅広いメンバーが建替え検討の委員会に集められるかどうか、それである程度決まってしまうのではないかと思います。住民側で本気で取り組んでももらえる人を集めないといけない。あと、専門的なことでも他に任せるのでなく自分たちで勉強して自分たちでやるという気概を持たなくてはだめですね。振り返ればそれが出来たから、建替えることが出来たと思っています。

研究員:今日は皆様から貴重なお話をいただいて、本当にありがとうございました。