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【医】おうちケアで病気を予防|第9回

ボディチェックで愛犬のメタボを予防しよう

近年、高栄養・運動不足によって肥満となり、その結果メタボリックシンドロームになる犬が増えています。
今回はメタボリックシンドロームの予防法、そして早期発見・早期治療つながるボディチェックの方法をご紹介します。

予防に勝る対策なし!愛犬をメタボから守るには?

メタボリックシンドローム(以下、メタボ)は、過食や運動不足によってエネルギー過剰状態に陥り、その結果、内臓脂肪が蓄積して糖尿病や脂質代謝異常などの生活習慣病を発症、これらの病気が重なり合った状態のことをいいます。

これらの生活習慣病は放っておくと、心筋梗塞や脳梗塞の原因となる動脈硬化を急速に進行させて命に危険を及ぼすおそれがあります。しかも生活習慣病は治療に長い時間を要する上に、完治は非常に困難です。愛犬の健康を守るために、日頃から愛犬のメタボ予防を心がけたいですね。

では愛犬のメタボ予防のために、私たち飼い主ができることは何でしょうか?
それは愛犬の生活習慣、特に① 食事② 運動を見直すことです。

① 食事

  • フードは高たんぱく・低脂肪のタイプを選ぶのが基本。
  • 体重を落としたいときは、繊維質を多く含むものがおすすめ。腹持ちがよく、食事量を減らしても満腹感が得やすい。
  • おやつの与えすぎに注意。おやつの量は食事量全体の5%未満におさえ、市販のダイエット用おやつ、又はゆでたササミやニンジンなどヘルシーなものを選ぶとよい。

② 運動

  • 犬種や年齢、健康状態にもよるが、原則として1日に最低20分は運動させること。忙しい飼い主さんは、まずは朝と夕方、それぞれ10分間ずつ散歩に連れていってあげることを目標に。どうしても散歩に行けない日は、室内で活動的な遊び(ボール投げやおいかけっこなど)をしてあげるようにする。

自宅でできる!メタボチェックにチャレンジ

しかし、毎日一緒に暮らしていると、愛犬の体形の変化に気づきにくいもの。
病院で血液検査を受け、血糖値や総コレステロール値を調べることもできますが、今回は、飼い主さんが簡単に愛犬のメタボ進行度をチェックできる方法BCS(body condition score)をご紹介しましょう。

BCSは動物の肥満度を示す基準で、BCSにもとづいて体重や見た目、皮下脂肪の付き具合をチェックすることによって、愛犬の肥満度を次の5段階で評価することができます。

BCS1:やせすぎ

<外見>
横から見ると腹部が深くへこんでいる。上から見ると極端な砂時計型をしている
<肋骨>
脂肪に覆われておらず、簡単に触ることができる

BCS2:やせ気味

<外見>
横から見ると腹部にへこみがある。上から見ると砂時計型をしている
<肋骨>
ごく薄い脂肪に覆われており、簡単に触ることができる

BCS3:理想体型

<外見>
横から見ると腹部にへこみがある。上から見ると腰に適度なくびれがある
<肋骨>
薄い脂肪に覆われており、触ることができる

BCS4:太り気味

<外見>
横から見た腹部のへこみ、上から見た腰のくびれはほとんどない。背面が少し横に広がっている
<肋骨>
脂肪に覆われ、触ることは難しい

BCS5:肥満

<外見>
横から見ると腹部が張り出して垂れ下がり、上から見た腰のくびれもない。背面は顕著に横に広がっている
<肋骨>
厚い脂肪に覆われ、触ることは非常に難しい

愛犬の身体をチェックしてみて「もしかして、BCS4かも?」と思ったら、要注意!すでにメタボがかなり進行している恐れがあります。なるべく早めに動物病院を受診して詳しく検査してもらいましょう。早めの受診が早期発見・早期治療に繋がります。

まとめ

脳梗塞や心筋梗塞といった命にかかわる病気から愛犬を守るためには、毎日の食事と運動のコントロールでメタボを予防することが大切です。
もし愛犬が肥満気味になってきたら、早めに獣医師に相談し、メタボの早期発見・早期治療に努めるようにしましょう。

著者プロフィール - 高垣 育

薬剤師、ライター。星薬科大学卒業後、調剤薬局や医療専門の広告代理店の編集・ライターの経験を経て、2012 年にフリーラ ンスの薬剤師ライターとして独立。
また自身の愛犬を肺がんで亡くした際に、体調の変化に気付けなかったことに自責の念を覚え、以来動物と人の医療に関わる記事を中心に、さまざまな媒体に寄稿。

協力:ONE BRAND(“犬と暮らす” をもっと豊かにするライフスタイルマガジン)