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【住】ペットも人も心地よい住まい|第7回

愛犬を幸せにする~欲求を満たす空間編~

飼い主の皆さまは、愛犬に対して間違った思い込みをしていませんか?

愛犬との間では言葉による明確なコミュニケーションが取れません。そのため、飼い主様が、行動、しぐさから判断している愛犬の気持ち(欲求)には、ひょっとしたら誤解があるのかも知れません。
もっとイキイキと幸せに愛犬が暮らしていくためには、本来の欲求をどこまで満たしてあげられるかがポイントとなります。

犬は本来、探索をしたい欲求や遊びたい欲求を持っています。外で、犬との時間を充分に持ち、こういった欲求を満たせるのならば、家は静かに過ごす場として、メリハリを持つのも良いでしょう。都会生活の家庭で暮らす小型犬などは、とくに探索や遊びの欲求が満たされてないケースも見受けられます。
では、生活空間の中でも探索や遊びの欲求を満たしてあげるにはどうしたらよいでしょうか。

まずは、もう一度フラットな気持ちで愛犬をよく観察し、好みの遊び方やおもちゃの種類、おやつなど興味のあるものを確認してみてください。
遊びであればボール投げや、おもちゃの引っ張りっこなど。探索であれば、飼い主様が おやつやお気に入りのおもちゃを犬のベッドやマットの下、家具の陰などにいくつか隠し探索させます。飼い主様とのかくれんぼも楽しいでしょう。

その際、探索や遊びがしやすい環境にする事が重要です。

探索でも遊びでも、愛犬が小走りしたり踏ん張ったりできるように、滑らない床が理想的です。
一般的なフローリングはどうしても滑りやすい床材なので、フローリングの上にプラスできるものとして、ペット用のタイルカーペットや衝撃を吸収するマットを敷くことをおすすめします。ラグであれば、裏面に滑り止めが付いているもの、または滑り止めをつけて、ずれないように工夫しましょう。

また、犬のサイズ、運動量や飼育頭数に見合った生活空間の広さが必要です。
体の大小によって必要になる空間の広さが違ってくるのはもちろんですが、運動量は、犬種の特性やライフステージ、個性によっても違ってきます。犬種によっては動きが活発だったり、運動量が少ないといった違いがあります。
若い犬であれば運動量もありますが、シニアであれば、ちょっとした動きで満足できます。同じ犬種であっても性格によってはよく動く、というようにそれぞれです。探索や遊びの際には一時的でもテーブルや椅子などを片付けるなどして、ぶつかりそうな物がないスペースを確保しましょう。また一時的なスペースであっても、床面の滑り止めは気をつけたいポイント。ラグやヨガタオル(ヨガマットの上に敷いたり、ヨガマット替りの携帯用として使ったりする薄手の敷物)などコンパクトになる敷物を用意しておくと便利です。

一方で、犬は家の中で自由に動き回れる空間を<警戒すべき自分のエリア>と認識します。広すぎる空間を与えると、警戒すべき範囲が広すぎて逆にストレスになってしまう事も。そこで遊ぶスペースとは別に、犬が落ち着ける居場所を作ることをおすすめします。ハウスやサークルを活用するのも良いと思います。“遊べる”と“落ち着ける” のメリハリのある空間作りを目指しましょう。

著者プロフィール - 二村 陽子

1級建築士、A 級トリマー(青山ケンネルスクール卒)、愛玩動物飼養管理士1級、日本ドッグインストラクター協会認定ドッグトレーナー。トリミングサロン(白金台店・目黒不動店・武蔵小山店)を運営しながら、ペットとすごす空間の設計(トリミングサロン・ペットホテル・ドッグラン・動物病院など店舗やペット共生マンション監修)を行う。トリミングサロンでは、「犬と人、共に幸せ」をコンセプトに、シャンプーレッスンや、ドッグトレーニング、整体、アーユルヴェーダ、犬の身体にやさしいハーネス試着会など各種のイベントを開催。

協力:ONE BRAND(“犬と暮らす” をもっと豊かにするライフスタイルマガジン)