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ドッグトレーナーのわんポイントレッスン

ドッグトレーナーのわんポイントレッスン 第27回

犬を飼うという事

こんにちは!ドッグトレーナーの佐久間です。

突然ですが、私がこの『わんポイントレッスン』を書かせて頂くのは、今回で最後となります。
そして最後という事で、今回のテーマは『犬を飼うという事』という、なんともざっくりとしたテーマで締めくくりたいと思います。

このテーマを見て「最後の最後で、何で今更?」と、思う方もいらっしゃると思いますが、この『わんポイントレッスン』をここまでお読みになってくださった皆様なら、きっとご理解いただけるのではないかと思います。

それは…

「犬を飼うって大変だ…」

という事です。

皆さんが犬を飼う前に思い描いていた生活と、今とを比べてみるといかがでしょう?
ほとんどの方が思い描いていた通りにはなっていないと思います。

もちろん、犬は素晴らしい動物ですし、犬と共に送る生活がとても素敵なことというのは、皆さんもご存じでしょう。

だからといって、ペットショップで売られていたりテレビに映っていたりする子犬を見て、『可愛いから』という安易な気持ちで飼い始めると、必ず後悔するという事もご理解いただけると思います。

可愛がるだけでは、犬の問題行動を抑えることは出来ません。

だからこそ、そんな皆さんに私からお願いがございます。

それは、皆さんの知人や友人の中に、これから犬を飼おうと考えている方がいたら、「犬を飼う事の素晴らしさ」を伝える前に以下の『犬を飼う事の大変さ』をしっかりと伝えて頂きたいのです。

☆ 伝えて欲しいこと

⧫ 初めから人間社会のルールを守れる犬なんていませんし、教えたからといってすぐに犬が理解できるわけでもありません。

子犬の時期は、トイレの失敗はするし、要求吠えはするし、家の中でイタズラもします。

人間の子供だって、お漏らしをするし、駄々を捏ねて泣き叫ぶし、家の壁などに落書きしたりしますよね?

子供だって犬だって、最初から「悪い事」と思ってやっているわけでは無いのです。

子犬を飼うならば、家具のひとつやふたつ犠牲になることを覚悟しておいてください。

⧫「お散歩は週に1回で平気」だとか「多頭飼育ならば、家の中で遊ばせていればじゅうぶん」なんていう言葉を、どうか信じないでください。

犬も人間と同じく社会性を持った生き物です。

人間だって、小さい頃から幼稚園や保育園、そして小学校・中学校へと毎日のように通って、不特定多数の「他人」と関わることで社会性を身に着けていきます。

今でこそ、人間には「インターネット」というものがありますが、犬にはそんなものはありません。

ですから、外に出られるときは、なるべく毎日お散歩に連れ出してあげて、他の犬達との交流を持たせてあげてください。

子犬の頃には、特にたくさんの経験が必要です。時間はあっという間に経ってしまうため後回しになんて出来ません。

お散歩は、犬の心と身体のバランスを整えるため、飼い主とのより良い関係を築くための、重要なコミュニケーション方法でもあるのです。

犬を飼うならば、自分の時間が『毎日』削られることを覚悟してください。

⧫ そんな犬の行動や習慣を「根気よく忍耐強くしつけをするために、毎日努力をする!」という覚悟が出来て、初めて犬を家族に迎え入れて欲しいのです。

人間の子供と同じように、懐いてもらおうなんて思わなくても、「この子を立派な自立した犬に育てたい!」という強い気持ちがあれば、犬はちゃんと認めてくれるし、ついてきてくれます。

時には私生活などで、気が落ち込んだりすることもあるかもしれません。

しかし、その気持ちをあまり犬にぶつけないであげてください。

犬は常に人間を観察しています。

人間が不安定な状態でいると、犬も不安を抱えてしまい落ち着くことが出来ませんし、そんな時でも犬はご飯や散歩の為に、あなたを頼りにしているのです。

犬を飼う以上は、人間の子育てと同様に休みなんてありません。

犬と接するときは、心を強く持つことを心がけてください。

⧫ そして飼ったからには、最期までひとつの命を育て守っていくという、飼い主の責任と義務を全うしてください。

最期の別れはとても寂しい想いをするでしょう。

しかし途中で逃げ出さずに、最期までちゃんと看取る覚悟を持ってください。

寝たきりになってしまった場合は、排泄のために立たせてあげたり褥瘡(じょくそう)が出来ないように寝返りをうたせてあげるなどの、介護も必要になります。

最期の別れを、今まで一緒に暮らしてきた家族に看取ってもらえれば、安心して眠りにつけるはずです。

ひとつの「命」と精一杯向き合う事で、命の尊さを学ぶことが出来ます。いつでも「感謝」の気持ちを忘れないでくださいね!

いかがでしょう。

他にもお伝えしたいことはたくさんあるのですが、主に伝えて頂きたい内容は以上になります。

犬を飼う事はとても『大変な事』です。

しかし『大変な事』だからこそ、犬を飼う事は何事にも代えがたい『素晴らしい事』なのです。

すでに犬を飼われている方々、そしてこれから犬を飼おうとしている方々に、どうかこの想いが届くよう願っております。

「犠牲を払って得る喜び」
覚悟無くして、この素晴らしい経験は得られません。

冒頭でもお伝え致しました通り、私は今回を持ちまして最終回となりますが、この『わんポイントレッスン』はまだまだ続きますので、皆様も引き続きよろしくお願い致します。

拙い文章でしたが最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。

著者プロフィール - 佐久間 力

ドッグトレーナー、ペットアドバイザー。1981年、千葉県生まれ。2006年に専門学校東京スクール・オブ・ビジネス ペットビジネス学科卒業。現在は目黒区のペットサロン「Grunewald(グルーネヴァルト)」で店長兼トレーナーとして勤めている。