ドッグトレーナーのわんポイントレッスン
犬が吠えているときはストレスを感じているかも?!②
こんにちは!ドッグトレーナーの佐久間です。
今回お話しするテーマは「要求吠え」についてです。
この「要求吠え」というのは、たいていの場合は犬が『諦める』ことを学んでいない場合に起こります。
犬の要求に対して何でもすぐに応えていたら、いざその要求に応えられない状況の時に、犬はとても大きなストレスを抱えることになります。
『諦め』を覚えさせることは、しつけの上でとても重要な事ですので、必ず覚えさせるようにしましょう。
② 飼い主に対する要求吠え
この要求吠えが起こる場面は大きく3つの場面に分けられます。
それぞれについて簡単にお話していきましょう。
A) 飼い主から離れることに対する要求吠え
子犬を飼い始めて、最初に起こりうる要求は、飼い主と離れたときの要求吠えでしょう。
この場合、「吠え」といっても最初のうちは「クーン、クーン」という鳴き声から始まります。
自然界では、幼い子犬のときに群れからはぐれてしまう事は命に係わる問題なので、母犬や兄弟と離れてしまった時に自分の身の危険を感じてとる、ごく当たり前の行動でもあります。
しかし、室内で飼育されている家庭犬では、そのような危険はほとんど無いので、早いうちから抑えておきたい行動ですよね!
子犬のうちから、この要求に応えてしまっていると、いつまでも自立が出来なくなってしまい、ゆくゆくは飼い主と離れる際に「分離不安」を起こしてしまう可能性があります。

分離不安を抱えている犬は、室内飼育が主流になったここ数年で増えてきています。
◎ 対処方法
この場合の要求吠え(鳴き)への対処方法は「無視」することが一番です。
「無視」と聞くと何だか冷たいように聞こえますが、ここで要求に応えるように接してしまうと、どんどん要求がエスカレートしてしまう可能性があります。
ここは心を鬼にして、犬が諦めるまでそっとしておくようにしましょう。いつまでも要求が続くようならば、別の部屋に移動してしまっても構いません。
犬が「ひとりでいても危険は無いんだ」と学習すれば、要求することも減っていき、「諦める」という事を覚えていきます。
子犬を1頭にするときは、初めのうちはゲージに目隠しの布をかけるなどして、周りからの刺激をなるべく減らしてあげるようにすると良いでしょう。

犬がゆっくりと休める環境を整えてあげることが大切です。
B) エサや散歩の準備中の要求吠え
エサやお散歩の準備をしようかと動いた瞬間に、犬はその雰囲気を察して吠えだすことがあります。
これは、ただ単純に興奮することによる吠えでもありますが、吠えたままの状態でエサを与えたり、リードを繋いでいたりしたら、いつまでもこの吠えは治まりません。
それどころか「早く!早く!」と急かすように吠えるようになり、それによって人間も焦ってしまい、興奮が高まる悪循環に陥ってしまいます。
◎ 対処方法
まず始めに大事なことは、どんなに犬が興奮をしていようと、犬と接する際は心を落ち着かせて毅然とした態度でいる事です。
次に、エサやリードなどの犬が吠えている対象の物と、「マテ」や「オスワリ」などで、一定の距離をとらせるようにします。
この時に大きな声で何度も「マテ」や「オスワリ」を言うことは、かえって犬を興奮させてしまう可能性があるので、落ち着いた言葉で伝えるようにしましょう

落ち着いて待てるようになれば、要求吠えも少なくなるでしょう。
C) 構ってほしい、遊んで欲しい時の要求吠え
飼い主の目の前で、遊びに誘うような仕草、又はオモチャを持ってきて吠える場合があります。
これも要求吠えのひとつで、これに反応してしまっていると、犬は「吠えれば構ってもらえる」と学習してしまい、飼い主がどんなに忙しい時でも、要求吠えをしてくるようになってしまいます。
◎ 対処方法
この場合も、基本的には無視をすることが良いでしょう。
ただし、ただ無視をしているだけでは、この問題は解決しません。
犬は、日ごろからの刺激が足りないと、このような問題行動を起こしてしまう可能性があります。
まずは散歩に出て、他の犬や人との交流を持たせてあげるようにしましょう。

多くの犬が集まるドッグランやフリースペースでお預かりしているペットホテルなどは刺激的な出会いがあるかもしれませんね!
また、室内で遊ぶときは、飼い主の方からオモチャを取り出して遊びに誘うようにしましょう。

オモチャの所有権は人間にあります。手に持っているオモチャには飛びつかせないようにしましょう。
だからと言って、寝ている犬を無理矢理遊びに誘うようなことは避けてくださいね!
いかがでしたか?
今回紹介したケース以外にも、要求吠えをする原因は様々です。
どんな要求吠えでも、解決するためには、まずは吠えている原因を探ることと、吠えなくても良いように飼育環境を整えてあげることが重要なので、どうすれば要求吠えをさせなくて済むかを、色々と考えてみてくださいね。
それでは次回をお楽しみに♪
著者プロフィール - 佐久間 力
ドッグトレーナー、ペットアドバイザー。1981年、千葉県生まれ。2006年に専門学校東京スクール・オブ・ビジネス ペットビジネス学科卒業。現在は目黒区のペットサロン「Grunewald(グルーネヴァルト)」で店長兼トレーナーとして勤めている。