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ドッグトレーナーのわんポイントレッスン

ドッグトレーナーのわんポイントレッスン 第22回

正しい犬の暑さ対策、できていますか?!

こんにちは!ドッグトレーナーの佐久間です。

皆さんご存知の通り、犬という動物は暑さにとても弱い動物です。
だからといって、暑い時期を一日中クーラーの効いた部屋に閉じ込めておいては、犬もストレスがかかってしまい、他の問題が起こってしまう可能性があります!

ストレスが原因でイタズラをしてしまう事もあります。

それではまず・・・「なぜ犬は暑さに弱いのか?」

暑さ対策のお話をする前に、犬がどのようにして体温調節をしているかについてお話させて頂きます。

☆犬の体温調節方法

犬が体温を下げるための主な行動は以下の3つになります。

  • ① 「パンティング」という呼吸方法で、口の中(特に上顎は脳に近い血管が通っているので重要)を冷やす
  • ② 水を飲む&排尿をする
  • ③ 冷たい(涼しい)場所に移動する

犬は人間と違って、大量に汗をかき全身で体温を下げることができません。
そのため、水や冷たい場所がないと、呼吸でしか体温を下げることができず、自身の体温の上昇に追い付かなくなってしまいます。

そうなると待っているのは「熱中症」
脳が正常に機能しなくなり、命に係わる非常に危険な状態に陥ってしまいます。

熱中症の疑いがある場合は、速やかに涼しい場所に移動して、身体を冷やしてあげましょう。

そうならないためにも、暑さ対策はじゅうぶん注意したいところですね!

それではいよいよ暑さの対策についてお話したいと思います。

1. 散歩に出る時間帯について

暑い時期は散歩に出る時間帯に注意しましょう。
気を付けなければいけないのは、気温ももちろんですが、アスファルトからの照り返しや放熱です。

日中の日差しが強かった場合、夕方の気温が下がってくる時間でも、アスファルトがまだ熱を帯びている状態なので、なるべく気温の上がる前の早朝にお散歩に出てあげるようにしましょう。

アスファルトからの放熱は、犬の方が地面に近い分人間が感じている以上に、犬の方が熱く感じています。

2. お散歩の際の持ち物について

暑い時期のお散歩はいつも持っていくものに追加して、水を入れて凍らせたペットボトルを1本持っていくと良いでしょう。

凍らせたペットボトルは、冷たい水を飲ませてあげたり、直接当てて身体を冷やしてあげたりすることができるので、いざというときに役立ちます。

3. 犬の身に着ける冷感グッズについて

◆ 気化熱タイプ

犬の被毛には断熱効果があるため、気化熱を利用した冷感グッズは、長毛種や、柴やハスキーのように毛が密集している犬種には、あまり効果が期待できません。

イタリアングレーハウンドやスムースタイプのような毛の短い犬種、または毛を短くカットした犬に向いているでしょう。

ただし、身体を覆う気化熱タイプの服の場合、服の中の湿度が高くなり雑菌が繁殖しやすい環境になるため、長時間の着用は控えましょう。

また、服を脱がせた後は、皮膚や被毛をしっかりと乾燥させるようにしましょう。

◆ 保冷剤タイプ

気化熱タイプよりも冷却効果が高い保冷剤タイプの冷感グッズでは、その犬の被毛の長さによって、触った時の冷たさを調節してあげるようにしましょう。

人間と同じように、首回りを冷やしてあげると効果的です。

断熱効果の高い被毛を持った柴やハスキーだけでなく、フレンチブルドッグやパグなどの、暑さに特に弱い短頭種にも向いています。

4. サマーカットについて

この時期になると、皮膚が見えてしまうほどのサマーカットをしている犬を見ますが、人間と違い犬は全身の発汗で体温を調節するわけではないので、過度に短くする必要はありません。

前述した通り、犬の被毛は断熱効果があるため、寒さだけではなく暑さからも身を守る大切な役割を果たしています。

そのため、過度に短くすると、直射日光の熱から皮膚を守るものが無くなってしまい、犬にとっては逆効果となってしまいます。

サマーカットをするときは、ある程度被毛を残してあげるようにしましょう。

5. 水飲みについて

「体温調節方法②」にあるように、犬は体温を下げるために水を飲みます。
最近ペットショップなどでよく見かけるノズルタイプの水飲みでは、体温を下げる程の水を中々飲めないため、犬には向いていません。

また、犬は水を飲む際に、舌を下顎側に巻いて水をすくって飲むため、犬が飲みやすいように水皿を用意してあげましょう。

ただし、水を勢いよく飲み過ぎて、吐いてしまうような場合もあります。
そんな時は、氷を舐めさせて口の中を冷やしてあげると良いでしょう。

6. 室内の環境について

この時期は、犬のためにクーラーをつけっぱなしにしているご家庭も多いと思います。

しかし、人間が涼しく感じていても、犬は暑く感じている場合もありますので、犬の様子をしっかりと観察しておく事が大切です。

また、クーラーが効きすぎて寒がってしまう場合もあるため、ゲージやサークル内で飼育をしている場合は、犬がじゅうぶんに動き回れるスペースを確保した上で、その中に身体を冷やせる場所と温められる場所を設けてあげるようにしましょう。

犬は手足を伸ばして、冷たい床に身体を付けることで体温を下げます。そのため、飼育スペースでは手足を伸ばせるスペースは確保してあげるようにしましょう。

フレンチブルドッグやパグなどの、特に暑がりの犬種には冷感マット等を用意してあげるのも良いでしょう。

いかがでしたか?
犬に暑さは大敵です!

炎天下の車内に置き去りにする行為は、熱中症のリスクが非常に高いためほんの数分だとしても、絶対にしてはいけません。

ちょっとした気の緩みで大事にもなりかねないので、じゅうぶん注意してくださいね!

それでは次回をお楽しみに♪

著者プロフィール - 佐久間 力

ドッグトレーナー、ペットアドバイザー。1981年、千葉県生まれ。2006年に専門学校東京スクール・オブ・ビジネス ペットビジネス学科卒業。現在は目黒区のペットサロン「Grunewald(グルーネヴァルト)」で店長兼トレーナーとして勤めている。