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ドッグトレーナーのわんポイントレッスン

ドッグトレーナーのわんポイントレッスン 第18回

『拾い食い(異物誤飲)』に気をつけよう!!【室内編】

こんにちは!ドッグトレーナーの佐久間です。
今回のテーマは、ここ数年多く見られる問題行動のひとつである『拾い食い(異物誤飲)』についてです。

第8回『散歩中の問題行動』の「拾い食い」という項でも少し触れましたが、今回はもう少し掘り下げて、【室内編】と【お散歩編】に分けてお話しをさせて頂きます。

異物誤飲をした場合、先の尖ったものを飲み込んでしまうと、胃や腸を傷つけてしまう事がありますし、飲み込んだものによっては、腸閉塞を起こしてしまい死に至る危険性もあります。
その為、万が一異物誤飲をしてしまった場合、飲み込んでしまったものによっては早急に動物病院で受診する必要があります。

このようなおもちゃを飲み込んでしまう場合もあるので、注意しましょう!

病院では可能であれば異物を吐かせる処置を行いますが、飲み込んでから時間が経っていて吐かせることが困難な場合、内視鏡手術や開腹手術になる可能性もあります。

吐かせるだけでも犬に負担がかかりますが、手術になればさらに大きな負担をかけてしまう事になりますので、拾い食いをさせないように予防をすることが、なによりも重要なのです。

では、どのように予防していけば良いのか、今回は【室内編】という事で、家の中での注意点をお話していきましょう。

【室内編】

☆飼育環境を整える

しつけに関して、飼い主様からのご相談で「拾い食い(異物誤飲)をしないように、しつけて欲しい」というご相談を受けることがありますが、「プロにしつけを頼めば、なんでも治る」と思っている飼い主様もいるようです。

しかしそれは大きな間違えで、いくらプロがしつけたとしても、飼い主様の努力なくしては犬の問題行動を解決することは出来ません。

その為、飼い主様にはまず「拾い食いをさせない飼育環境を整えてあげる」というところから始めて頂ければと思います。

具体的には、下記のようなことをしてあげると良いでしょう。

1. 飼育スペースを決めてあげる。

まず始めに行う事は『飼育スペース』を決めてあげる事です。

いまや室内で飼育する事が当たり前になった犬ですが、家の中で自由にさせているご家庭も多く見受けられます。

私見ではございますが、このように家の中でゲージやクレートに閉じ込めずに飼う事は、とても良い事だと思います。

ゲージの扉は常に開放していて、トイレや寝る場所としてゲージを使用している方も多く見られます。

ただしその分、イタズラや拾い食いのリスクを高める事にもなりますので、いくら「自由」と言っても、犬の好き勝手させていてはいけません。

家の中でも、犬が入ってはいけない場所を作ることで、少しでも拾い食いの危険性を減らしてあげましょう。

特に注意したい場所は、2カ所!『キッチン』と『子供が遊ぶ部屋』です。

キッチンはやはり、食べ物を一番多く扱う場所であるだけでなく火や刃物を扱う場所でもありますので、拾い食いという理由以外でも、キッチンスペースには犬が入らないように境界を設けた方が良いでしょう。

キッチンに入れないように、柵を設置するのも良いでしょう。

子供がいる家庭では、子供のおもちゃを飲み込んでしまう可能性もあるので、普段子供が遊ぶ部屋にも、犬が自由に入れないようにしておくと良いでしょう。

2. 掃除をする

飼育スペースを決めてあげたら、次に行う事は『掃除』です!

え?当たり前じゃないかって?

そうです!当たり前のことを当たり前にやること!これがとても重要なのです。

食べ残したエサが落ちていたり、人間の食べこぼしたものが落ちていたりすると、犬はそれを食べる事で、地面に落ちているものを食べる癖がついてしまいます。

床に食べ物が落ちていないか、常に気にしておく必要があります。

そのような癖がついてしまうと、いつしかそれが食べ物だけに限らずに、なんでも口にしてしまうようになり、異物誤飲に繋がってしまう可能性があるので、注意しましょう!

今現在飼われている犬が子犬の場合は尚更です!

子犬は何でも口に入れようとしますので、日頃から飼育スペースの掃除を心がけるようにしましょう。

3. 整理整頓をする

掃除の次は『整理整頓』です!

はい。これも当たり前の事ですね。

犬の飼育スペースには、不必要なものを置かないようにします。

例えば犬のおもちゃ。

犬が遊んでもいないのに、犬のおもちゃが何個も散乱している家を良く見ますが、これでは、目を離したすきに、おもちゃが1つや2つ無くなっても気づきませんよね?

そう。犬が飲み込んでしまっていても、です。

これだけおもちゃがあっても、遊ぶ時に出すおもちゃは1つ~2つくらいにしましょう。

おもちゃで遊ぶ時は、必ず飲み込めないサイズのものを用意し、いくつ出したかを把握しておくようにして、犬が遊んでいないおもちゃは、すぐに片付けるようにしましょう。

また、犬がイタズラしそうなものは、犬の手の届かないところに片付けるようにします。サークル等で仕切っていても、手を伸ばして引き寄せてしまう事もありますので、注意しましょう。

一番イタズラのされやすいゴミ箱も、蓋が付いているものや倒れづらいものに替えるようにし、それでもイタズラが心配なのであれば、場所を移動するようにしましょう。

いかがでしたか?

家庭内での異物誤飲の予防には、なによりも飼い主様の意識がとても重要です。

意識を少し変えるだけでも、犬の問題行動が改善される場合もありますので、異物誤飲にお困りの飼い主様は、今一度、飼育環境を見直してみてください。

次回は、『拾い食い(異物誤飲)』に気をつけよう!!【お散歩編】をお送り致します。お楽しみに♪

著者プロフィール - 佐久間 力

ドッグトレーナー、ペットアドバイザー。1981年、千葉県生まれ。2006年に専門学校東京スクール・オブ・ビジネス ペットビジネス学科卒業。現在は目黒区のペットサロン「Grunewald(グルーネヴァルト)」で店長兼トレーナーとして勤めている。