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ドッグトレーナーのわんポイントレッスン

ドッグトレーナーのわんポイントレッスン 第14回

自分に合った犬の選び方⑤『育ってきた環境』について

こんにちは!ドッグトレーナーの佐久間です。
さて、「自分に合った犬の選び方」の最終回は、『性格』についてとても重要に関わってくる『育ってきた環境』についてです。
「三つ子の魂百まで」ということわざがあるように、生後6ヶ月齢頃までの環境は犬の性格や行動にとても大きな影響を与えます。様々な要素の中で、今回は【社交性】に的を絞ってお話しいたします。

社交性を身に付けていれば、ホテルもストレスなく利用できるでしょう。

それではどういったところに影響を及ぼすのか、お話しさせていただきます。

5. 『育ってきた環境』について

「社交性」とは?

「社交性」について、主に他の犬や人にどれだけ慣れているか、という観点からお話しいたします。

犬は子犬の頃(だいたい好奇心が旺盛な6ヶ月齢くらいまで)に、どれだけの経験ができたかによって、その後の行動や性格に大きな影響を与えます。

A) 子犬から飼育する場合

よく「人は平気だけど犬が苦手…」という言葉を、飼い主の方から聞くことがありますが、これは子犬の頃から人との関わりは強かったけれど、犬との関わりがあまり無かったためと言えます。(犬と人が逆の場合も同じことが言えます)

社交性の低い犬は、犬または人に対して吠えて威嚇したり逃げ回ったり、場合によっては咬みついて攻撃したりすることが考えられます。

そうならないように社交性をしっかりと身につけさせるためには、子犬の頃から色々な人や犬と会わせ、コミュニケーションの取り方を学ぶ必要があります。

他の犬が苦手な犬は常に気を張っているためこのように他の犬と一緒に寝たりすることができません。

子犬の時期にこういった経験を逃してしまうと、年齢が進むにつれて社交性を身につけていくことは、なかなか難しくなっていきます。人間でいう幼稚園や学校がいかに大切か、ということを改めて実感させられます。

その中でも当然犬見知りする犬もいると思いますが、怖がっている様子は初めだけです。怖がっていたとしても、犬自身に任せてしばらく放っておいてみましょう。

心配になる気持ちも分かりますが、飼い主が不安な様子でいたら、犬はその様子を見てもっと不安になってしまいます。きっとそのうち、自分からニオイを嗅ぎに行ったり、遊びの誘いに乗ったりといった行動をとるようになってきますので、温かい目で見守っていてあげてください。

初めはその気じゃなくても…

気が合えばそのうち遊び始めます♪

B) 成犬の場合

成犬の中から犬を選ぶ際に、社交性が身についている場合はそこまで大きな問題はないと思います。
しかし、社交性が身についていない場合は、以下の5つの事を考えてみてください。

① 他の犬や人に対して、どのような問題があるのか(他の犬や人を「怖がる」「攻撃する」「しつこくする」など)
② なぜ他の犬もしくは人、または犬と人両方が苦手なのか
③ 年齢などを考慮し、改善の必要があるのか
④ 改善の必要がある場合、どのように改善させるのか
⑤ 改善の必要ない場合、今後その犬とどのように付き合っていくのか

分からない場合や判断が難しい場合は、専門家に相談するのも良いでしょう。

ただし、成犬になってからの問題行動の改善というのは、簡単ではありません。また、犬の年齢が高ければ高いほど難しくなっていきます。

高齢犬の場合は問題行動の改善が難しいので、引き取る前にしっかりと性格などを確認しておきましょう。

引き取った後に「こんなはずじゃなかった…」なんてこともあるかもしれませんので、可能であればトライアル期間を設けていただくのがよいと思います。(ただし、トライアルは犬に大きなストレスを与えることがあるので、無闇に行わないようにしましょう)

また、その犬にどんなつらい過去があろうとも、飼い主が同情心を持ち続けることは犬も望んでいません。
「これから楽しく幸せに暮らそう!」という前向きな気持ちが、いつかその犬を救う大きな力になるということを忘れないでください。

いかがでしたか?
「自分に合った犬を選ぶ」ということは、犬にとっても「自分に合った飼い主に選ばれる」わけですから、お互いが幸せになれるはずです。
皆さんが犬を選ぶ際に、少しでも参考にしていただければ幸いです。

それでは次回もお楽しみに!

著者プロフィール - 佐久間 力

ドッグトレーナー、ペットアドバイザー。1981年、千葉県生まれ。2006年に専門学校東京スクール・オブ・ビジネス ペットビジネス学科卒業。現在は目黒区のペットサロン「Grunewald(グルーネヴァルト)」で店長兼トレーナーとして勤めている。