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ドッグトレーナーのわんポイントレッスン

ドッグトレーナーのわんポイントレッスン 第9回

『犬に散歩って必要?』
ただ運動させるだけが目的じゃない!散歩の必要性と意味合いについて

こんにちは!ドッグトレーナーの佐久間です。
さて、今回は「散歩の必要性と意味合いについて」お話させて頂きます!

『そもそも犬に散歩って必要なの?』と思っている方もいらっしゃると思いますが、犬にとって散歩はとても重要な意味合いを持っています。

普段から犬を散歩に出していない、もしくは出せていないという方は、どのような理由でお散歩に行っていないのでしょうか?

  • 仕事や家事などが忙しいから?
  • ペットショップの店員に『お散歩はいらない』と言われたから?
  • 犬が外を怖がるから?

もし、大きな病気や怪我、又は高齢な犬でなければ、出来る限りお散歩に出してあげるようにしてあげましょう。

老犬でも外に出してあげるとこんなに気持ちよさそうな顔をしますよ!

なぜなら、犬は人間と同じく社会性を持った生き物であり、外へ出て他の犬や人と関わり色々な経験をすることで、心と身体のバランスが取れた落ち着きのある、犬らしい犬になることが出来ます
心と身体のバランスが崩れてしまうと、それだけでストレスを抱えることになり、問題行動の原因になるだけでは無く、病気に罹りやすくもなってしまいます。

犬にとっての『散歩』とは、『運動』という意味合いだけで無く『社会性を学ぶ場』であり、飼い主(ボス)について歩くという『仕事(勉強)』という意味合いもあるのです。

ここでは主に『社会性を学ぶ場』という観点でお話致します。

散歩では運動させることも大事ですが、それだけでは十分な散歩とは言えません。

1.「仕事が忙しくて」または「ペットショップの店員に必要ないと言われた」という方へ

このような原因で散歩に出していないのであれば、それはあなたが自分の犬の『犬が犬らしく生きる権利』を奪ってしまっていることになります。

想像してみてください。もしあなたが、生まれてからほとんど外に出してもらえずに、幼稚園や保育園、小学校、中学校へも行かせてもらえず、大人になってからも働くこと無く、家族や特定の人間以外の人間と、ほとんど会わずに生活をしていたとします。

果たしてあなたはどんな人間になっているでしょうか?今と同じような生活を送れているでしょうか?

どうしても散歩に出すのが難しいという方は、フリースペースのホテルを利用するのも一つの方法です。色々な犬と関わることで、犬同士の挨拶の仕方などを学ぶことが出来ます。

このように育ってきた犬が、飼い主の都合で突然ペットホテルに預けられたり、病院に入院することになったりしたらどうでしょう?もし犬を連れて引っ越しをすることになって、掛かりつけの病院やペットサロンが変わることになったら?

恐らく、その犬はとてつもなく悪いストレスを受けることになるでしょう。

そうならないためにも、好奇心旺盛な子犬のうちからなるべく時間を作り、散歩に出して社会性を学ばせてあげるようにしてください。

2.「犬が外を怖がるから」という理由で出していない方へ

外を怖がるというのはいつからでしょうか?

もし、初めから怖がっているようであれば、それは正常な行動だと思ってください。犬にも人間と同様に、様々な性格の犬がいます。初めから外が平気な犬もいれば、慣れない環境に怖がる様子を見せる犬もいるでしょう。

そんな時は、初めは抱っこでも構わないので、公園など落ち着いた場所へ連れて行き、外の雰囲気に慣れさせてあげましょう。飼い主が公園でのんびりとしている姿を見せていれば、犬もそのうち歩き出したりニオイを嗅いだりしてくると思います。飼い主はそんな様子を見て、にこやかに微笑んであげるだけでも良いのです。

固いコンクリートの上よりも、柔らかい土や枯葉の上を好む犬の方が多いです。

何よりも外が楽しくて気持ちのいい場所という事を教えてあげることが出来れば、犬もそのうちに、外に対しての恐怖心は無くなり、公園までの道のりも自分で歩けるようになってくるでしょう。

初めは平気だったのに、ある時から急に外を怖がるようになった場合、きっと何かしらの原因があるはずです。

  • 「怖い」や「痛い」など、何か嫌な経験をした
  • 急な環境の変化
  • 精神的な成長に伴う心の変化

…などが考えられますが、その時に飼い主がどのような対応をとったかにも、大きく影響を受けます。
その時に、良かれと思って取った行動が、実は恐怖心を助長させてしまう場合もございます。

このようなケースは何が原因で嫌がっているのか、原因を探る必要がありますので、原因を明確にするためにも一度専門家にご相談することをお勧めします。

社会性を身に付けておけば、知らない犬同士がこれだけ集まっても平気です。

その他にも、散歩に出ていない理由はあるかもしれませんが、どんな理由であっても、本来犬は外に出ることを好みます。そして、犬が犬同士で遊んでいる姿はとても楽しそうで、見ているこちらも思わず笑顔になってしまう程可愛らしい姿です。

是非、お散歩に出して色々な経験をさせて『社会性』を身に付けさせてあげましょう!

それでは次回もお楽しみに!

著者プロフィール - 佐久間 力

ドッグトレーナー、ペットアドバイザー。1981年、千葉県生まれ。2006年に専門学校東京スクール・オブ・ビジネス ペットビジネス学科卒業。現在は目黒区のペットサロン「Grunewald(グルーネヴァルト)」で店長を務めると同時に、母校でドッグトレーナーの講師として学生への指導を行っている。