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【特別レポート】動物保護団体「一般社団法人 おーあみ避難所」

旭化成専属獣医師の佐々木亜子がペットに関する疑問や相談をその道のプロに直接聞きレポートする「プロの考え、プロのこだわり。」
今回は、犬猫の保護を行い、その子たちの幸せのために活動を続けている「一般社団法人 おーあみ避難所」を訪れました。スペシャル版として3回にわたってレポートをお届けします。一緒に動物保護活動を知り、理解を深めましょう。

最終回 保護猫・保護犬のためにわたしたちができること

佐々木

佐々木

保護猫や保護犬に対して私たちはどのように理解し、接していけばいいのかの心構えや、「何か保護活動に寄与したい」と思った時にどのようなかかわりを持てるのか、レポートの締めくくりとしてまとめてお伝えします。

保護猫や保護犬を迎えたい人への譲渡の流れやチェックポイント

「おーあみ避難所」では譲渡会などを通じて里親探しを行っています。「うちから出す子には“幸せになる”というのを約束してあげたい」という思いが基本になっているため、保護猫と里親希望の方とのマッチングはとても重要なステップ。

譲渡までの流れとしては、まず詳細なアンケートをいただいて面談。その際、室内の写真など飼育環境を先に見せていただいています。そうしたやり取り、猫との接し方の様子を通じて里親候補者の性格的な面や考え方を重視して細かくチェックを行い「この子がこのおうちで幸せになれる」と確信してから、譲渡へつなげています。

ペローナちゃん。2020年夏に福島県で多頭飼育崩壊からレスキューされました。

猫を飼ったことない人や単身男性にも譲渡しています。多くの人に猫との暮らしの良さを知ってほしいという気持ちがあるからです。その場合は「猫はこういうこともありますよ」というのを事前にしっかり伝え、譲渡後にはボランティアによるフォローアップも行っています。

月に2~3回行われる譲渡会

自分の生活スタイルに合った猫を迎え入れてほしい

保護猫や保護犬という言葉も認知されてきた昨今ですが、関心は高まっているものの理解が深まっているかといえば道半ばだといいます。

保護猫はいろんな環境で苦労して、事情があって保護団体までやってきた子たちなので、やはり何らかがあると理解する必要があります。ペットは飼ったら終生飼育が飼い主としての務めであり、その心構えがあるかどうかは大切なポイント。ご自身の年齢や状況に合わせた猫の迎え方もあるので、例えば高齢の方で子猫希望という場合は年相応の猫を引き取ってもらえないかなどの提案も行っています。

ペットは多くの喜びをくれますが、単純に毎日のお世話も楽なことだけではなくお金もかかることですし、病院に連れて行くなど辛いこともあります。可愛いだけの側面だけでなくそれらをひっくるめても自分でお世話をしたいという気持ちがあるのかが問われます。「保護猫を飼った自慢ではなく、“1匹の猫を救いたい”という純粋な気持ちを持って迎えて、見た目だけではなく中身までひっくるめて愛してほしい」と大網さんは語りました。

  • みんな幸せになりたい

  • ただいま点鼻薬中

私たちができるさまざまな支援とは

保護犬や保護猫を支援したい、何かしら力になりたい、と思った時に私たちができることは、里親になること以外にもさまざまあります。

まず、施設運営の大きな後押しとなるのが寄付。運営資金に関して特に大きな割合を締めているのは医療費で、多頭飼育崩壊現場のレスキューに入った後には、医療費だけで月200万円を超えることもあるそうです。おーあみ避難所では現金で寄付、モノで寄付などいろいろな支援を募っており、それらをシェルターの運営全般に役立てています。

実際に自分が動くボランティア活動もありますが、譲渡会情報をSNSなどで拡散してもらうことも嬉しいとのことで「こういう保護活動団体があって、こういう猫や犬がいるよ」という情報を広めることも支援のひとつといえるでしょう。

なお、おーあみ避難所ではボランティアを随時募集しています。興味のある方はホームページをご覧ください。

「おーあみ避難所」代表の大網直子さんから「+わん+にゃん」の皆さんへメッセージ

私たちは“動物の命や幸せのバトンを我々が受けて一生懸命お世話をして、今度は里親さんを最終アンカーとしてバトンを渡している”という気持ちで活動しています。そういう気持ちに里親さんにもなってほしいですし、あまり構えずにこの気持ちをスッと持てる世の中にしたいです。

皆さんもご自身のペットをひたすらかわいがってあげて、幸せにしてあげてくださいね。私たちも保護猫や保護犬たちの可愛さを知ってもらえるような活動を今後も頑張っていきたいと思います。

佐々木

佐々木

3回にわたってお届けした特別レポートはいかがでしたか?
保護猫や保護犬に対して関心を持つことは素晴らしいことで、理解が深まればさらにより良いペットとの暮らしにつながることは間違いありません。
自分のペットのことはもちろん、私たちも常にアンテナを張って動物たちの命と幸せを考えていきたいですね。「+わん+にゃん」でも、そのきっかけになるようなお手伝いが出来ればと考えています!

おーあみ避難所の可愛いにゃん!な猫FILE ~その3~

足を負傷していても、元気いっぱいにおもちゃで遊んで走り回っていた無邪気なパンパースちゃん。ハンディをものともせずにエンジョイしている姿に元気をもらいました!

一般社団法人 おーあみ避難所

里親やボランティア・支援を希望される方は、ホームページより詳しい情報をご確認ください。