知りたい

プロが語るお役立ち記事

【特別レポート】動物保護団体「一般社団法人 おーあみ避難所」

旭化成専属獣医師の佐々木亜子がペットに関する疑問や相談をその道のプロに直接聞きレポートする「プロの考え、プロのこだわり。」
今回は、犬猫の保護を行い、その子たちの幸せのために活動を続けている「一般社団法人 おーあみ避難所」を訪れました。スペシャル版として3回にわたってレポートをお届けします。一緒に動物保護活動を知り、理解を深めましょう。

第1回 おーあみ避難所について

佐々木

佐々木

最近「保護犬・保護猫」という言葉をよく聞くようになり、それにまつわる活動も注目されています。
今回は神奈川県横浜市の動物保護団体「おーあみ避難所」にお邪魔して動物保護活動のリアルから私たちができることまで、いろいろ伺ってきました。

保護活動の原点は『福島原発20キロ圏内犬猫救出プロジェクト』

代表の大網直子さん

「おーあみ避難所」は、代表の大網直子さんが、2011年の東日本大震災で被災した福島県の犬猫たちを保護してお世話をする活動『福島原発20キロ圏内犬猫救出プロジェクト』に参加したことが原点となり設立された動物保護団体です。

それまで大網さんは個人ボランティアという形で野良猫の避妊・去勢をするTNR活動(野良猫を捕獲【Trap】し、不妊・去勢手術【Neuter】を行い、元の場所に戻す【Return】活動のこと)を行っていましたが、福島の動物たちに関してはリターン(Return)ができないため、自宅をシェルターとして活動をスタート。当初は福島で被災した犬猫がメインでしたが、時を経るにつれて保護活動の場所が広がり、それに伴い活動に賛同してボランティアをしてくださる方も増えました。
現在ではメインシェルターと預かりボランティア宅を合わせ、常時150匹以上の犬猫を保護しています。

多頭飼育崩壊をはじめとした保護依頼や相談が増加

猫においては、現在は近県の愛護センター、多頭飼育崩壊や悪質繁殖業者など、さまざまな場所から保護しています。なかには沖縄など遠くからやってくる猫や、負傷した猫もいます。

工場地帯での捕獲活動の様子

保護依頼はさまざまなルートがあり、保護センターや知らない人からの連絡もあるといいます。捕獲は多い時に週に2~3件あり、取材日の前日もある工場地帯で12匹の猫をレスキューしたばかり。この猫たちは元々工場の人達から餌をもらっていたものが、その工場がなくなってしまったために路頭に迷ってしまったケースでした。

最近では多頭飼育崩壊からの保護が目立ち、1回の捕獲頭数が40匹、多い時には70匹ということもあるそうです。多頭飼育崩壊のケースはさまざまですが、共通しているのは飼育環境の劣悪さからくる動物の健康状態の悪さです。

  • 糖尿病でインスリンが欠かせない子も

  • それぞれの猫に合わせたケアを行います

おーあみ避難所にやってきた猫たちの幸せ探し

猫は捕獲器というトラップを使って捕獲したり、キャリーにごはんを入れて入った時に捕まえたりします。捕獲すると、まず隔離して体調管理。体調を見るために病院へ連れて行き、避妊去勢も行います。病院との連携は非常に重要です。

そして、猫たちにシェルターで過ごしてもらいながら里親を探し、家族を見つけて見送ってあげるまでが避難所の活動。おーあみ避難所では、年間約300匹の猫や犬を里親の元に送り出しています。
里親探しは月に2~3回行われる譲渡会が中心。ただし、譲渡会では1回につき20匹ぐらいの猫しか連れていけず、さらに猫自身が慣れない環境で自分の良さを出せずに可愛さをアピールできないケースもあるとか。そこでネットも積極的に活用して猫の情報を載せ、避難所までお見合いにきてもらうこともあります。

  • 捕獲器

  • 譲渡会の様子

避難所の運営は多くの方の善意に支えられている

支援によって届けられたエサもいっぱい

実際の避難所の運営には多くの費用が掛かります。おーあみ避難所で保護している犬猫は虐待を受けていたり病気や怪我を負っていたり、健康状態が悪い場合が多いこともあり、最も多くかかるのが医療費。さらに日々のエサ代や、砂・ペットシーツのような消耗品も必要です。これらは譲渡費用と寄付、チャリティーグッズの売り上げなどでまかないながら運営しています。

注)「おーあみ避難所」では、保護活動を理解してもらったということで、譲渡費用として猫は4万、犬は7万いただいています(2024年2月現在)。

さまざまなオリジナルグッズを販売、活動資金の一助になっています

※オリジナルグッズは下記のサイトから購入できます。

佐々木

佐々木

「おーあみ避難所」の活動内容を通じて、保護動物団体の概要はわかっていただけましたでしょうか。
次回は、避難所にいる保護猫の暮らしの実際や、それを支えるボランティアの方たちの活動についてお届けします!

おーあみ避難所の可愛いにゃん!な猫FILE ~その1~

天井裏で見つかった母親猫のてんじょううらこちゃん。
猫の名前は大網さんが決めていて、忘れないように保護した時の場所や状態を名前に絡めることが多いそうです。

一般社団法人 おーあみ避難所

里親やボランティア・支援を希望される方は、ホームページより詳しい情報をご確認ください。