+にゃんコラム
誤飲防止と誤飲の対処方法
本来食べるものではない異物を誤って口にしてしまう「誤飲」による受診が増えています。
猫はどうして口にしてはいけないものを飲み込んでしまうのでしょうか?
そして、どのように防げばいいのでしょうか?
ここでは誤飲が起こるプロセスを4 つのステップに分けて解説いたします。
猫の誤飲はこうして起こる
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STEP1:モノが置いてある
ねこちゃんが「ん?あれはなんだろう?」と思う段階です。
チェックポイント室内はたくさんのモノであふれています。床に座って生活をする部屋や、小さなお子さまがいるお家には、意外とねこちゃんの目線に入る低い範囲内にたくさんのモノが…。
ねこちゃんの目線でお家の中をチェックしてみましょう。
STEP2:置いてあるものに興味をもつ
ねこちゃんが「おもしろそう!」と思う段階です。
チェックポイントねこちゃんが興味をもって誤飲する可能性が高く、しかも死に至ることの多い異物が「ひも類」「靴下などの布類」「ヒトの医薬品」です。
ソファやクッションから糸が出ていませんか?
サプリメントや薬をテーブルに出しっぱなしにしていませんか?
これらについては、特に念入りにチェックをしてください。
STEP3:モノを口にする
ねこちゃんが「遊んでみよう!」と思う段階です。
チェックポイント猫がいろいろなものに興味をもって、それを口にしてしまうのは「もっと遊びたい」という欲求不満が隠されているのかも…。
コミュニケーションの時間が足りていたかどうかチェックして、欲求不満を解消してあげると良いでしょう。
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STEP4:飲み込む
ねこちゃんが「間違えて飲み込んじゃった!」という段階です。
チェックポイント慌てないで、まずは大きく深呼吸。
気管や食道が塞がっていないか確認しましょう。もし、異物がつまっているのが確認されたら、後ろ足をもってぶら下げて、上下に数回揺すってください。取れない場合は無理して引っ張り出さず、すぐに病院へ。
飲み込んでしまったものが「食品」や「薬品」だった場合、その成分が分かる表示のあるパッケージも持っていくと治療を速やかにすすめる手助けになります。
意外なものに中毒を起こす可能性が…
猫の安全のため、部屋に誤飲の危険性があるものがないかどうか、下記のチェックリストを使って確認してみましょう。
異物:消化管穿孔や腸閉塞を起こす可能性があるもの
- ひも
- 布類(靴下、タオル、ふきんなど)
- 竹串(お団子、焼き鳥など)
- 果物やウメボシの種
- とうもろこしの芯
- 指輪
- 硬貨
- おやつや食品の包装
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中毒:全身性の症状を起こすもの
- 殺鼠剤
- 除草剤
- ナメクジの駆除剤
- ヒトの医薬品
- 観賞用のユリ
- ヤマユリ
- ポインセチア
- 観葉植物
- チョコレート
- ネギ類
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まとめ
私たちが普段の生活の中で、「あとで片付けよう」と少しの間、テーブルの上などに置いてしまう“硬貨”、“果物の種”、“医薬品”、また、「まさかこんなモノが...」という“観賞用のユリ”や“ポインセチア”などの室内や庭を彩ってくれる植物が、猫の誤飲の原因になっているようです。
誤飲の危険から守るために、まずは改めて家の中をじっくりとチェックしてみてください。STEP1〜2の「モノが置いてある」「それに興味を持つ」という段階で誤飲の多くは防ぐことができるはず。また、中毒症状を起こすものを知識として知っておくことも大切です。
著者プロフィール - 高垣 育
薬剤師、ライター。星薬科大学卒業後、調剤薬局や医療専門の広告代理店の編集・ライターの経験を経て、2012 年にフリーランスの薬剤師ライターとして独立。また自身の愛犬を肺がんで亡くした際に、体調の変化に気付けなかったことに自責の念を覚え、以来動物と人の医療に関わる記事を中心に、さまざまな媒体に寄稿。
協力:ONE BRAND(“犬と暮らす”をもっと豊かにするライフスタイルマガジン)