夏も保湿!
乾燥に注意しなければいけない季節といえば、冬のイメージが強いかもしれません。
ですが実は夏も肌が乾燥しやすい季節なのは知っていましたか?
夏でも実は、保湿を中心としたスキンケア対策が重要なんです。
今回は暑い時期における犬の保湿についてお話しさせていただきます!
犬の皮膚は実はとてもデリケート!
わんちゃんの皮膚。
一見してヒトよりも丈夫そうに見えますよね。しかし、実はヒトよりも薄く、犬の表皮の厚さはヒトの約1/3程度とされています。表皮が薄いということは、わんちゃんの皮膚はそれだけ外部からの刺激に弱くデリケート。
乾燥や外部からのさまざまな刺激から肌を守る役割のことを『皮膚バリア機能』と言い、表皮の一番上の角質層という部分が重要な役割を担っています。
その皮膚バリア機能を強化する上で大事なのが『保湿』です!
保湿は乾燥する寒い時期だけでなく、暑い時期でも大事なスキンケアの一つです。その理由を詳しくお話ししていきますね。
夏は肌トラブルが出やすい!
夏は気温も湿度も高いため、皮膚の状態が悪くなりがちです。例えば…皮膚が痒くなったり、ブツブツ湿疹ができてしまったり。

ブツブツ
暑い時期は皮脂や汗の分泌が盛んになり、それらが皮膚に蓄積されるのが要因の一つです。
また暑い時期は、アレルゲンとなりうる様々な植物や昆虫、皮膚の常在菌の動きも活発になり、肌トラブルが急増します。
これらの皮膚トラブルを防ぐために、適切なスキンケアを実施し、保湿で皮膚バリア機能を強化するのがとても大切です。

皮膚常在菌であるブドウ球菌の増殖
【暑い時期に出やすい犬の皮膚の状態】
- 皮脂の増加(ベタつき)
- 多汗
- 細菌やマラセチア菌といった常在菌の増殖
夏は皮膚がインナードライになりやすい⁈

①エアコンの影響
暑さに弱いわんちゃんは、夏場はエアコンがかかった室内で過ごすことが多いのではないでしょうか。
エアコンの冷風にずっとあたっていると、血流が悪くなり皮膚のターンオーバーが乱れたり、皮膚の水分を保持している角質層が乾燥(インナードライ)してしまう状態になりやすいです。
エアコンが効いた室内で過ごす時間の多いワンちゃんは要注意!実は皮膚のインナードライが進んでいるかもしれません。
②紫外線の影響
体が毛で覆われている犬でも、強い紫外線を浴びると皮膚にダメージが起きることが知られています。特に夏場でサマーカットをして毛を短くした場合などは、さらに紫外線の影響を受けやすくなります。
他にも扁平上皮癌などの皮膚腫瘍や自己免疫疾患、急性皮膚炎、アレルギーなどの症状が出ることがあります。
紫外線が強い時間帯の外出は避けたり、防護服・サンバイザー、日焼け止めなどをうまく活用できるといいでしょう。
夏も保湿でスキンケア!
犬の保湿剤には、クリーム、ジェル、ローション、フォーム、ミストなど様々なタイプのものがあります。どれを選ぶか悩んでしまいますよね。
結論から言うと、その子に合っているものであれば、何でも大丈夫です!
保湿は1回やっただけで効果が出るものではなく、毎日継続して実施することが何よりも大切になります。
ご家族とわんちゃんが「ストレスなく継続できるもの」が、最高の保湿剤でしょう。

被毛が多い部位には塗りやすいローションタイプ、被毛が少ないお腹などには残留性が高いクリームや乳液、肉球などの表面が硬い部位にはジェルなどの浸透性が良いものを使うなど部位によって使い分けたりしてもいいかもしれません。
入浴もおすすめ!
皮膚が弱っている状態であれば、シャンプーはせずにお風呂で皮脂汚れを落とす&保湿入浴による保湿も良いでしょう。
入浴には、
①毛穴に詰まった汚れや毛にこびりついたよごれを柔らかくする
②毛穴を開かせて細菌などの微生物が出やすくなる
③外用薬の成分がより浸透しやすくなる
などのメリットがあります✨

入浴剤(ダーマモイストバス)を使用した場合
- バスタブ (ベビーバスなど) にぬるま湯を溜め、20~30Lに対して20mL入浴剤を入れてよく混ぜます。
- 全身でも半身・足浴でもOK!
- 桶やコップなどでかけ湯をしましょう。
- しっかりかけ湯が出来たら洗い流さずよく水分を取ってドライヤーで乾かします。

お風呂でさっぱり!
まとめ
暑い時期にも保湿は必要なんですね!
この時期はベタつきの少ないローションやスプレー、ひやっと清涼感のあるジェルなどもおすすめです。犬の皮膚は強い!とよく勘違いされていますが、表皮や角層の厚さからみてみても、ヒトよりもとてもデリケートな構造をしていることが伺えます。
愛犬との日常に保湿を取り入れて、暑い夏を乗り切りましょう!
石村先生のわんわん診察室

石村拓也先生プロフィール
シリウス犬猫病院(川崎市中原区)院長。東京農工大学卒業後、横浜市の動物病院にて勤務。2017年3月、東急東横線元住吉駅そばにて現院開業。皮膚や耳の症例に精通しており、難治性の疾患で遠方から来院する患者も多い。日本獣医皮膚科学会所属。
