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わんわん診察室|第2回

健康に長生きするために受けよう!健康診断

「健康寿命」という言葉を知っていますか?

健康寿命とは、健康上問題ない状態で過ごせる期間のことをいいます。
近年、犬の寿命は伸び、ヒトと同様に長生きするわんちゃんが増えています。大切な家族の一員であるわんちゃんには“ 健康に ”長生きしてほしいですよね。
そのためには日頃から愛犬の健康状態を把握しておくこと、また、変化に少しでも早く気づいてあげることが重要なポイントになってきます。
それに欠かせないのが「健康診断を定期的に受けること」です。

なんで健康診断って必要なの?

多くの人は、学校や会社、自治体などで健康診断を受け、ガンや大きな病気になる前に早期発見できるよう心がけていますよね?
人は自分で病院に行くことができますが、物言わぬ犬は自分で行くことはできません。
目に見えるような異常でない限り、早期に身体の異常を見抜くのは難しいです。

特に小型犬で多いのが心臓病ですが、初期には表立った症状があらわれにくく、症状が出始めると一気に悪化してしまうことがあります。
聴診やレントゲン検査により心臓病が発見されることも多いので、定期的に健康診断を受けさせてあげることが重要です。

一般身体検査(触診、聴診など)

早期発見には、早期から治療することができ愛犬の負担が軽くなる、その後の治療が簡単に済む、命の危険を回避できるかもしれない、などのメリットがあります。また、治療費の削減になる場合も多いでしょう。

また、まだ若いからいいや、ではなく若くて健康なうちに愛犬の基礎データを取っておく事も重要です。犬もヒト同様に検査数値に個体差があります。もし具合が悪くなってしまった時に数値の比較もできますし、「前回はこうだったけど、今回はこうだった」という検査数値の変化を追って見ていくのもとても大事です。

どのくらいの頻度で受診?

健康診断報告書

健康診断の頻度は若い時は1年に1回、シニア期に突入したら半年に一回がおすすめと言われています。半年に1回なんて頻度が多すぎない?なんて思われるかもしれませんがそんなことはありません。犬にとっての1年はヒトにとっての4〜5年くらいの経過があるんです。
犬はサイズによって年の重ね方が多少変わるのですが、だいたい1〜2年で人間で言う成人を迎えます。その後は大体1年で4歳ずつ年を重ねるので、一般的に小型犬は7歳頃になるとシニア期に入ったと考えられます。
「7歳」と言われるとまだまだこどものような気もしますが、小型犬で考えるとヒトの44歳にも相当します。ヒトだって若々しく見えても40代になれば何かしら不調も出てきますよね。それと同じでシニア期に入ると病気にかかるリスクはぐっと増します。

いくらくらいかかるの?

健康診断の料金は各病院によって差があります。
例えば…
Aコース:一般身体検査(問診、触診、聴診など)、歯科検査、血液検査 8000円
Bコース:Aコース+糞便検査、尿検査、レントゲン 15000円
Cコース:Bコース+超音波検査(心臓・腹部)、血圧測定、眼科検査 21000円

検査項目はたくさんあり、どこまで細かく検査する必要があるのかどんな組み合わせでやるのか等、獣医師と相談することがおすすめです。犬種や年齢、今までかかってきた病気などによっても変わってきます。うちの子にはどんな検査プランが合っているのか相談しましょう。

また、健康診断では絶食処置が必要であったり、尿や便の持ち込みを指示される場合もあります。病院からの指示をしっかりと確認しましょう。

腹部超音波検査

眼科検査

まとめ

病気が見つかってから治療を行うのではなく、病気を未然に防ぎ、愛犬の一生のうちの「健康な時間」を増やすこと。これが愛犬とそのご家族の幸せにつながるものだと考えます。共に迎えるヒトと犬の高齢化社会に向けて、犬の健康診断が普及していくことを願っています。

次回は健康診断で指摘されることが多い心臓病(僧帽弁閉鎖不全症)に関して、症状や治療法などについて解説します。

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石村先生わんわん診察室

石村拓也先生プロフィール

シリウス犬猫病院(川崎市中原区)院長。東京農工大学卒業後、横浜市の動物病院にて勤務。2017年3月、東急東横線元住吉駅そばにて現院開業。皮膚や耳の症例に精通しており、難治性の疾患で遠方から来院する患者も多い。日本獣医皮膚科学会所属。