プレミアムエディション。
その思想とは。
設計者たちの想いとは。

設計者たちが、さまざまな角度から語るプレミアムエディション。
ヘーベルメゾン プレミアムエディションの設計に関わる、
社員3名で座談会を実施。
その想いをまとめ、ご紹介いたします。
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神谷 桂太
集合建築本部 集合西東京支店 設計課 一級建築士
卓越した設計力と創造力、商品企画部での経験を活かし、ひと・こと・街並みに新たな価値・魅力を提供。
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谷澤 純一
集合建築本部 マーケティング室
首都圏各地にて営業職を経験したのち、マーケティング業務を担当。ヘーベルメゾンの販売を推進。
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田中 佑樹
集合建築本部 本部設計課
一級建築士大型建築のプロフェッショナルとして、ヘーベルメゾンの品質向上と新たな価値創造で集合住宅事業を牽引。
- ※役職は取材当時のものです
すべての建築に込められた設計思想
時を経るほど価値が高まる住まい。
それが、プレミアムエディションの
理想形です。

プレミアムエディションは、
どんな設計思想のもとにつくられるのでしょうか?
旭化成ホームズの戸建住宅ブランド「ヘーベルハウス」は、「ALL for LONGLIFE」という理念を掲げていますが、賃貸住宅ブランドでも、その思想を大切にしています。“LONGLIFE”な住宅は「長持ちする家」と言い換えられますが、それだけの意味ではありません。オーナー様にとっての事業性、入居者様にとっての住み心地、あるいは街にとっての資産性など、すべてがLONGLIFEにつながっているため、設計者一人ひとりが多角的な視点からそのあり方を考えています。例えば、建物が完成して終わりならLONGLIFEとは言えません。建物はむしろ完成してからが大切なので、数十年後の姿を想像して築くことが求められます。「長持ちする家」という確かなベースがあるからこそ実現できる、時を経るほど価値が高まる住まい。それが、プレミアムエディションの理想形です。

もうひとつ、私たちは「入居者様ファースト」という考え方も大切にしています。これまでの賃貸住宅というのはオーナー様の事業性を重視して、画一的な賃貸住宅を設計することが主流でしたが、入居者様にとって価値ある住まいを提供することが、結果的にオーナー様にとっても価値ある資産になると考えています。例えば、子育て世帯が増えているエリアには1K・1Rではなく、2LDK以上の間取りを取り入れるといった顕在化しているニーズにお応えすることも「入居者様ファースト」ですが、私たちが普段から意識しているのは、まだ顕在化していない課題に対するソリューションです。時代とともに、日本の暮らし方は変化しています。ライフスタイルは多様化し、持ち家ではなく賃貸住宅を選ばれる方も増えています。そういう時代に、これまで通りの画一的な賃貸住宅でいいのか。いまは当たり前でなくても、もっと快適な間取りやデザインがあるのではないか。常にそう問いかけながら、まだ誰も気づいていない潜在的な課題を見つけ、解決策をご提案する。それこそが私たちが目指す「入居者様ファースト」です。
敷地を読む、が起点となるコンセプト
すべてのデザインに意味がある。
そんな建築を心がけています。
一つひとつ敷地条件が異なるプレミアムエディション。
コンセプトは、どう導くのでしょうか?
街を歩いて雰囲気を感じ取ったり、歴史や将来性について調べたり、敷地をしっかり読み込むことから、設計者の仕事は始まります。そこで得た情報や私たちが五感で感じたことをもとに、どんな方が住むのか、イメージを膨らませていくのです。そして浮かび上がった入居者様像を踏まえてコンセプトを立案。具体的な設計は、イメージした入居者様のご自宅をつくる感覚に近いかもしれません。一方で、モノ消費からコト消費へ、さらにイミ消費とも言われる時代となり、いまでは多様な生活空間が求められるようになりました。その分、これまで以上に敷地を理解することが重要になっていると思います。なぜなら理解を深めるほど、コンセプトにオリジナリティが生まれ、強いものになるからです。コンセプトはデザインの判断基準にもなるため、私たちはなんとなくデザインすることはありません。すべてのデザインに意味がある。そういう建築を心がけています。


もちろん、建築する賃貸住宅はオーナー様の資産なので敷地を読み込むだけでなく、コンセプトはオーナー様の想いも汲み取ったものでなければなりません。だからオーナー様はどんなお人柄なのか、大切にされてきたその場所をどんな想いで引き継いでこられたのか、背景を伺うためにコミュニケーションを重ねます。その過程でコンセプトが見えてくることもあります。例えば、広い庭に佇む母屋を建て替え、賃貸経営を始めたいというオーナー様がいらっしゃいました。お話の途中で「ぜひ2階からの景色を見てください」と言われ、拝見させていただくと、敷地の庭の向こうには川が流れ、その先には青い空が遠くまで広がっていました。「小さい頃から眺めていた、この風景の素晴らしさをプレミアムエディションに住む方にも共感してほしい」。「ここに住むご夫婦やご家族にとっても、思い出の風景になってほしい」。そんなオーナー様の深い想いがコンセプトの骨格となりました。

敷地の魅力を最大限に引き出す方法
敷地の魅力に従い、
基本に忠実に設計することが、
建築の価値に。
敷地についてはどう考えて、
具体的なプランニングにつなげているのですか?
日中や帰宅時間、休日の街の様子を見ること。街の人々がどういう生活を送っているのかを知ること。それがプランニングにつながります。例えば、駅から歩いてみると、帰り道にどんな施設があり、景色があり、どう気持ちが動くのかを想像することができます。するとどこにエントランスを置き、どう佇むべきかも見えてきます。もちろん敷地そのものの魅力や課題を明確にすることも大切です。敷地に立ち、季節ごとに変わる風景を思い描いたり、敷地周辺の環境を考慮したり、入居者様の目線で暮らしをイメージすれば、敷地の魅力を最大限に引き出す方法も見えてきます。「ここにいちばん光が入るから、いちばん気持ちのいい空間にしよう」、「ここからの景色が美しいから大きな窓を設けよう」というように、“心地よく暮らすことができる住まいを設計する”という基本に忠実な設計をすることが、結果的に建築の価値になると考えています。

例えば、建物を敷地に並行に建てるのではなく、斜めに置いてみる。そうすると空地が生まれます。それは無駄に思えるようで、実は住環境をよくするための空間になったりします。建物を敷地いっぱいに建てることが正解ではないのです。また、敷地内に周辺からも見える桜の木などがある場合は、それを活かす配棟計画を考えます。街にとって大切な風景を残すことは、敷地の価値を高めること。桜の木が家族の思い出になったり、それを見ることによって記憶が蘇る風景はかけがえのないものです。こうしたケースを含め、私たちはどんな敷地でも何パターンもの建物配置を検証します。敷地の価値×建物の価値=資産価値。その最大化を目指して、私たちは「敷地を読み解く力」と、「敷地を活かすデザイン力」を常に磨き続けています。


間取りは、建物のゾーニングから
間取りの課題に対して、
建物の配置で解決できることも
少なくありません。
間取りは、どんなプロセスを経て
決められるのでしょうか?
間取りについては、建物のゾーニングを検討する段階から考えます。窓を大きくするとか、二方向に窓を設けるとか、もちろんそれも大事なのですが、もっと大きな視点から考えることが大切です。ただ敷地に建物を当てはめてプランを割り振るのではなく、周りの建物の高さや窓の位置、周辺環境を考慮しながら突き詰めていきます。例えば光環境。やはり南向きの方が住環境はよくなりますので、まず南向きの住戸を増やせる配棟を検討したり、なるべく一年を通して陽が入るように太陽の角度を計算したり、さまざまなシーンを想定して検証を繰り返します。音環境も同様です。周りの道路の交通量、商業施設のにぎわい、人通りの多さ、鉄道の振動音などを踏まえた上で、敷地を静と動のエリアに分けるなど、間取りの課題に対して建物の配置や向きで解決できることも少なくありません。


具体的な間取りは、初期段階で設定した入居者様の人物像に基づいて、快適な間取りや喜んでいただけそうな空間を追求していきます。例えば、あるプレミアムエディションはお子様が育ち盛りのファミリーを想定してプランニングを進めました。家族の住まいですから、ある程度の面積が必要です。そのゆとりの中で、親子のコミュニケーションを育み、もっと楽しく暮らせるプランはできないだろうかと考えて発想したのが、住戸内をぐるぐる回遊できる動線を設けたプランでした。賃貸住宅でも、住み続けたくなる家でありたい。それもLONGLIFEな住宅の目標のひとつです。
シンプルな『箱』が決める外観デザイン
シンプルな『箱』としての
ボリュームが美しいかどうか。
外観はそこに注力しています。
続いて、建築デザインのこだわりについて
教えていただけますか?
私たちが目指している建築デザインは「シンプルモダン」というキーワードに集約されています。余分な装飾やムダを省いて、素材そのものの風合いや温もり、美しさを追求するデザイン手法のひとつです。直線を基調とする機能的なデザイン。プレミアムエディションは、そこに暮らしてみたくなるような空気感を少し加えているイメージです。そもそも人が美しいと感じるデザインは、昔からあまり変わっていないと思うのです。長く愛される建築はバランスが整っています。日本人には、日本人がしっくりくるカタチがあって、例えば富士山は、日本人が落ち着くカタチと言われています。色や素材は、ある意味トッピングで、シンプルな『箱』としてのボリュームが美しいかどうか。外観はそこにこだわっているので、建物のボリューム決めは、私たちが時間をかけている部分のひとつです。



持続可能な社会に向けてできること
ペットと共に暮らせることや、
ZEHへの取り組みも
プレミアムエディションのサステナビリティ。

社会の必須条件となったサステナビリティ。
プレミアムエディションは、どんな施策を?
サステナビリティとLONGLIFEは親和性が高い考え方なので、プレミアムエディションでもさまざまな角度から語ることができます。例えば、当社が提供している付加価値型賃貸住宅の一つに、ペット可ではなく、ペットと共に生きるをコンセプトにしたペット共生型賃貸住宅『+わん+にゃん』というものがあります。人とペットが快適に暮らすためのアイテムや、ゆるやかなコミュニティを生む工夫、独自のサービス、充実したサポート体制があることが特長です。プレミアムエディションでは、このペット共生型賃貸住宅を搭載した物件もあり、ペットと人が心豊かに、安心して暮らせる社会を目指しています。
さらに、環境性能については断熱性を高めたり、地球にやさしい設備を採用したり、大幅な省エネを実現するZEHへの取り組みを強化しています。それは光熱費を抑えられるという意味で、わかりやすい入居者様ファーストとも言えます。ですが、やはり省エネに大きく寄与するのは陽当たりです。構造や設備に頼るばかりでなく、配棟や間取りから工夫すること。私たちは常にそれを意識しています。加えて、プレミアムエディションでは一部の物件で、建物の屋根をオーナー様にお借りして太陽光発電設備を設置する「Ecoレジグリッド」というシステムを導入しています。高い断熱性能や光熱費の削減ができ、有事の際には共用部の電源と住戸内のWi-Fiが利用できます。このように建物のレジリエンス性を高めることで環境貢献と防災力強化を実現する施策となっています。

