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シニア期セミナーレポート

『わが子の将来』を考えるセミナー【オンライン】

2023.3.21

近年ではペットの寿命が延びていますが、それに対してペットの老後や介護についての情報はあまりないのが実情です。
そこで、今回は『わが子の将来』を考えるという、初めて“ペットの老後”をテーマとしたセミナーを対面型とオンラインの両方で開催。予想を大きく上回る参加申込の数に、ペットの老後についての関心の高さが伺えました。

ここではオンラインセミナーの様子をレポートします。

オンラインセミナーは「わんちゃんの部」「ねこちゃんの部」ともに前半と後半の2部構成で行いました。

  • 前半では旭化成不動産レジデンス株式会社の佐々木亜子が講師を務めました。

  • 後半の講師を担当したのは公益財団法人日本小動物医療センターカウンセリング科の獣医師、中森あづさ先生です。

「わんちゃんの部」

  • 前半の講義は「わが子の老後・介護を知る」という内容で、犬のシニア期はどのようなものなのか、見られる変化や症状、それに対して飼い主ができる対処の仕方を学びました。
    皆さんが食い入るように画面を見つめている様子が印象的でした。

  • さらに、要介護になりやすい犬種を知ったり、介護破綻を回避するための飼育環境の再点検を行ったりすることで、愛犬の老後についてのイメージを深めていきました。

  • 愛犬の健康寿命をのばすための工夫について提案を行いました。愛犬にとっても安全な部屋づくりでは、実施にお宅訪問で伺ったおうちの工夫もあわせて紹介しました。

講師の佐々木は+わん+にゃん倶楽部の「ペットとお出かけレポート」に第13回まで登場していたミニチュアダックスフンドのまるちゃんを自宅で看取ったばかり。
19歳3ヵ月で旅立ったまるちゃんの17歳頃からの身体の変化、実際の散歩や夜中のムダ吠えの様子などを写真や動画で紹介し、「最後の日まで笑顔で過ごすために、わが子が老いていくことについては知識も覚悟も必要です。皆さんには、将来前向きに明るく楽しみながら介護に取り組んでいただきたいです」と締めくくりました。

  • 後半の中森あづさ先生の講義タイトルは「動物病院とうまく付き合おう!~日々を楽しく、健康に過ごすために~」です。
    実際の小動物獣医療に携わっている立場から、普段なかなか聞くことができない貴重なお話をしてくださいました。

  • 公益財団法人日本小動物医療センターの紹介のあとに中森先生が最初に触れたのが小動物獣医療の現状についてです。
    一次診療と二次診療の違い、高度獣医療、積極的治療と緩和治療についてなどを学びました。
    特に高度医療で使われる最新機器の紹介では、想像以上の現代の獣医学の進歩に皆さん驚かれた様子でした。

  • 小動物獣医療が大きく進歩したことで、治療の選択肢も増えています。そこで「わが子のために何をしたらいいか」と迷われる飼い主様が増えたとのことで、なんでも相談でき、信頼できる獣医師を見つけることの大切さを学びました。
    最後には皆で動物と暮らすことについて改めて想いを巡らせ、ペットを飼うことの素晴らしさを再認識しました。

質問タイムでは「犬が年老いた時には自分自身も年を取って老々介護になる可能性が高いが、その時にどうしたらよいか」「認知症の症状が出てきた犬は、飼い主の心を読み取ることはできるのか」「シニアになった時のために、覚えさせておいた方が良いトレーニングがあれば教えてほしい」「高額医療の具体的な費用が知りたい」などさまざまな質問があり、講師を務めた2人のそれぞれの視点からアドバイスを行いました。


「ねこちゃんの部」

  • ねこちゃんの部にはお住いの地域も多岐にわたった23組が参加され、さらに犬と猫の両方を飼われていて犬の部に引き続いてセミナーを受けられた方もいらっしゃいました。
    5歳以下の若い猫を飼われている方も多く、時折愛猫を抱きながら聴講している参加者さまも見受けられました。

  • 前半は猫の老後・介護についての講義を行いました。犬に比べ、猫の老後や介護についての情報は、まだまだ少ない状況です。そこで、猫のシニア期は何歳からかという基礎知識から、あまり変化がないと言われる猫のシニア期がどのようなものか、その中で飼い主はどういうことができるのかを学びました。

  • 猫の寿命が延びた昨今では、その寿命に対応する必要があるということで、各自の飼育環境の再点検を行い、猫の健康寿命を延ばすための工夫をチェックポイントとともに学習。
    猫の生態に配慮した快適に過ごせる部屋づくりの例では、わんちゃんの部同様に、お宅訪問の際に見せていただいた各家庭の工夫についても紹介しました。

  • 最後には終末期の看取りの準備についてまで話が及び、「猫が若いうちから老後について考えておくのは早すぎることはありません。わが子が老いていくことに対しての心の準備も含めた準備が大切です」というメッセージが伝えられました。

  • 後半の中森あづさ先生の講義では、わんちゃんの部同様に現在の小動物獣医療の現状を知るとともに、CTやMRIなどを使った精度の高い検査や新たな治療法などを聞くことで、獣医学の進歩を再認識。
    猫に特化した内容として、薬を飲ませることの難しさに絡めたお話もありました。

  • 猫はシニアになってもそれほど大きい問題がない反面、前段階として動物病院をどうやって上手につれていくか悩まれる方が多いそう。
    そこで、猫の動物病院の先生が推奨しているキャリーや、普段からキャリーに慣れさせるために先生自身が愛猫に行っていることを紹介。さらに動物病院との付き合い方やわが子の終活についてまで話が及び、タイトルにもなった“動物病院とうまくつきあおう!”の意味がより鮮明にあぶり出されていきました。

  • 話のラストには、なぜ動物病院にカウンセラーが必要なのかという内容で、中森先生が実際の現場で聞いてきた飼い主のリアルな声を紹介。締めくくりとしてペットを飼うことの素晴らしさ、そして日々の愛猫との暮らしを楽しんでほしいという願いが語られました。
    この講義では先生が飼われている猫がスライドに映し出されて癒されるひと時もありました。

質問タイムでは「歯磨き粉を舐めさせるだけで歯磨きの効果は得られるか」「フードを変えるタイミングは」「ごはんをあげる時のお皿の高さの目安を知りたい」といった日常的なものから「都内で二次医療を行っている動物病院を知りたい」「高齢の猫の手術について教えてほしい」という医療的なことまで多岐にわたる質問が出され、それぞれに講師が豊富な経験や知識をもとにお答えしました。


初の“ペットの老後について”というテーマを取り上げたセミナーでしたが、実際に自分のペットライフに落とし込める内容や、普段聞く機会のないレアなお話の中に多くの学びが散りばめられており、アンケート結果では「わんちゃんの部」「ねこちゃんの部」ともに高い満足度となりました。
また、質疑応答の時間で投げかけられたどの質問にも、皆さまのペットに対する深い愛情が感じられました。
今回得た知識をこれからの愛犬・愛猫との生活に活かし、楽しく悔いのないペットライフにつなげてくださいね。

+わん+にゃん倶楽部では、今後もペットとの暮らしに役立つ学びの機会を設けていく予定です。皆さまのまたのご参加をお待ちしています!

  • わんちゃんの部 集合写真

  • ねこちゃんの部 集合写真