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もっと知りたい“猫”のこと|第4回

キャットフードのあれこれ「食」について

愛猫の健康を考えるときに、最初に思い浮かぶのがキャットフードではないでしょうか。
キャットフード売り場へ行くと、その種類の多さに驚かれるかもしれません。またインターネット上には様々な情報が溢れており、「何を基準に決めれば良いのかわからない」と相談を受けることが多いです。

個人的にはキャットフードを以下の3つのグループに分けています。この中から自身の考えに合うものに絞ると選びやすいでしょう。

  1. スーパーマーケットフード
  2. プレミアムフード
  3. サイエンスフード

 

1. スーパーマーケットフード

コンビニエンスストアやスーパーマーケットなど、いわゆるどこでも購入できるフードの総称です。ペットフードのシェアで最も高いのはこのグループです。
人間の食材を加工する際に余った、いわゆる副産物を使っているため安価でもあります。副産物は危険であると一部で囁かれていますが、実際にはそのようなことはありません。また安価であっても栄養バランスの基準をクリアしているので長期的に与えても栄養不足にはなりません。

2. プレミアムフード

文字通り”上質”な素材を使っているフードです。
「プレミアム」の意味するところはメーカーによって異なり、人用の食材に流通される素材のみで作るヒューマングレードや、材料を日本産にこだわった国産フードなどがあります。
材料費がそのまま値段に乗ってくるため、スーパーマーケットフードよりも高価になります。

3. サイエンスフード

猫の健康について科学的に研究をしているフードメーカーを、私はサイエンスフードと呼んでいます。病気の療法食なども作っていることが多く、実際にそのフードでどのくらい病気の進行を抑えるか研究結果を公表しています。
消化率がよければ副産物も使用しています。研究費がかかるため、スーパーマーケットフードよりも高価になります。

Q&A

Q1 どのフードも健康面への影響に差はないのか?
科学的なデータとしてはありません。
このフードを食べている猫の方が寿命が伸びる、がんの発生率が少ないなど、具体的な数値は示されていません。
ただし各フードメーカーは独自の理論に基づいてより良いフードを提唱しています。それらの理論に同調できるメーカーのものを選ぶと良いでしょう。
Q2 キトン(幼猫)用やシニア用を与える時期、タイミングはいつか?
基本的にはキトン用は成長期のためカロリーが高く、また鉄などのミネラルも多く入っています。一方で、シニア食は腎臓病を意識し、リンやたんぱく質の割合が低く設定されています。
タイミングは各メーカーによって異なりますが、基本として猫は1歳からはアダルト用、12歳以上からシニア用と覚えておくと良いでしょう。

愛猫が好むフードを選ぶことが基本です。

嘔吐や下痢など症状がある場合はかかりつけの動物病院で相談しましょう。
考え抜いてようやくフードを決めて注文したけれども、愛猫が全く食べてくれなかった、というのは猫ではよくあることです。理論よりも”好み”の方が大切なので、その場合は愛猫が好きなものを選びましょう。
美味しくないと感じるものを長期間食べている方がストレスになってしまいます。飼い主さんの考え方、コスト、猫の好み、これらのバランスが取れたフードを探してあげましょう。

次回は、食に関するより詳しいQ&Aに回答します。

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山本先生もっと知りたい“猫”のこと

山本宗伸先生プロフィール

猫専門病院『Tokyo Cat Specialists』院長・獣医師
授乳期の仔猫を保護したことがきっかけで猫の魅力にはまり、獣医師になることを決意。獣医学生時代から猫医療の知識習得に力を注ぐ。都内猫専門病院で副院長を務めた後、ニューヨークの猫専門病院 Manhattan Cat Specialistsで研修を積む。著書「猫のギモン!ネコペディア」。国際猫学会ISFM所属。日本大学獣医学科外科学研究室卒。ブログ『猫ペディア』http://nekopedia.jp/