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山本先生もっと知りたい“猫”のこと

山本宗伸先生プロフィール

猫専門病院『Tokyo Cat Specialists』院長・獣医師
授乳期の仔猫を保護したことがきっかけで猫の魅力にはまり、獣医師になることを決意。獣医学生時代から猫医療の知識習得に力を注ぐ。都内猫専門病院で副院長を務めた後、ニューヨークの猫専門病院 Manhattan Cat Specialistsで研修を積む。著書「猫のギモン!ネコペディア」。国際猫学会ISFM所属。日本大学獣医学科外科学研究室卒。ブログ『猫ペディア』http://nekopedia.jp/

もっと知りたい“猫”のこと|第3回

1. 猫の得意なことをさせてあげよう

前回のコラムの最後に動物が豊かに暮らせる工夫、環境エンリッチメントという言葉を紹介しました。
環境エンリッチメントの基本はそれぞれの動物の能力を発揮できるようにすることです。人間でも社交的な方は接客業、寡黙な方は研究職など自分の得意なことを仕事に生かした方がストレスが少ないですよね。

それでは猫の得意分野はなんでしょうか。
猫が動物界でも特に秀でているものは跳躍力とバランス感覚です。そのため室内でも上下運動ができるような台や、あえてバランスを取るのが難しい細い通り道を作ると良いでしょう。
DIYでもできますが、市販のキャットタワーやキャットウォークを使うと安全で簡単です。

2. 採食エンリッチメント

環境エンリッチメントは室内を整えるだけではありません。ご飯を食べるときに少し負荷をかけて、達成感を高めるのが採食エンリッチメントです。
ペットの猫はお皿に乗ったキャットフードを苦労することなく食べることができますが、猫は地球で最も成功した肉食動物の子孫です。やはりここでも猫の特技であるハンティングをさせてあげましょう。

一番簡単なのはフードをベッドの下などに隠して探す楽しみを与えましょう。また穴が空いたカプセルにフードを入れて、転がさないとご飯が食べられないおもちゃを使うのも良いでしょう。
私は愛猫の前を通り過ぎるようにドライフードを投げて、獲物を追いかける感覚を呼び起こしています。ただご飯を食べるより、運動になりますし頭を使うので、変化が少ない室内飼育の猫にとって良い刺激になります。

3. 社会的エンリッチメント

ここでの社会というのは猫とオーナーさん、そして他のペットとの関係を指します。猫は長年単独で暮らしていたため、社会を作りませんでしたが近年は猫の性質も変わってきたようです。
最近ではノラネコが集まって会議を開く“猫の集会“が目撃されることも増えました。しかし、猫はやはり猫です。あまり積極的に関わられることは嫌いで、子供や犬などは基本的に苦手です。また猫同士の不仲も大きなストレスの原因になってしまいます。
過剰な多頭飼いになるとどこへ行っても他の猫がいる状況が生まれ、プライベートを大切にする猫にとって好ましくありません。

4. 感覚エンリッチメント

最後は猫の感覚に訴えるエンリッチメントです。五感の中でも特に人と猫の感覚が違うのが嗅覚です。
例えばレモングラスのアロマは人にとっては心地よい香りですが、猫にはむしろ嫌な臭いに感じるようで、猫よけスプレーのレシピに含まれていることがあります。
また猫は健気に顎や頬を家具などに擦り付けています。これは顔から分泌されているフェイシャルフェロモンでマーキングをするためです。そのため、擦り付けている場所を洗剤で拭いてしまうと自分の匂いがなくなり不安に感じることがあります。家具が黒ずんでしまっても、その場所は拭かないのが猫オーナーとしては正解になります。