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山本先生もっと知りたい“猫”のこと

山本宗伸先生プロフィール

猫専門病院『Tokyo Cat Specialists』院長・獣医師
授乳期の仔猫を保護したことがきっかけで猫の魅力にはまり、獣医師になることを決意。獣医学生時代から猫医療の知識習得に力を注ぐ。都内猫専門病院で副院長を務めた後、ニューヨークの猫専門病院 Manhattan Cat Specialistsで研修を積む。著書「猫のギモン!ネコペディア」。国際猫学会ISFM所属。日本大学獣医学科外科学研究室卒。ブログ『猫ペディア』http://nekopedia.jp/

もっと知りたい“猫”のこと|第2回

1. 猫の性格

猫の一番好きなポイントに、性格をあげる方も多いでしょう。猫は芯を持っており、周りに流されない生き方に憧れる人もいます。猫が自由気ままなのは、猫の起源に関係がありそうです。猫は他の動物と異なり、ペットになる過程でほとんど選抜されませんでしたが、人と暮らす動物にはもともと仕事がありました。例えば、馬の場合は人を運ぶのに適したおとなしい馬や、犬では狩りを手伝える賢い犬を選んでトレーニングを行ってきました。その結果サラブレッドやラブラドールレトリーバーが生まれました。

一方で猫に期待された仕事はネズミを捕ることでしたが、これは猫の自然な行動だったので特にトレーニングすることも選抜することもありませんでした。そのため猫は今でも人の言うことを聞いたり、飼い主を立てるような行動はしないと考えられています。

2. うちの猫達

実際に猫を飼うとみんな様々な性格の猫がいることに気がつきます。私はこれまで歴代9匹の猫と暮らしてきましたが、人懐っこく常に後ろに付いて来る白猫のチロや、とっても控えめなキジトラ柄のラッキーなど、新しい猫を飼うたびに驚かされました。
また私の猫歴はメスに偏っており9匹中7匹メスでした。やはり猫も性別によって性格が異なるようです。メスの方が知的で物静か、オスの方がドジで活発な印象があります。また”動物病院あるある”として茶トラはフレンドリーな猫が多いと信じられています。やはり今一緒に暮らしている病院猫の茶トラのカツオは非常に友好的で、飼い主さんに会ったら、挨拶がわりに飼い主さんの靴で爪を研いでは可愛がられています。

3. 猫にとって豊かな環境とは

飼い主さんは皆さん、愛猫に健康で長生きして欲しいという希望があります。そのためには猫にとってストレスがない暮らしやすい環境を用意してあげましょう。今回猫の性格に触れたのは、ストレスがない環境は猫の性格によっても異なるからです。
猫の性格は大きく分けて好奇心旺盛な“アクティブ“と”警戒心が強い“パッシブ”に分けられます。例えば、猫は日当たりの良い窓辺を好みますが、パッシブな猫の場合、外を歩いてる猫や子供の登下校の姿などでストレスを感じてしまいます。そんな場合はあえて、窓の前に家具を置いて視界を狭めることで住みやすいストレスが少ない環境になることもあります。

4. 猫も人も幸せに暮らすポイント

動物に適した環境を用意することを行動学の用語で環境エンリッチメントと呼びます。エンリッチメント=EnrichmentはEn=〜にするとRich=リッチ・豊かな、を合わせた言葉です。
動物園で同じところをぐるぐる回ったり、無気力な動物を見たことはないでしょうか。これはその動物にとって適した環境でないためストレスで異常な行動が出ているからです。そういった問題を解消するために、その動物がのびのびできる環境を用意してあげるのが環境エンリッチメントです。
例えば猿のエリアには山があったり、ロープが多く設置されているはずです。これはボス猿が高いところを陣取れるように、また猿が得意な腕を使った移動を促すためです。猫の環境エンリッチメントはやはり猫の性質に合った環境を考えることが大切です。猫の気持ちになって、どんなお家なら楽しく過ごせるか考えてみましょう。
次回はこのあたりを掘り下げて、猫の環境エンリッチメントについてより詳しくご説明しますので、お楽しみに。