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【医】おうちケアで病気を予防|第5回

油断大敵!5月になったら熱中症に注意

愛犬の熱中症は、毎年4月頃から発生し始めます。
そして、5、6 月に入ると急激に増加し、7、8 月にピークを迎えます。
対処が遅れたり、不適切だと死に至ることもある熱中症。
今回は、愛犬を熱中症から守るためにはどうすれば良いのか、その対処法をご紹介いたします。

熱中症は留守中より飼い主在宅中のほうが発生率が高い!?

まず熱中症の原因は2つに大別されます。

  • 環境による要因:高温、多湿、換気不足など
  • 体の状態:屋外での運動や散歩により体内で熱が産生された、脱水など

これら2 つの要因が重なり合うときに熱中症が起こりやすいと考えられます。
たとえば、ドッグランで遊んでいるときや、散歩中などは要注意です。
また、日差しが強い屋外だけではなく、室内でも熱中症は起こります。
最近では、熱中症対策として、夏場の外出時にはエアコンをつけっぱなしにする飼い主さんが増えてきましたが、実は愛犬が留守番をしているときよりも、飼い主が一緒に在宅しているときのほうが、熱中症が発生しやすいという意外な結果がアニコムの調査により報告されています。

この調査によると、愛犬が留守番しているときの熱中症の発生率は36.4%だったのに対し、飼い主が一緒に在宅しているときの発生率はそのおよそ2 倍の63.6%にのぼるとされています※。
成犬が適温だと感じる温度は15 ~ 21℃とされていることから、飼い主さんが快適な室温だと感じる温度でも愛犬にとっては暑すぎるという場合があるため、在宅中にも「犬にとって快適な室温かどうか」を意識するようにしてください。

熱中症を予防するためには、お散歩時間をずらすことがおすすめです。
具体的には、夏の間は日中のお散歩はやめて、朝日が昇ってすぐか、日が落ちてしばらくしてから行うことで、思いがけず熱中症になってしまうのを防ぐことができます。
どうしても日中に外出しなくてはならない場合には、ドッグカートを活用するのもよいでしょう。カート内にはタオルにくるんだ保冷剤をいれておけば安心です。もちろんこまめな水分補給も忘れずに。外出用の水飲みグッズを用意しておくと便利です。

http://www.anicom-page.com/hakusho/medical/pdf/130419.pdf

覚えておこう!こんな症状がみられたら迅速な対応を

熱中症になった場合、犬にはどのような症状が起こるのでしょうか。

  1. 舌を出してハアハアとあえぐような呼吸をしている
  2. よだれをだらだらと垂らしている
  3. 歯肉が真っ赤になっている
  4. 意識がなかったり、意識があっても目しか動かさない
  5. 呼びかけに対して反応が鈍く、横になったままで呼吸が苦しそう

もし、こうした症状が見られたら熱中症の可能性があり、迅速な対処が必要です。
体温が41℃を超えると脳に損傷を受けたり、処置をしないで放置し、重症化した場合には死に至ることがあるためです。

まず行いたいのは、脱水症状改善のために水を飲ませてあげることです。
この際、一度に大量の水を飲ませずに様子を見なが少量ずつ、何度かに分けて水を与えることが大切です。

次に、上昇した体温を下げます。
冷たい水を張った風呂やたらいなどに体をつけたり、ホースなどで全身に水をかけてあげてください。犬の一般的な平熱は直腸で測定した場合で38 ~ 39℃です。体を冷やしながら約10 分おきに体温をはかり、平熱まで体温を下げてください。応急処置で平熱まで体温を下げたら、かかりつけ医に連絡しましょう。

まとめ

人間には気持ちの良い気候でも、5月頃から熱中症が起こる可能性はあります。
熱中症の危険から愛犬を守るため、熱さ対策をしっかりしてあげてくださいね。

著者プロフィール - 高垣 育

薬剤師、ライター。星薬科大学卒業後、調剤薬局や医療専門の広告代理店の編集・ライターの経験を経て、2012 年にフリーラ ンスの薬剤師ライターとして独立。
また自身の愛犬を肺がんで亡くした際に、体調の変化に気付けなかったことに自責の念を覚え、以来動物と人の医療に関わる記事を中心に、さまざまな媒体に寄稿。

協力:ONE BRAND(“犬と暮らす” をもっと豊かにするライフスタイルマガジン)