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【住】ペットも人も心地よい住まい|第3回

犬を幸せにする空間づくり

人と暮らしを共にしている犬。人とは異なる生き物であるのに、あまりにも身近であるために無意識に人と同じと考えてしまいがちです。
でも実は、人と犬の“幸せな空間”は必ずしも同じではありません。
犬にとって、人にとって、それぞれの視点で快適な生活空間とはどんなものなのでしょうか?

犬にとって快適な空間とは?

犬にとっては、ほぼ24時間の居場所となる生活空間。犬の本能や行動パターン、体質の特徴を理解して、以下の3つを気をつけましょう。

■ ストレスがない穏やかな環境づくり

窓外の風景が丸見えだったり、自由に動ける範囲が広すぎることは、人にとってはのびのびと感じますが、犬にとっては常に見張りが必要ということになり、ストレス。穏やかでいられる行動範囲の設定が必要です。また、時には犬も一人の時間や空間が必要。一人になれる場所(クレートなど)も用意し、そこにいる時はそっとしてあげましょう。トイレの位置は、視線を感じない落ち着く場所に。

■ 安全の確保

脱走しないようゲートで防止、地震の時に落下物の心配がない、観葉植物など口に入れると危険なものが犬の届く範囲にないなど、犬にとって安全に整えます。特にキッチンは危険も多いので、中に入れない工夫が必要です。

■ 温度コントロール

室温の変化や好みに合わせて移動できるように、居場所に選択肢を設けます。その際、外気に温度の影響を受けやすい窓際、外壁側などは避けて。
フローリングの床、敷物、タイルなど床の素材の違いや、温かい、ひんやりといった場所の違いを、コンディションによって犬は選びます。

では、人にとって快適な空間とは?

一方、犬と一緒に暮らす飼い主さんにとっての快適さは、以下の3つを大切に 考えるとよいでしょう。

■ 衛生を保ちやすい

お掃除がしやすく、抗菌、防臭効果などがある素材の床や壁、アイテムの活用。

■ 臭いがしない

犬用トイレは住宅換気設備による空気の流れを確認して排気に近い側に設置しましょう。臭気がダイニングなど人のいる場所を通過しないようにするのがポイントです。

■ 心を豊かにするデザイン性

機能面に囚われすぎて、好みのインテリアをあきらめることなかれ。今は、機能、デザイン共にすぐれた建材やアイテムが多々あります。あまり目立たせたくないケージは壁と同じ色にしてスッキリ見せるなど、ちょっとした工夫でもインテリアの楽しみは広がります。

まとめ

まずは、犬も人と同じように感じている、うちの犬はこうだという思い込みを捨てて、上記を参考に、犬にとっての快適な空間を整えましょう。
犬にとっての快適な空間が整えられたら、人にとっての快適も加えていきます。
常に、犬と人、両者の視点を意識してバランスを取ることで、共に穏やかで幸せな暮らしを実現できますね。

著者プロフィール - 二村 陽子

トリマー建築家。1級建築士、A 級トリマー(青山ケンネルスクール卒)、愛玩動物飼養管理士1級、日本ドッグインストラクター協会認定ドッグトレーナー。トリミングサロンを運営しながら、ペットとすごす空間の設計(トリミングサロン・ペットホテル・ドッグラン・動物病院など店舗やペット共生マンション監修)を行う。トリミングサロンでは、「犬と人、共に幸せ」をコンセプトに、シャンプーレッスンや、ドッグトレーニングなど各種のイベントを開催。

協力:ONE BRAND(“犬と暮らす” をもっと豊かにするライフスタイルマガジン)