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ドッグトレーナーのわんポイントレッスン

ドッグトレーナーのわんポイントレッスン 第5回

問題行動その① インターホンに吠えてしまう

こんにちは!ドッグトレーナーの佐久間です。第5回目からは、何回かに分けて問題行動への対処方法についてお話していきたいと思います。

まず始める前に皆さんに知って頂きたい事があります。
それは…『「問題行動」とは何か?』という事です。

皆さんは「問題行動」と聞くと、すぐに「いけない行動」と思いがちですが、「問題行動」とは『人間社会で生活する上で望ましくない行動』であって、犬にとってみれば『正常な行動』であることがほとんどなのです。
そして、その『正常な行動』をとっているのには、必ず理由(原因)があります。問題行動の解決には、まず理由(原因)が何なのかを考える必要があります。

チワワやダックスといった犬種が吠える事が多いようです。

今回は、問題行動の中でもよく聞く「インターホンに対して吠えてしまう」犬に対しての対処するための練習方法を、何個かお教え致します。

「インターホンに対して吠えてしまう」原因として考えられることは…

  • 音にビックリして吠えてしまう
  • 飼い主に『誰か来たよ!』と警戒を促している
  • インターホンが鳴った際に飼い主が慌ただしく動くので異常を感じている

・・・等々です。
この原因がきっかけで、吠える行動が習慣化されてしまっている可能性があります。

これから紹介する対処方法を、ご家族やご友人に協力してもらい練習をしてみてください。尚、練習する際は近隣の方々にご迷惑がかからないよう注意しましょう。
それでは対処方法を紹介しています!

1. 大きな音を立ててビックリさせる

この方法は、今最もポピュラーな対処方法かと思います。テレビや書籍なんかでも幅広く紹介されています、いわゆる「天罰方式」という方法ですね。
『自分が吠えると大きな音が鳴る』という伝え方です。

用意するもの

大きな音が出るもの(例:小銭や小石を入れた空き缶など)

方法

犬が吠えた瞬間、もしくは吠えそうな雰囲気を出した瞬間に、缶などを振って大きな音を立ててビックリさせます。吠えずにおとなしく出来ていたら褒めてあげましょう。

実践する際は飼い主が音を立てていることを悟られないようにしましょう。あくまでも飼い主は平然としている事が大切です。

注意点

  • 大きな物音を立てるので、集合住宅で行う際は、隣の部屋や下の部屋の方へ迷惑がかからないようにしましょう。
  • 音にシャイな犬には、逆に恐怖感を与えてしまう事があるので、この方法はおススメできません。
  • 何度かやっていると、音に慣れてしまう事があります。犬が音の慣れてしまったら、この方法は効果が無くなってしまいます。

2. 他の物で気を逸らす

この方法は、音にシャイな犬や、家で大きな音を立てたくない場合に用います。
犬が興味のあるもので気を逸らして吠えるのを止めさせ『吠えなくても何にもなかったなぁ』と犬に伝える方法です。

用意するもの

犬が興味を持っているもの(おやつやオモチャ等)

方法

犬が吠えた瞬間、もしくは吠えそうな雰囲気を出した瞬間に、興味のあるもので気を逸らします。音が鳴らないおもちゃで気を逸らせるときは、犬の鼻先まで持っていき、しっかりとニオイを嗅がせてあげるようにしましょう。その際に声を掛け過ぎるとニオイに集中できなくなるので、声を掛けるのは最小限にしましょう。

吠えずにいられたら、しっかりとご褒美をあげましょう。

注意点

  • いつもは興味があるものでも、犬が興奮している時は興味を示さないことがあります。

3. 飼い主の態度で示す

この方法は、飼い主の毅然とした態度と平常心で行う必要があります。今回ご紹介する中では最も難しい方法かもしれません。しかし、この「態度で示す」方法が出来るようになれば、色んな場面で応用が利くようになります。
犬に『ボスが吠えるなって言ってるから、自分は吠えなくても良いんだ』という伝え方です。

用意するもの

リード

方法

① インターホンに吠える犬の多くが、インターホンが鳴ったのをきっかけに、玄関もしくはインターホンに吠えながら走っていきます。
まずは「待て!」と強く指示を出しながらリードを踏んで走っていく行動を止めましょう。

② 次にリードを持ち、犬の目の前に堂々と立ちます。(立膝でも構いません)
それでも犬が飼い主を無視して玄関の方へ行こうとしていたら、リードを横に一瞬だけ引くと同時に、気持ちを込めて低く短い言葉で注意してください。(言葉は「ダメ」でも「ノー」でも何でも構いません)吠えた時にも同様に注意してください。

③ 根気よく続けていれば、そのうち犬が前に進むことを諦め、吠える事も止めて、リードが緩んだ状態でも吠えずに待っていられるようになってきます。
この状態で落ち着いていられたら、優しく褒めてあげましょう。

注意点

  • この方法は他の2つの方法と比べると、即効性はありませんので、根気よく練習する必要があります。

以上、3つの方法をご紹介いたしました。3つに共通して言える事は、継続して行う事が大切です。1日で吠えなくなったといっても、次の日には犬も忘れて、また吠えてしまう事がほとんどです。その為、何度も練習しましょう。


★おまけ ~お留守番させる時は?~
お留守番させている時にインターホンが鳴って吠えてしまう心配がある場合は、お出かけの前にインターホンの音を切るようにしましょう。そうすれば、犬もゆっくりと休んでいられるでしょう。

次回は「トイレの失敗」についてお話していきます!お楽しみに!

著者プロフィール - 佐久間 力

ドッグトレーナー、ペットアドバイザー。1981年、千葉県生まれ。2006年に専門学校東京スクール・オブ・ビジネス ペットビジネス学科卒業。現在は目黒区のペットサロン「Grunewald(グルーネヴァルト)」で店長を務めると同時に、母校でドッグトレーナーの講師として学生への指導を行っている。