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ドッグトレーナーのわんポイントレッスン

ドッグトレーナーのわんポイントレッスン 第4回

初めて会う犬同士のあいさつ・会わせ方について!

こんにちは!ドッグトレーナーの佐久間です。第4回目は、初めて会う犬同士のあいさつ・会わせ方についてお話致します。

あいさつのさせ方を間違えてしまうと、犬同士で上手にコミュニケーションが取れずに、喧嘩になってしまったり、他の犬から逃げるようになってしまったりしますので、犬のあいさつの方法と犬同士を会せる際のポイントをいくつかお話させて頂きます!

犬はどうやって『あいさつ』するのか?
人間にとって『あいさつ』とは、コミュニケーションの第一歩ですよね?それは犬にとっても同じことです。

人間の場合は相手の身なりと会話で相手の事を知っていきますが、犬の場合は、主に肛門腺から出る分泌物や尿のにおいを嗅ぐことで相手の情報を得ます。

犬はお互いのお尻や陰部のにおいを嗅ぎ合う事で『あいさつ』をします。

それでは、あいさつのさせ方についてお話致しましょう。

1. お互いに落ち着いた状態で会わせる。

もし、あなたの全く知らない人が、ものすごく興奮して何をされるか分からない状況で近づいて来たら、あなたはどうしますか?逃げる?それとも先に殴り掛かる?ほとんどの人は冷静ではいられないと思います。

それは犬だって同じこと。初めて会う犬とあいさつをさせる際は、お互い落ち着かせた状態で会わせるのがベストです。

こんな前がかりで来られたら、相手の犬も身構えてしまいます。

2. 正面から近づけない。

見知らぬ犬同士を正面から近づける事は避けましょう。正面から近づくと、相手に威圧感を与え、相手も身構えて臨戦態勢に入ってしまうかもしれません。ましてやバッチリ目が合った状態で近づけることはご法度です。そこからケンカが始めってしまうかもしれません。

初めての犬同士近づける際は、相手の横に回り込むようにして、相手に対して敵意が無いという事を示します。

このように、いきなり顔同士を近づけないようにしましょう。

また、地面のにおいを嗅ぎながら近づいていく事も、相手に対して敵意が無いという事を表す行動とされています。

3. リードは緩めて絡まないように。

お互いの犬を会せている際に、リードが突っ張った状態であいさつをさせている方を、よく見かけます。飼い主的には「何かあった時にすぐに抑えられるように」とか「これ以上近づけるとケンカになるかもしれない」という思いで突っ張っているのでしょうが、これは逆効果です。

リードが突っ張っていると、犬は自由を奪われている状態なので、何か嫌な事があっても逃げられない為、攻撃するしかなくなってしまいます。つまり、ケンカさせないようにしているつもりが、ケンカさせやすい状態を作ってしまっているのです。また、お互いのリードが絡まってしまっても同じです。

お互いにリードは絡まないようにし、何かあった時にすぐに抑えられる長さで、緩めて持っておくのが良いでしょう。

ジャックラッセルの方は尻尾を立てて舌をペロリとしていて、少し緊張気味です。
この時にリードで押さえつけようとすると、犬の興奮が高まってしまいます。

それでは、あいさつのさせ方が分かったところで、あいさつさせる際の注意点ついて簡単にお話致します。

① 犬同士の体格差に注意!

あまりにも体格に違いがありすぎると、踏みつけられたり突き飛ばされたりしただけで、体格の小さい方が大きなケガを負ってしまうかもしれません。チワワやパピヨン、ポメラニアンといった、骨が細くて弱い個体が多い犬種は特に注意が必要です。

大型犬でもこれくらい目線の高さを合せてくれると、安心できますね!

② 相手の性別に注意!

異性と会わせるよりも同性と会わせる方が喧嘩のリスクは上がります。特に、去勢をしていないオス同士の場合は、お互いに友好的な性格でない場合は注意が必要です。

オスとメスを会せる場合、オスがメスにちょっかいを出してメスが叱る場合があります。これは喧嘩ではないので、慌てて引き離す必要はありませんが、オスがしつこい場合は、離してあげましょう。

去勢をしていないオス同士でも、これだけ仲良くなれる事もあります。

③ お互いの年齢に注意!

基本的には年上が年下よりも上位に立ちます。年下の犬が年上の犬に無礼な態度(マウントをしたり相手の肩にアゴを乗せたりするような優位性を示す行動など)をとると年上の犬は叱ってくれるのですが、小さい頃に他の犬から叱られた経験のない犬は、年下の犬を叱ることが出来ない場合があります。その際は飼い主がしっかりとコントロールしてあげましょう。

ダックスフント(12才)が寝ているところに、イタリアングレーハウント(9ヶ月)が遊びに誘っています。
寝ているところを邪魔されたダックスフントは、唸って注意を促します。
しかし、その後もしつこく誘ってくるので、最後は吠えかかって叱っていました。

☆ 他の犬が苦手な場合は、どうするの?

他の犬が怖くて苦手な場合は、無理に近づけるのではなく、犬の方から近づくのを待ちましょう。その際、相手は落ち着いている犬が良いでしょう。当然、自分から近づいていくには時間がかかりますので、飼い主同士、世間話でもしながら気長に待ってみてください。また、一緒にお散歩で歩くことも効果的です。

他の犬に対して攻撃的な姿勢をとる場合は、それだけ犬はストレスを抱えて苦しんでいるので、一度専門家に見てもらう事をお勧めします。

いかがでしたでしょうか?お互いの犬を会わせる時は、何よりも飼い主が堂々としていることが大切です!飼い主の堂々とした姿を見せれば、犬も安心して知らない犬とコミュニケーションが取れるでしょう!

次回からは何回かに分けて「問題行動への対処方法」についてお話していきます!お楽しみに!

著者プロフィール - 佐久間 力

ドッグトレーナー、ペットアドバイザー。1981年、千葉県生まれ。2006年に専門学校東京スクール・オブ・ビジネス ペットビジネス学科卒業。現在は目黒区のペットサロン「Grunewald(グルーネヴァルト)」で店長を務めると同時に、母校でドッグトレーナーの講師として学生への指導を行っている。