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わが子の将来を考える|第8回

猫のシニア期について:前編
猫のライフステージを考える

皆さんは「猫の平均寿命」をご存知でしょうか。
なんとなく、猫は長生きする動物、と思っている飼い主さんもいらっしゃるのでは?

2023年現在、最も長生きな猫と言われているのはイギリスで暮らす猫で、その年なんと31歳なのだとか。
実際ギネスに認定されている最高齢猫の記録は27歳だそうですが、これは31歳になる猫の飼い主が登録申請をしていないから。
そんなに長い間一緒に暮らせるなんて夢のような話ですが、実際の平均年齢はどのくらいなのか見ていきましょう。

猫の平均寿命

猫の平均寿命は、一般的に12〜18歳程度といわれています。
こうしてみるとかなり差があるようですが、これは、完全室内飼育している猫の方が平均寿命は長く、外に出る機会がある猫では寿命が短い傾向にあるから、と言われています。
外に出ることで事故や事件に巻き込まれたり、致死性の感染症に感染するリスクが高くなることが原因と考えられています。

猫の健康と身の安全を考えると、完全室内飼育が望まれるのも頷けます。
とはいえ、もともと外で暮らしていた猫や好奇心旺盛な猫では、ちょっとした隙に外に逃げ出してしまう可能性があります。
窓を開ける際には網戸の状態を必ず確認すること。できれば、網戸ストッパーなどを利用して猫が開けることができない状態にしておくことも念頭に置いた方が良いかもしれません。

また、「猫は液体」と言われるほどに柔軟性に富んだ体をしています。
これは通れないでしょ、と思った隙間でも通れる可能性があることを覚えておきましょう。

猫の脱走原因のほとんどは飼い主さんの油断にあります。
愛猫が健康で長生きできるよう、脱走には充分注意していきたいものです。

猫のライフステージを確認

さて、猫の平均寿命のあとは、簡単に猫のライフステージを確認していきましょう。

▶子猫期

  • 乳児期 ⇒ 生後0日~30日頃まで
  • 離乳期 ⇒ 生後30日~60日頃まで
  • 社会化期 ⇒ 生後60日~180日頃まで
  • 幼猫期 ⇒ 生後3か月~1歳頃まで

※メスではおおよそ6ヵ月を過ぎると、オスではおおよそ9ヵ月を過ぎる頃には発情期を迎えます

▶成猫期 ⇒ 1歳~6歳頃まで

▶中・高齢期(シニア期)⇒ 7歳~15歳頃まで

▶老齢期(ハイシニア期)⇒ 16歳以上

長生きをすればするほど、シニア期、ハイシニア期が長くなり、年齢に見合ったケアが必要になることがわかります。

猫のシニア期

猫の高齢期(シニア期)は、一般的に10歳~15歳頃と考えられています。
人間で言うと60代~70代に相当します。
さらに、猫の老齢期と呼ばれるハイシニア期は、一般的に15歳~16歳頃からと考えられます。

猫はもともとよく寝る動物でもあることから、老化に気がつきにくいと言われることがあります。
それでも個体差はありますが、7歳頃から老化のサインが表れるようになります。
例えば食べるスピードが遅くなったり、反応がうすくなったりすることがあります。
人間でいうところの白髪などの外見の変化は少なくても、動作がにぶくなったり、高い所に上がることが難しくなったりするケースも見られます。

ここで、シニア期によく見られる特徴を確認しましょう。

  • ジャンプや、段差を登ることが困難になる、またはそれらを嫌がるそぶりを見せる
  • 体重の変化
  • 体に“できもの”ができる
  • トイレを失敗することが増えてきた
  • 食欲不振
  • 下痢または便秘を繰り返す
  • 無気力、無関心
  • 頻繁にニャーニャー鳴く
  • 鼻水、涙が見られる
  • 眼が白く濁って見える
  • 眼を前脚でよく擦るようになった
  • 過剰なまばたき
  • 物にぶつかることが増えた

このような変化は一気に現れるのではなく、年齢を経るごとに徐々に現れてきます。
10歳頃から認知機能や身体能力が徐々に衰えシニア期の後半、ハイシニア期を迎える15歳以上では半数程度の猫で、痩せてくる、毛並みにツヤがなくなる、歯が抜けて食事がとりにくくなるといった症状が見られるようになると言われています。
病気の早期発見を可能にするためにも、愛猫が10歳を超える高齢期に入ったら、半年に一度は獣医師の診察を受けるようにしましょう。

次回の後編では、シニア猫が気をつけたい病気と、シニア期を迎える猫のために注意したいことを紹介いたします。

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佐藤 麻衣氏プロフィール

一般社団法人 全日本動物専門教育協会
動物介在福祉士 教師
家庭犬訓練士 教師
SAE認定 犬猫行動アナリスト 専任講師
SAE認定 愛玩動物介護士 専任講師
SAE認定 愛玩動物介護士アドバンス 専任講師
SAE認定 犬の健康生活管理士 専任講師

長年動物の専門学校で教鞭をとり、犬のトレーニングや動物介在福祉活動などに従事。
現在は専門学校や大学、国内初の官民協働PFI刑務所の職業訓練プログラムに於いてトレーニング技術を教え、一般の飼い主に向けても資格取得に向けた講座やペット防災など様々なセミナーで活躍。