知りたい

プロが語るお役立ち記事

+にゃんコラム

【医】おうちケアで病気を予防|第11回

春に多い猫の体調不良とその予防法

寒さが緩み、春らしさを感じ始める季節の変わり目。
こうした季節の節目は、人もそうですが猫にも体調の変化が現れやすいため、しっかりと健康管理をしてあげたい時期です。
そこで今回は、春に行いたい猫の健康管理についてお伝えします。

暖かくなる前に行いたい2つの予防

寒さが和らいで気温が上がってくる前に対処したいのが以下の2つ。

1. ノミやマダニなどへの対策

ノミもマダニも猫の体に寄生して皮膚を噛み、激しいかゆみを起こします。特にノミはかゆみがひどいので、猫が掻きむしってしまい、脱毛や皮膚トラブルに発展することも。また、ダニはウイルスなどの病原体を媒介して、猫にヘモバルトネラ症(※)などのさまざまな病気を感染させる可能性があります。ノミやマダニが繁殖しやすい季節に入る前に、獣医師に適切な薬剤を処方してもらい、予防を済ませておきましょう。
(※ヘモバルトネラ・フェリスという病原体が赤血球の表面に付着することにより、赤血球がどんどん破壊されて貧血になる病気)

2. フィラリアの予防

犬の病気として考えられていたフィラリアが、最近では猫にも感染する病気だということが話題になっています。
フィラリアは蚊が媒介する病気です。犬とは異なり、主に以下のような3つの症状を示します。

  1. (1) 呼吸が早くなったり、舌を出して呼吸をする開口呼吸などの症状
  2. (2) フィラリアの成虫が死滅するときにおこる急性症状(突然死など)
  3. (3) 咳などの慢性的な呼吸症状を起こす慢性犬糸状虫症

予防には月1回のフィラリア予防薬が効果的とされています。

春に気をつけたい2つの体調不良

次に、春に起こりやすい2つの体調不良と対処法をご紹介します。

1. 毛の抜け変わりの時期は毛球症に注意

毛が抜け変わる換毛期。この時期に心配なのは、猫が毛づくろいのときに大量の毛を飲み込んでしまうことです。その結果、胃の中で毛球が作られて、吐き出すことができずに消化管内に毛球が滞る「毛球症」になったりします。
そこで、換毛期には余分な被毛を取り除くために飼い主さんがグルーミングの手助けをすることが大切です。

2. 春先のさまざまな生活環境の変化によるストレス

春は飼い主さんのライフスタイルの変化、引っ越しによる住環境の変化、季節の変わり目による寒暖差など、猫にとってストレスになる出来事が多い季節です。
猫がストレスを感じているときのサインとしては、脱毛、食欲不振、自分の体を過剰になめる、触られることを嫌がるなどが挙げられます。
早めにストレスのサインをキャッチするために、春先はいつもより愛猫と向き合う時間を多めに作ってあげられたら良いですよね。
例えば、環境の変化に対しては自分のにおいのしみついた毛布などのグッズを活用して安心できる環境づくりをしてあげるなどの工夫をしてみるのがおススメです。また、もし気になる体調の変化がみられた場合には、なにかストレスのほかに病気が潜んでいるかもしれませんから、獣医師さんに相談してみてください。

まとめ

今回は春に行いたい健康の管理や予防についてご紹介しました。
健康管理といえば、この機会に健康診断を受け、自分の目だけではなく獣医師の目も通して健康チェックをしておけば、より適切な健康管理ができますよ。

著者プロフィール - 高垣 育

薬剤師、ライター。星薬科大学卒業後、調剤薬局や医療専門の広告代理店の編集・ライターの経験を経て、2012 年にフリーランスの薬剤師ライターとして独立。また自身の愛犬を肺がんで亡くした際に、体調の変化に気付けなかったことに自責の念を覚え、以来動物と人の医療に関わる記事を中心に、さまざまな媒体に寄稿。

協力:ONE BRAND(“犬と暮らす”をもっと豊かにするライフスタイルマガジン)