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【遊】ペットも人もしつけは遊び!|第10回

愛猫と遊ぼう!ライフステージ別おすすめの遊び方

交通事故や他の猫とのトラブルを避けるため、猫を室内飼いする飼い主さんが増えています。しかし、1日中家の中にいると「猫が退屈でストレスが溜ってしまわないかな」「運動不足で猫がメタボになってしまうのでは…」と心配になることも…。
そこで今回は猫のライフステージ(子猫期・成猫期・老猫期)別に、屋内で飼い主さんも一緒に楽しめる遊び方、そして遊ぶ上での注意点をご紹介します。室内で愛猫を元気に遊ばせて、ストレスや運動不足を防ぎましょう!

猫と遊ぶ際の注意点

まずは年齢に関係なく、遊ぶ前に知っておきたい注意点を確認しておきましょう。

1. 遊びは食前に

空腹時のほうが、猫本来の「何か捕まえなくては」という狩猟本能が強まっているので、よりアクティブに遊ぶことができます。逆に避けたいのは食事の直後。動きすぎたり興奮したりして、胃の中のものを戻してしまう危険があります。

2. 誤飲に注意!特にヒモは要注意

猫はヒモやリボンで遊ぶのが大好き。目の前でひらひらさせたりヒモの先におもちゃを付けて引っ張ったりすれば、夢中で追いかけて捕まえようとする猫が多いものです。
しかし、遊びの最中に猫がヒモを飲み込んでしまう可能性があるので要注意。ヒモは猫の腸の中でひっかかりやすく、もし飲み込んでしまうと開腹手術で取り出すほかありません。遊んだあとは、必ず猫の届かない場所に収納し、猫が勝手に遊べないようにしてください。また、ヒモやリボンを留守番中のおもちゃとして使うことも絶対に避けましょう。

3. 遊びのタイミングは人間がコントロールを

飼い主さんに「ニャーニャー」と鳴いて遊びを催促してくる猫もいます。つつい一緒に遊んであげたくなりますが、原則として催促に応じるのはNG。「鳴く⇒遊んであげる」を繰り返しているうちに、猫は「鳴けば遊んでくれる」「鳴けば思い通りになる」と思い込んでしまい、飼い主さんが自分の要求にこたえるまで鳴き続けるという悪い癖がついてしまいます。
遊び時間は開始・終了ともに飼い主さんがコントロールするようにしてください。

4. 安全確保は必須

たとえ住み慣れた自宅のリビングであっても、猫と遊ぶ際は十分な安全確保 が必要です。特に家具の配置には要注意。猫が遊びの途中にぶつかってしまう可能性があるので、可能ならば、遊びの時間には家具を移動させて、ある程度広い空間を確保してあげましょう。特に角がある家具はケガをする危険があるため、あらかじめ移動させるか、布などで角をカバーしておくと安心です。
また、走り回っているときに勢い余って曲がりきれないケースもあるので、猫に急な方向転換を強いるような遊び方は避けてください。床が滑りやすい場合は、マットを敷くなどの工夫も欠かせません。

5. おもちゃは数種類用意して

猫はもともととても飽きっぽい生き物。おもちゃも1種類だけだと飽きてしまいます。常に数種類はおもちゃを用意して飽きさせないようにしましょう。
一度飽きてしまっても時間を置いて再び与えると、喜んで遊ぶ場合もあります。また、猫が好きなマタタビの成分が添加されているおもちゃ、フードやおやつを中に入れて少しずつ食べられるような工夫がしてあるおもちゃなどは、飽きずに長く遊んでくれる可能性が高いので、お留守番中に与えるのに適しています。

子猫期(~生後6ヶ月くらい)じゃれ遊び全盛期。飼い主さんは安全対策を

子猫期の猫は、とにかく「じゃれ遊び」が大好きな時期です。兄弟がいる場合は、お互いにじゃれあって遊びますし、いない場合も母猫のしっぽ、風で揺れるカーテンなど動くものに勝手にじゃれついて一人遊びを楽しんでいる場面が多く見られます。
もちろん飼い主さんがボールを転がしてあげたり、「子猫用」としてお店で売られているおもちゃ等で遊んであげたりしても、とても喜びます。
子猫用のおもちゃとして適しているのは、一人遊びができるもの、鈴など音が出るもの、子猫でも簡単に捕まえやすい大きさのものです。

なお、注意したいのは、一緒に遊ぶ際に飼い主さんは自分の手をおもちゃがわりに使わないこと。飼い主さんが子猫の前で手をひらひらと動かすと、猫は喜んでじゃれついてきますが、これを続けていると、人間の手に爪を立てたり噛んだりする癖がついてしまいます。
いったんついてしまった癖をなおすのは至難の業。子猫のころに困った癖がついてしまわないように十分注意してください。

幼猫・成猫期(生後6ヶ月~7歳くらいまで)しっかり遊んで運動不足を解消!

猫は1歳前後で成猫になります。成長するにしたがって、子猫時代のような一人遊びをする機会が減っていきますので、飼い主さんが積極的に遊びに関わってあげることが大切です。
特に若い猫は昼間の運動が足りず体力が余っていると、夜間の活動が活発になり、飼い主の睡眠不足を引き起こしかねないので、昼間に遊びを通じてしっかり体を動かすように仕向けましょう。

おすすめの遊び方は、猫が本来持っている狩猟本能を刺激する「ネズミ遊び」や「トリ遊び」です。

ネズミ遊びは、文字通りおもちゃをネズミのように動かして猫を挑発する遊び方です。ヒモの先端につけた小さなおもちゃをネズミに見立て、横にした紙袋から出し入れするなど、ネズミが見え隠れするようにすると猫が興奮して遊びに乗ってきやすくなるでしょう。

トリ遊びは、同じくヒモの先端につけたおもちゃを空中で旋回させたり、上下に上げ下げして鳥のように動かして遊ぶ方法。猫はおもちゃをとらえようと、持ち前のジャンプ力を活かして飛び跳ねるので、運動量UP・メタボ対策にもってこいの遊びです。

いずれの場合も、猫は夢中になりすぎると周囲が見えなくなり、壁や家具に激突する恐れがあります。周囲の安全確保に十分注意してください。

なお、昼間に飼い主さんが留守で十分に遊ばせられない場合は、室内に据え置き型のキャットタワーなどを設置し、留守番中に遊べるようにしてあげるのがおすすめです。上り下りすること自体が猫にとっては楽しい遊びの1つですし、良い運動にもなります。

老猫期(7歳~) 程良い刺激で認知症予防を!

一般的には7歳から老猫期に入るとされていますが、7歳~10歳ぐらいまでは、まだ行動も見た目も若々しく、特に変化がない猫がほとんどです。ただ11歳を過ぎるくらいになると、老化が目立つようになってきます。動き回ることが減り、ほぼ一日中、お気に入りの場所でうとうとしている…という猫も珍しくありません。
加齢に従って運動量が減るのは仕方のないことですが、あまりに刺激の少ない生活を送っていると、認知症になってしまうので要注意。

認知症の猫はグルグルと同じ場所で回り続けたり、ニャーニャーと鳴き続けるなどの問題行動が出てしまい、家族の寝不足や近隣住民とのトラブルの元にもなりかねません。認知症を予防するためにも、老猫には遊びを通して程良い刺激を与えてあげるようにしましょう。

なお、老猫になったからといって特別なおもちゃを用意する必要はありません。若いころに気に入っていたおもちゃを使って、遊んであげるだけで十分です。
若い頃のように走ったりジャンプしたりすることはできないかもしれませんが、手でつかもうとしたり目で追いかけたり、何らかの反応を見せれば、それで十分です。

以上のように、猫の年代によって「遊び」の意義は異なります。猫と遊ぶときには、その意義をしっかり意識した上で、飼い主さんも一緒に遊びの時間=コミュニケーションの時間を楽しむようにしましょう。

監修者プロフィール - 山口 照代(やまぐち てるよ)

有限会社留守番わんにゃん取締役。幼少のころから犬や猫、鶏や亀などを飼育してきた経験を活かし、1993年に日本で初めてのペットシッター業を開業。以来約3000頭以上の動物のシッターを経験。自身も大の愛猫家で現在10匹の猫、3匹の亀と暮らす。
愛玩動物飼養管理士1級、日本愛玩動物介在療法学会公認動物介在教育初級インストラクター、東京都動物取扱主任資格保持。
http://rusubanwannyan.com/