知りたい

プロが語るお役立ち記事

+にゃんコラム

【食】にゃんの食育 How to|第8回

ねこちゃんの手作り食のポイントは“肉・魚類”!

以前、ねこちゃんのコラムで手作り食にした場合の食材選びのヒントなどをお伝えしましたが、その中でねこちゃん向けのレシピには“肉・魚類”を多く摂り入れるとよいことをお伝えしました。
今回は、なぜ“肉・魚類”を多く摂り入れる必要性があるのか、どんな栄養素が必要なのかをお話ししたいと思います。

ねこちゃんのごはんを手作り食にする場合、気になることのひとつに<栄養のバランス>があります。キャットフードは、AFFCO※という機関が出した栄養価をもとに作られているものがほとんどですから、量さえ守っていれば、標準体型を維持したりバランスの取れた栄養を摂取できる安心感があります。
一方で、手作り食に関しては栄養バランスに不安があり、なかなか踏み切れない方も多いようです。しかし、私たちの生活を考えても栄養価計算をした食事や理想の食事を日頃から摂っていなくても元気に過ごせていますよね。
ねこちゃんのごはんも、基本となる必要な栄養素や栄養バランスさえ知っておけば、あまり神経質にならず、気軽にトライしてみてもよいと思います。

代謝構造が、人やわんちゃんと違うねこちゃん。
だからレシピもねこちゃん向けの栄養バランスで!

ねこちゃんは蛋白質の一部を常にエネルギーとして使い続けているため、わんちゃんよりも肉魚類の割合を多くするとよいでしょう。そこで、食材として摂り入れたい栄養素についてご説明します。
以下の栄養素はどれも、ねこちゃんの体内では合成されにくいため、食べ物から摂取することが必要となります。

タウリン

  • 動物性のタンパク質に豊富に含まれる必須アミノ酸。
  • 含まれる食材:あじ、ブリ、帆立、アサリなどの魚介類。
  • 期待される効果:進行性網膜萎縮(失明・夜盲・瞳孔がが開いたままなど)や心疾患、生殖能力の低下を防ぐことができます。

ビタミンA

  • 緑黄色野菜などのβ-カロチンに含まれる。
  • 含まれる食材:鶏・豚・牛などのレバー類、鰻など。
  • 期待される効果:皮膚や粘膜を保護し、免疫機能を高めて健康を保ちます。

※ビタミンAは過剰に摂取すると、短期的には吐き気や下痢、長期的には骨の変形や身体の痛みなどの症状が現れる中毒症状を起こす場合があります。

ナイアシン

  • 糖質・脂質・蛋白質の代謝に欠かせないビタミン。
  • 含まれる食材:鰹・鰤・鰯・鶏肉・豚肉など。
  • 期待される効果:皮膚の細胞と細胞の間を埋めている「細胞間脂質=セラミド」の合成を促し、皮膚を乾燥から守る役割を果たします。

アラキドン酸

  • 必須脂肪酸のひとつ。
  • 含まれる食材:卵・鮪・ぶり・豚レバーなど。
  • 期待される効果:認知や行動など神経細胞の伝達を支え、免疫機能の調整をする役割を持ちます。

※逆に<アラキドン酸>が不足すると、繁殖能力の低下や血液の凝固、皮膚被毛のパサつき、抜け毛が助長されることがあります。

アルギニン

  • 筋肉の強化や脂質の代謝に欠かせない必須アミノ酸。
  • 含まれる食材:鶏肉・豚ゼラチン・牛肉・卵・海老・鰹節など。
  • 欠乏することのリスク:尿のろ過がうまくできにくくなり、アンモニア中毒や肝臓に脂肪がたまる脂肪肝のリスクが高まります。

まとめ

ねこちゃんが健康で元気に暮らすためには、“肉・魚類”を意識的に摂り入れることが大切です。そうは言っても「肉食動物だから、肉以外食べさせてはいけないのでは」というのは誤解。その他の食材を与えることに問題はありません。その場合もまずは“肉・魚類”をしっかり摂る、ということを意識すれば、ねこちゃんにとって栄養バランスのよい手作りごはんになります。

※AAFCO (アフコ:Association of America Feed Control Officials)とは、米国飼料検査官協会のこと。ペットフードの栄養に関するさまざまな情報を、消費者にわかりやすく伝えるための表示ガイドラインなどを定めているアメリカの機関です。

著者プロフィール - 黒沼 朋子

資格:JKC公認トリマー1/愛玩飼養管理士1級/ペット栄養管理士/日本ペットマッサージ協会 ペットマッサージセラピスト。現在は、ナチュラルペットケアサロン「シアン・シアン」の代表としてクオリティ・オブ・ライフ(生活、生命、生きることの質)の向上、プライマリーケア(初期段階の手当て)に重点をおくサロンを運営中。

協力:ONE BRAND(“犬と暮らす”をもっと豊かにするライフスタイルマガジン)