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【医】おうちケアで病気を予防|第3回

泌尿器疾患から愛猫を守るための方法

大切な愛猫にいつまでも元気でいてもらうために欠かせないのは、かかりやすい病気を知ること、そしてしっかり予防していくことです。
そこで今回は、猫がかかりやすい疾患1位で、かつ死亡原因の1位でもある「泌尿器疾患」についてみていきましょう。

泌尿器疾患って?

泌尿器は尿をつくって体外に排出する器官のことをいい、尿をつくる腎臓、膀胱へ尿を運ぶ尿管、尿を貯めておく膀胱、膀胱から尿を排出する尿道から成ります。
猫がかかる主な泌尿器疾患には、腎不全、膀胱炎、尿石症、膀胱結石、猫下部尿路疾患などが挙げられます。

アニコムが行なった猫24,081 頭を対象にした疾患の罹患率の調査によると、泌尿器疾患は消化器疾患、皮膚疾患を抑えて、11.6%ともっとも高い罹患率を示したと報告されています。

さらに、女の子よりも男の子での罹患が多いこと、年齢が高くなればなるほど罹患率が高まることが示されました。
また、猫にとって泌尿器疾患は、罹患率が高くかかりやすい病気であるだけではなく、死亡原因のひとつにもなることが明らかにされています。
泌尿器疾患は猫の罹患率1位の病気であるだけではなく、死亡原因においても1位なのです。

※出典:『アニコム家庭どうぶつ白書』(アニコム損害保険株式会社)

  1. トイレのケア
    • トイレを清潔に保ち、おしっこをしやすい環境をつくる
    • 水を飲む量に対して排尿量はどうか、色やにおいに変化はないかを観察する
  2. 食事のケア
    • 塩分、ミネラル、脂肪などの腎臓に負担をかける成分の量に気をつけて、泌尿器に負担をかけにくい食事を心がける
    • 水を飲む量が減るとおしっこが凝縮され、尿石ができやすくなるため、新鮮な水を飲める環境をつくる
    • 肥満は腎臓への負担を増やすため、食事による摂取カロリーに気をつける
  3. 体のケア
    • 運動不足はおしっこが膀胱にためられている時間を長くし、尿石をできやすくさせるため、遊ぶ機会を多くするなどして運動不足を解消する

そして、日々飼い主さんが外から観察しているだけでは気づきにくい泌尿器疾患を早期発見するためには、定期検診が欠かせません。
泌尿器疾患は高齢になるにつれて罹患率が高まりますから、7歳を過ぎたら1年に1回、10歳をすぎたら半年に1回のペースで検診を受けるようにしておくと安心です。

愛猫にいつまでも元気でいてもらうために、猫がかかりやすい泌尿器疾患は、飼い主さんの毎日のケアで予防し、定期検診で早期発見できる環境づくりをしていきましょう。

著者プロフィール - 高垣 育

薬剤師、ライター。星薬科大学卒業後、調剤薬局や医療専門の広告代理店の編集・ライターの経験を経て、2012 年にフリーランスの薬剤師ライターとして独立。また自身の愛犬を肺がんで亡くした際に、体調の変化に気付けなかったことに自責の念を覚え、以来動物と人の医療に関わる記事を中心に、さまざまな媒体に寄稿。

協力:ONE BRAND(“犬と暮らす”をもっと豊かにするライフスタイルマガジン)